「よし今日もまずまずの売り行きだな」
電気をつけずカーテンも閉めっきりの暗い部屋で、パソコンだけが明るさを主張している。そんな部屋で男はオークションサイトを眺めながら、ニヤニヤしていた。
この男は、ポケモンのぬいぐるみを転売して儲けていた。
ポケモンぬいぐるみの中には、滅多に手に入らないレア物や品薄が続いている人気商品も多くあり、男はそういったぬいぐるみを買い占めていた。そして、オークションサイトで定価より高い値段をつけて売っていた。
男はこれまで数多くのポケモンぬいぐるみを売ってきた。
「今月は今までで最高の売上を記録しそうだ」
しかしこの仕事は毎回調子よく稼げる訳ではない。売れると思っていたぬいぐるみが全く売れないことも、たまにあった。そうすると、大量の在庫を抱える羽目になる。
「まいったなあ、今回は大赤字確定だ」
とはいえ、彼はこの道のプロ。一度売れないことがあるくらいでは、そこまでダメージは受けない。気を取り直して、他に売れそうなぬいぐるみがないかリサーチを始めた。
売れなかったぬいぐるみは、保管しておいても仕方がない。男はゴミ捨て場に、ポケモンぬいぐるみを捨てにいった。
ゴミ捨て場はあっという間にぬいぐるみだらけ。ぬいぐるみの体に、他のゴミの異臭が染み付いていく。
真夜中になった。周囲の家や店の明かりが消え、月だけが静かにゴミ捨て場を照らしている。
ゴミ捨て場には、捨てられたポケモンのぬいぐるみが山のように積み上がっていた。
一つのぬいぐるみの目が突然光り出す。つられるかのように、他のぬいぐるみの目も光を宿した。
全てのぬいぐるみは立ち上がり、ゴミ捨て場から抜け出す。
一列になり、のっそりと歩き出した。人気のない道路を辿り、ある場所まで向かっていく。
その頃、男は次の時期に転売すべきぬいぐるみを調べていた。
そんなときのことだった。男の家の窓が、突然ガタガタと揺れ始めたのだ。
「ずいぶん風が強いな。台風でも来るのか」
男は窓を開けた。外の様子を見ようと、窓から顔を出す。
そのときである。
男は一瞬目を疑った。目を擦ってもう一度その光景を見た。
ゴミ捨て場の方角から、大量の黒い物体がのっそりと歩いてこっちへ向かっていた。
「おい……なんだよあれ……」
赤くて鋭い目付きをした真っ黒で刺々しい物体の口元には、黄色いチャックのようなものがついていた。
彼らは男の姿を確認した後、一斉に不気味な笑みを浮かべた。そして……