ポケモンは六匹より多く持ち歩けない。ちゃんと平等に世話を行うには六匹が限度だからだ。それ以上持つと、平等に愛情を注げないと言われている。法律でも、「一人が所有できるのは六匹まで」と定められていて、破ったら罰則を払う必要がある。
ただ、七匹以上ゲットしたいトレーナーも多かった。ポケモンの数が多い方がジムも攻略しやすいし、大会でも相手に手持ちを読まれにくくなる。
そこで「ポケモン預かりシステム」というものが誕生した。これは、コンピュータ上のボックスにポケモンを預けることができる、というもの。
ポケモン預かりシステムのおかげで、トレーナーは七匹以上ゲットできるようになった。
ところが、問題が発生した。「ボックスに閉じ込められるポケモン可哀想!」という抗議が続出したのだ。
実際、ゲットされてから死ぬまでずっとボックスにいるポケモンもいたので、その抗議は一理あるといえた。ポケモンを永遠にボックスに閉じ込めるのは、確かに可哀想ではあった。
そこで考案されたのが、「ポケモン牧場」というものだった。
ポケモン牧場はいたってシンプル。ポケモンが暮らせる牧場を作って、ボックスに代わりそこに預けられるようにしたものだ。
ポケモンは無機質なパソコンの中ではなく、自然の中で自由に伸び伸び遊べる。更に、牧場にいる多くの仲間と触れ合うこともできる。仮にそこで一生を終えるとしても、可哀想ではない。
ポケモン牧場は画期的な発明だった。多くのトレーナーは、ボックスよりも牧場にポケモンを預けた。
ポケモン牧場ができてから、抗議はだいぶこなくなった。
牧場にポケモンを預けるトレーナーは、どんどん増えていく。
そのため、ポケモン牧場は敷地を増やしていく必要があった。やがて牧場は滋賀の琵琶湖ぐらいの大きさになった。
しかし、それでもまだ足りず更に拡張した。牧場は北海道ぐらいの大きさになった。
世の中にはハガネールやホエルオーのような巨大なポケモンだっている。そういうポケモンが伸び伸び暮らすには、かなりの敷地が必要なのであった。
牧場はどんどんどんどん広くなった。
そしてやがて、牧場は日本の国土の2/3をしめるようになった。
もはや誰も「ポケモンを狭いところに閉じ込めるな」という人はいない。ポケモン達に、これだけの敷地を与えたのだから……。
しかし、馬鹿に広くなった牧場を見つめる人々の中には、こう呟く者もいた。
「これって、人間の方が閉じ込められているのでは……?」