ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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59.技を出すときに技名をワザワザ叫ぶポケモンの話

 このクヌギダマは野生ポケモンとして暮らしていた。

 彼が住む森では、縄張り争いが頻繁に発生していた。

『たいあたり!』

 クヌギダマはたいあたりで、侵入してきたコラッタ達を蹴散らしていく。

『よく俺の可愛い子分たちを倒してくれたな』

 すると背後から、一回り大きいラッタが登場した。

『ひっさつまえば!』

 ラッタは鋭い前歯でクヌギダマに噛みつく。

『むしくい!』

 負けじとクヌギダマも、ラッタの腹に噛みついた。クヌギダマの方が攻撃力が高く、ラッタは倒れた。

 ラッタ達は一目散に逃げ出していった。クヌギダマは縄張りを守ることに成功した。

 

 

 クヌギダマはやがてフォレトスに進化した。しかし、進化したタイミングでトレーナーに捕まってしまった。クヌギダマはショックを受けたが、心機一転今度は人間の元で頑張っていこうと思った。

 ある日、トレーナーはダブルバトルを行った。

「いけっマグマラシとフォレトス!」

 フォレトスはそのダブルバトルに、マグマラシと共に選出された。

「フォレトス、むしくいだ!」

『むしくい!』

 フォレトスは敵に噛みついて順調にダメージを与えた。

「マグマラシ、かえんぐるま!」

 その横でマグマラシが、かえんぐるまを繰り出す。敵の内一体を倒すことに成功。

「フォレトス、たいあたり!」

『たいあたり!』

 フォレトスはたいあたりで残った敵を倒す。こうして、フォレトスとマグマラシは勝利できた。

『……』

 しかし喜ぶフォレトスの傍らで、マグマラシは複雑な表情を浮かべていた。

 

 

 バトル終わり、フォレトスはマグマラシに呼び出された。

『どうしたの? さっきのバトルまずい所あった?』

『あのさ、技名叫ぶの止めてくれない?』

『え?』

『「たいあたり!」とか叫んでたじゃん』

『ああ。だって叫ばないと技出せないから』

『いやいや、そんなことないよ。技名叫ばなくても技は出るよ』

『えっ! そうだったの!』

 フォレトスは衝撃のあまり自爆しそうになった。

『僕も叫んでなかったでしょ、さっき』

『そうだったのか……。自分が住んでいた森では叫ぶのが普通だったから、てっきりそういうものかと』

『別に、野生のときは叫んでも良いんだよ。ただ、人間に捕まった場合はだめだよ』

『なんで?』

『だってマスターが「たいあたり!」って叫んだ後、フォレトスも「たいあたり!」って叫んだら、くどくなるじゃん』

『いわれてみれば……』

『だから今度から叫ぶの止めてね。くどくて気が散るから』

『わかったよ……』

 そういったものの、フォレトスは不安だった。これまで何年も技名を叫び続けてきた。もはや技名叫ばないと、技を出すスイッチが入らない体になっている気がする。いつものルーティーンを変更して、上手くいくだろうか。

 

 

 数日後。

「いけっマグマラシとフォレトス!」

 再度ダブルバトルが行われた。

「フォレトス、こうそくスピン!」

『Rapid Spin!』

『はい?』

 フォレトスは駒のように高速で回り、敵を弾き飛ばす。

『ちょっと待って!』

 予想外の事態に、マグマラシはバトル中にも構わず声をかけた。

『技名叫ばないでねっていったじゃん! なんで今度は英語でいってるの?』

『英語なら良いと思って』

『は?』

『英語ならくどくないじゃん。マスターと同じ言葉を繰り返す訳じゃないから』

『そ、そういうことか……。まあ日本語でいうよりは、一応マシかな……』

 マグマラシは釈然としなかったが、もう諦めた。

「フォレトス、だいばくはつ!」

『Explosion!』

 フォレトスは自らの体を爆発させ相手に襲いかかった。

『あ、自爆系の技も叫ぶんだ……』

 そう呟きながらマグマラシも爆発に巻き込まれた。

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