「久しぶり。どうしたの、急に呼び出して?」
バクフーンはパートナーのメガニウムを救助隊基地に呼び出した。この二匹は長らく救助隊をやっていた。当初はヒノアラシとチコリータだったが、すっかり最終進化系になっていた。
「君と出会ってもう十五年以上経つよね」
「そんなに経つのか、早いなあ」
「人間だった期間より、ポケモンとしてこの世界で暮らす期間の方が、僕はもう長い」
「そっか」
「十五年の間、ずっと疑問に思っていたことがあるんだ」
「え、なんなの?」
「メガニウムはこの状況について、どう思う?」
「うん」
「ポケモン広場の様子がさあ、十五年前から何一つ変わっていないんだ」
「え? どういうこと?」
「カクレオン商店もペルシアン銀行もマクノシタ訓練所も十五年前からある。無くなったお店が一つもない」
「良いことじゃん。どのお店も経営が順調だから無くならないんでしょ」
それだけじゃないんだ、とバクフーンは言う。
「建物だけでなく、広場の木や花の位置や数も全く変わっていない」
「……言われてみればそうだね」
「これは明らかにおかしい。花なんて十五年経てばさすがに枯れるだろ」
バクフーンの言いたいことを、メガニウムはようやく理解できた。
「更に、もっと不自然なことがある。広場にいるポケモンの立っている場所が、十五年前から一切変わってないんだ」
「……うわっ、本当だ!」
「グランブルもダーテングもハスブレロも、必ず定位置にいるだろ」
「確かに。コイルなんて同じ場所に必ず二匹並んでいるよね」
「おかしくないか。これ?」
「今までずっと当たり前のことだと思っていた。でも考えてみると、凄く変なことだよこれは」
「しかも喋る内容も、なんか毎回同じじゃないか?」
「確かに、同じことを繰り返し喋っている……!」
「ポケモン広場だけじゃないよな。他の場所でも、必ずポケモン達は同じ場所にいて、同じことしか喋らない」
メガニウムは、かつてグラードンやレックウザと対峙したときと、同じぐらい身の毛がよだっていた。
「分からないけど、何か不思議な力が働いていたりしてね……」
「不思議、か……」
バクフーンはそう呟き、何かを考えていた。
「『不思議のダンジョン』ってさ、入るたびに中の様子が変わるから、そう呼ばれている訳じゃん」
「……うん」
「でもさ、何回訪れても何一つ変化がない場所だって、それはそれで、不思議な場所じゃないか?」
「そうだね。この世界全部が、『不思議のダンジョン』なのかも」