「あれっ? こんな所にジムがある」
カントー地方のとある町にジムができていた。
トレーナーはバッジを集める旅をしていた。さっそくそのジムに入ることにした。
「あっ挑戦者?」
ジムに入った途端、スーツを着た人に声をかけられた。
「はいそうです」
「うちのジムは、挑戦するのに条件がある」
『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ』の世界ではジムに挑戦する場合、条件が課せられる。たとえば、ニビジムなら、水タイプか草タイプのポケモンが手持ちにいないといけない。
「条件はなんですか?」
「うちのジムは、手持ちポケモンのオスとメスの数を同じにするのが条件だよ」
「オスとメスの数を同じに、ですか」
「うん。手持ちが六匹だったら、三匹ずつにしないといけない。挑戦者には、『オスのポケモンもメスのポケモンも両方活躍させて欲しい』という思いがあって、この条件を作ったんだ」
「……なるほど」
トレーナーの今の手持ちは、オスとメスの数が同じになっていなかった。
トレーナーは一度引き返し、後日ポケモンを揃えて挑戦することにした。
数日後。
トレーナーは手持ちを揃え、再びジムにやってきた。
「オスとメスの数を揃えましたよ。挑戦させてください」
「駄目だ。このジムに挑戦するには、他の条件もクリアする必要がある」
「え! そうなの! なんで先に言ってくれないんですか!」
「うちのジムは、色違いのポケモンを、手持ちに入れる必要がある」
色違いのポケモンは、滅多に見つけることができない。だからその条件を満たすのは、結構大変だ。
「色違いのポケモン、ですか」
「『色違いのポケモンともちゃんと向き合って欲しい』という思いがあって、この条件を作ったんだ」
「分かりましたよ。じゃあ色違いのポケモン、捕まえてきます」
数週間後。
トレーナーは、色違いのポケモンを捕まえることができた。
「色違いのポケモン捕まえましたよ。挑戦させてください」
「駄目だ。このジムに挑戦するには、他の条件もクリアする必要がある」
「だからなんで先に言わないんですか!!??」
「うちのジムは、全種類のせいかくのポケモンを、手持ちに入れる必要がある」
「せいかく!? さみしがりとかゆうかんとかのこと?」
「そう」
「いや不可能でしょ!! ポケモンのせいかくって、全部で何種類か知ってます? 二十種類ですよ。手持ちは六匹までにしないといけないんだから、無理でしょ」
「駄目だ。全種類入れないと、挑戦は認めない。『全てのせいかくのポケモンに愛情を注いで欲しい』という思いがあって、この条件を作ったんだ」
「……どうしても、条件を満たさないと駄目ですか?」
「そうだ」
「分かりましたよ! じゃあ揃えてきますよ!!」
トレーナーはやけくそ気味にジムを出ていった。
数年後。
「ほら、揃えましたよ。全種類の『せいかく』のポケモンを!!」
トレーナーの手持ちには、多重人格のポケモンが揃っていた。