ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

66 / 100
66.多様性に配慮し始めたポケモンジムの話

「あれっ? こんな所にジムがある」

 カントー地方のとある町にジムができていた。

 トレーナーはバッジを集める旅をしていた。さっそくそのジムに入ることにした。

「あっ挑戦者?」

 ジムに入った途端、スーツを着た人に声をかけられた。

「はいそうです」

「うちのジムは、挑戦するのに条件がある」

 『ポケットモンスター Let's Go! ピカチュウ』の世界ではジムに挑戦する場合、条件が課せられる。たとえば、ニビジムなら、水タイプか草タイプのポケモンが手持ちにいないといけない。

「条件はなんですか?」

「うちのジムは、手持ちポケモンのオスとメスの数を同じにするのが条件だよ」

「オスとメスの数を同じに、ですか」

「うん。手持ちが六匹だったら、三匹ずつにしないといけない。挑戦者には、『オスのポケモンもメスのポケモンも両方活躍させて欲しい』という思いがあって、この条件を作ったんだ」

「……なるほど」

 トレーナーの今の手持ちは、オスとメスの数が同じになっていなかった。

 トレーナーは一度引き返し、後日ポケモンを揃えて挑戦することにした。

 

 

 数日後。

 トレーナーは手持ちを揃え、再びジムにやってきた。

「オスとメスの数を揃えましたよ。挑戦させてください」

「駄目だ。このジムに挑戦するには、他の条件もクリアする必要がある」

「え! そうなの! なんで先に言ってくれないんですか!」

「うちのジムは、色違いのポケモンを、手持ちに入れる必要がある」

 色違いのポケモンは、滅多に見つけることができない。だからその条件を満たすのは、結構大変だ。

「色違いのポケモン、ですか」

「『色違いのポケモンともちゃんと向き合って欲しい』という思いがあって、この条件を作ったんだ」

「分かりましたよ。じゃあ色違いのポケモン、捕まえてきます」

 

 

 数週間後。

 トレーナーは、色違いのポケモンを捕まえることができた。

「色違いのポケモン捕まえましたよ。挑戦させてください」

「駄目だ。このジムに挑戦するには、他の条件もクリアする必要がある」

「だからなんで先に言わないんですか!!??」

「うちのジムは、全種類のせいかくのポケモンを、手持ちに入れる必要がある」

「せいかく!? さみしがりとかゆうかんとかのこと?」

「そう」

「いや不可能でしょ!! ポケモンのせいかくって、全部で何種類か知ってます? 二十種類ですよ。手持ちは六匹までにしないといけないんだから、無理でしょ」

「駄目だ。全種類入れないと、挑戦は認めない。『全てのせいかくのポケモンに愛情を注いで欲しい』という思いがあって、この条件を作ったんだ」

「……どうしても、条件を満たさないと駄目ですか?」

「そうだ」

「分かりましたよ! じゃあ揃えてきますよ!!」

 トレーナーはやけくそ気味にジムを出ていった。

 

 

 数年後。

「ほら、揃えましたよ。全種類の『せいかく』のポケモンを!!」

 トレーナーの手持ちには、多重人格のポケモンが揃っていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。