カントーの無人発電所。ここには電気タイプが多く住んでいた。
「イヤー。コノ場所ハ本当イゴゴチガ良イネ」
コイルが発電所にいる仲間に言った。
「本当ニソウダネ。電気モタベホウダイダシ」
ビリリダマがコイルの発言に同調した。
「トレーナーサンモホトンド来ナイシ、良イトコロダヨネ」
ピカチュウが、発電所のコードを齧って電気を食べながら言った。
「サンダーサンガ奥ニイテ、イザトイウ時ハ守ッテクレルシネ」
レココイルが続けてそう言った。
「アレ? 君一昨日見タ時ハコイルダッタノニ、進化シタンダ」
ピカチュウは友人の体の変化に気がついた。
「ウン。オカゲサマデ進化スルコトガデキタヨ」
「ソウナンダ。オメデトウ」
こんな感じで、電気タイプのポケモンは平和に暮らしていた。
突然事件は起こった。
「タイヘンダ! 発電所ノサンダーガ人間ニ捕マッテシマッタ!」
レアコイルは血相を変えてみんなの元へ走ってきた。
「ナンダッテ!」
サンダーがいなくなったのは大事件だった。
そして、続けざまに災難が降り掛かってくる。
無人発電所は来月から、無人ではなくなるという話を、彼らは聞きつけた。つまり、人間がここへ来るようになる。このままでは、中に住むポケモン達は、みんな追い出されてしまう。
「マイッタナ……」
「正直、イツカコンナ日ガ来ルノデハナイカト、思ッテイタ」
サンダーを失った彼らに、人間に対抗する力はない。
無駄な争いを生まないためにも、人間が来る前に発電所から去ることに決めた。
「ヨシ、今日カラコノ森ニ住ムトスルカ」
ピカチュウはコイル達と離れ、近くの森で暮らすことにした。この森には、ピカチュウが住んでいると聞いたからだ。恐らく、ピカチュウという種族が住みやすい場所なのだろう。
「オ、サッソク同種族ヲ発見」
ピカチュウは同じ種族の仲間を見つけた。
「あれ? 君ってここに住んでいたピカチュウだっけ?」
「ハイ、私ハ無人発電所カラ来マシタ」
「え……な、何その変な喋り方……ふざけてるの?」
そのピカチュウは、変な奴と遭遇してしまった、と言いたげな表情をしていた。
彼は何も言わず、どこかへ去ってしまった。
「ン? ナンデアノ仔ハ逃ゲテイッチャッタンダ?」
納得がいかなかったので、別のピカチュウにも話しかけてみた。
「コンニチハ! ハジメマシテ、無人発電所カラ来マシタ」
「こ……こんにちは……」
先程と同じようなリアクションを取られた。
「ドウシマシタ? ナンカ自分オカシイデスカ?」
「なんでそんなカタカナみたいな喋り方なの?」
「エッ?」
「そんな喋り方するピカチュウはじめてみた……」
「チョットマッテ下サイ。ピカチュウハコウイウ喋リ方デショ」
「いやいや、そんな喋り方普通しないよ」
彼は今までコイルやビリリダマと暮らしていた。彼らは皆、こういうカタカナみたいな喋り方をしていた。
電気タイプは、皆こういう喋り方だと思っていた。だから彼も、カタカナでずっと喋っていた。
「君、普通の喋り方はできないの?」
「え、あ、はい。できます、できます。喋れます」
「なんだ、普通に喋れるじゃん。どうしてずっとカタカナで喋ってたの?」
「無人発電所にいた仲間たちの、コイルやビリリダマがこんな感じだったので。電気タイプは、カタカナで喋るのが普通というか、マナーみたいなものだと思ってました」
「なるほどーそういうことか。今まで喋りにくくなかった?」
「めっちゃ喋りにくかったです。ちょっと顎が変な形になりました」