ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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69.コガネのゲームコーナーの話

 ここはコガネシティ。

 コガネには大人も子供もみんな大好きゲームコーナーがあった。ゲームコーナーでは、スロットとカードめくりを遊ぶことができる。特にスロットはコインを稼ぎやすく人気が高かった。

 現在は営業開始前。お店は閉まっている状態だ。

 

 

 ゲームコーナーの最も左上にあるスロット。その中ではスロットの絵柄が、自我を持って動き回っていた。

 実は、ゲームコーナーにあるスロットの中では、営業開始前に絵柄達がこっそりと動き、会話するなどしているのだ。

「まったく。誰だよ、コインの枚数を決めた奴は」

 スロットの中で、チェリーがピカチュウに愚痴を言っていた。

「俺が当たったら6枚なのに、ピカチュウが8枚なのはおかしいだろ」

「仕方ないじゃん。そういう決まりになっているんだから」

「なんで俺が6枚なんだ。そんなに安っぽく見えるのか俺は」

 スロットの絵柄が揃うと、絵柄ごとに異なる数のコインが当たる。だがチェリーが揃っても、たったの6枚しかもらえない。チェリーはそのことに不満を抱いていた。

 いくらなんでも、6枚は少なすぎる。3枚賭けたら、当たっても3枚しか増えない。

「ポケモンをモチーフにしたスロットなんだから、ポケモンが揃ったときの方がコイン多いに決まってるじゃん」

「その理屈はおかしい。スロットといえばチェリーだろ。昔からずっと存在する絵柄だ。いわば勤続年数が長い訳だ。給料が一番多くないとおかしい」

「いや、その理屈の方が意味わかんないけど」

「まあ、ピカチュウはまだ良いよ。同じ一桁台だし。ゼニガメとかヒトデマンとか10枚以上だろ。多すぎる。そもそも、なんで水タイプが被ってんだよ。どっちか無くして、別のポケモンにした方が良かっただろ」

「水タイプが二匹いるのはあれじゃない? 海物語っぽくしたかったんじゃない?」

「それだったら全部水タイプにしろよ」

 

 

「ずいぶんと怒ってるじゃないか、チェリーくんよ」

 どこからともなく、セブンがやってきた。セブンとは、数字の7のことである。セブンは体をクネクネさせながら、チェリーとピカチュウの傍に寄ってきた。

「セブン様、おはようございます。いやー今日もセブン様は美しい!」

「チェリー、お前このスロットに不満があるのか?」

「いやいや、不満なんて全くありません。チェリーは今の状況で十分幸せです」

 このスロットでは、セブンが最も偉い。なぜならセブンが揃うと、300枚も当たるから。そのため、セブンの言うことは絶対で、他の皆はそれに従うより他ないのである。

「セブン様、よろしければ営業開始まで肩でも揉みましょうか?」

「ああ、頼む。最近だいぶ凝り固まってるんだ」

 

 

 セブンとチェリーは、向こうへといってしまった。

「まったく。コインの枚数が多い奴ばかりに媚びちゃって。自分と枚数が近い僕にばっかり、愚痴をぶつけるんだから」

 チェリーがいなくなった後、ピカチュウはひっそりと呟いた。

「このチェリーボーイが」

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