ここはコガネシティ。
コガネには大人も子供もみんな大好きゲームコーナーがあった。ゲームコーナーでは、スロットとカードめくりを遊ぶことができる。特にスロットはコインを稼ぎやすく人気が高かった。
現在は営業開始前。お店は閉まっている状態だ。
ゲームコーナーの最も左上にあるスロット。その中ではスロットの絵柄が、自我を持って動き回っていた。
実は、ゲームコーナーにあるスロットの中では、営業開始前に絵柄達がこっそりと動き、会話するなどしているのだ。
「まったく。誰だよ、コインの枚数を決めた奴は」
スロットの中で、チェリーがピカチュウに愚痴を言っていた。
「俺が当たったら6枚なのに、ピカチュウが8枚なのはおかしいだろ」
「仕方ないじゃん。そういう決まりになっているんだから」
「なんで俺が6枚なんだ。そんなに安っぽく見えるのか俺は」
スロットの絵柄が揃うと、絵柄ごとに異なる数のコインが当たる。だがチェリーが揃っても、たったの6枚しかもらえない。チェリーはそのことに不満を抱いていた。
いくらなんでも、6枚は少なすぎる。3枚賭けたら、当たっても3枚しか増えない。
「ポケモンをモチーフにしたスロットなんだから、ポケモンが揃ったときの方がコイン多いに決まってるじゃん」
「その理屈はおかしい。スロットといえばチェリーだろ。昔からずっと存在する絵柄だ。いわば勤続年数が長い訳だ。給料が一番多くないとおかしい」
「いや、その理屈の方が意味わかんないけど」
「まあ、ピカチュウはまだ良いよ。同じ一桁台だし。ゼニガメとかヒトデマンとか10枚以上だろ。多すぎる。そもそも、なんで水タイプが被ってんだよ。どっちか無くして、別のポケモンにした方が良かっただろ」
「水タイプが二匹いるのはあれじゃない? 海物語っぽくしたかったんじゃない?」
「それだったら全部水タイプにしろよ」
「ずいぶんと怒ってるじゃないか、チェリーくんよ」
どこからともなく、セブンがやってきた。セブンとは、数字の7のことである。セブンは体をクネクネさせながら、チェリーとピカチュウの傍に寄ってきた。
「セブン様、おはようございます。いやー今日もセブン様は美しい!」
「チェリー、お前このスロットに不満があるのか?」
「いやいや、不満なんて全くありません。チェリーは今の状況で十分幸せです」
このスロットでは、セブンが最も偉い。なぜならセブンが揃うと、300枚も当たるから。そのため、セブンの言うことは絶対で、他の皆はそれに従うより他ないのである。
「セブン様、よろしければ営業開始まで肩でも揉みましょうか?」
「ああ、頼む。最近だいぶ凝り固まってるんだ」
セブンとチェリーは、向こうへといってしまった。
「まったく。コインの枚数が多い奴ばかりに媚びちゃって。自分と枚数が近い僕にばっかり、愚痴をぶつけるんだから」
チェリーがいなくなった後、ピカチュウはひっそりと呟いた。
「このチェリーボーイが」