自分は浜辺を一人で散歩していた。
浜辺で一人の女性が立っていた。次の瞬間、その女性の体は光り出した。
「(なんだなんだ?)」
輝きが収まると、そこにいたのは、さっきの女性の服を着たオシャマリだった。
「(え? さっきの女性が、オシャマリに変身したってこと?)」
俺は、このような光景を生まれてはじめてみた。
「(これってあれだよな。transfurだよな。TFだよな。うわっすごい! 現実のTFだ!)」
俺はTFが、とても好きだった。このような光景を見られたのは、すごく幸運である。
ところが。
「あ、しまった。間違えてオシャマリに戻っちゃった」
間違えて戻った???
ということは、彼女は元々、オシャマリだったってこと? オシャマリが人間に変身してたってこと?
「(『戻った』ってことは、そういうことだよね……)」
つまり、これはTFではないようだ。人間⇒ポケモンではなく、ポケモン⇒人間だった。
「(なんだよ、TFじゃないのかよ。がっかりした)」
「そうそう、先に住民票貰う必要があったんだった」
そう言いながら、今度はオシャマリから人間になった。
住民票???
ということは、住所を持ってるってこと?
「(あれ? じゃあTFで合ってるじゃん。住所あるってことは、元々人間だったってことだよね)」
「あ! かかりつけの病院予約してたんだった。先に薬もらわないと駄目じゃん」
そう言いながら、今度は人間からオシャマリになった。
かかりつけの病院???
かかりつけの病院が、海の中にあるの? ポケモン達が運営してる病院ってこと?
「(ってことは、やっぱり元々オシャマリだったのか。かかりつけの病院で、人間に変身する薬貰ってるのかな)」
俺は、大層混乱していた。一体どっちなんだ。TFなのか、TFじゃないのか。
「あ、その前に自宅に忘れ物取りにいかないと」
今度はオシャマリから人間になった。
「(なに? 自宅に向かうために、人間になっただと! よし! TF確定だ!)」
「でも、先に実家行って、親に顔見せた方が良いな」
今度は人間からオシャマリになった。
「(あー違った! 実家は海にあるのか。じゃあTFじゃないわ)」
「間違えた。実家は陸にあるんだった」
オシャマリから人間になった。
「(え! 実家は陸にあるの? じゃあTFじゃん!)」
「いや、違う違う、実家は陸じゃなくて海だよ」
人間からオシャマリになった。
「(やっぱり違うの? どっちなんだよ!)」
「あれ? やっぱり実家は陸だっけ?」
オシャマリから人間へ。
「(……)」
「違うわ。実家は海だ」
人間からオシャマリへ。
「(何やってるんだ、この人……)」
結局この人は、TFしてるのかしてないのか、わからない。
「(もう聞きにいこう直接)」
俺は彼女の目の前まで向かった。
「すいません」
「はい?」
「あなたって、元は人間なんですか、オシャマリなんですか?」
「え?」
「さっきからずっと、変身繰り返してるから気になって」
「それが、私も自分が元々どっちなのか、分からなくなってしまって……」
「はい?」
「あまりにも、人間とポケモンを行き来しすぎて」