ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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72.TFなのか、TFじゃないのか分からなくなる話

 自分は浜辺を一人で散歩していた。

 浜辺で一人の女性が立っていた。次の瞬間、その女性の体は光り出した。

「(なんだなんだ?)」

 輝きが収まると、そこにいたのは、さっきの女性の服を着たオシャマリだった。

「(え? さっきの女性が、オシャマリに変身したってこと?)」

 俺は、このような光景を生まれてはじめてみた。

「(これってあれだよな。transfurだよな。TFだよな。うわっすごい! 現実のTFだ!)」

 俺はTFが、とても好きだった。このような光景を見られたのは、すごく幸運である。

 

 

 ところが。

「あ、しまった。間違えてオシャマリに戻っちゃった」

 間違えて戻った???

 ということは、彼女は元々、オシャマリだったってこと? オシャマリが人間に変身してたってこと?

「(『戻った』ってことは、そういうことだよね……)」

 つまり、これはTFではないようだ。人間⇒ポケモンではなく、ポケモン⇒人間だった。

「(なんだよ、TFじゃないのかよ。がっかりした)」

「そうそう、先に住民票貰う必要があったんだった」

 そう言いながら、今度はオシャマリから人間になった。

 住民票???

 ということは、住所を持ってるってこと? 

「(あれ? じゃあTFで合ってるじゃん。住所あるってことは、元々人間だったってことだよね)」

「あ! かかりつけの病院予約してたんだった。先に薬もらわないと駄目じゃん」

 そう言いながら、今度は人間からオシャマリになった。

 かかりつけの病院???

 かかりつけの病院が、海の中にあるの? ポケモン達が運営してる病院ってこと?

「(ってことは、やっぱり元々オシャマリだったのか。かかりつけの病院で、人間に変身する薬貰ってるのかな)」

 俺は、大層混乱していた。一体どっちなんだ。TFなのか、TFじゃないのか。

 

 

「あ、その前に自宅に忘れ物取りにいかないと」

 今度はオシャマリから人間になった。

「(なに? 自宅に向かうために、人間になっただと! よし! TF確定だ!)」

「でも、先に実家行って、親に顔見せた方が良いな」

 今度は人間からオシャマリになった。

「(あー違った! 実家は海にあるのか。じゃあTFじゃないわ)」

「間違えた。実家は陸にあるんだった」

 オシャマリから人間になった。

「(え! 実家は陸にあるの? じゃあTFじゃん!)」

「いや、違う違う、実家は陸じゃなくて海だよ」

 人間からオシャマリになった。

「(やっぱり違うの? どっちなんだよ!)」

「あれ? やっぱり実家は陸だっけ?」

 オシャマリから人間へ。

「(……)」

「違うわ。実家は海だ」

 人間からオシャマリへ。

「(何やってるんだ、この人……)」

 

 

 結局この人は、TFしてるのかしてないのか、わからない。

「(もう聞きにいこう直接)」

 俺は彼女の目の前まで向かった。

「すいません」

「はい?」

「あなたって、元は人間なんですか、オシャマリなんですか?」

「え?」

「さっきからずっと、変身繰り返してるから気になって」

「それが、私も自分が元々どっちなのか、分からなくなってしまって……」

「はい?」

「あまりにも、人間とポケモンを行き来しすぎて」

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