ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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73.これはチュートリアルだと言い張る話

 俺は、見ず知らずの少年に、突然バトルを挑まれた。

 ポケモントレーナーなら、勝負の頼みは断れない。俺はその少年とバトルをした。

 少年はリオルを出してきた。リオルはそれなりに強かったが、なんとかこっちが勝つことができた。

 

 

「ふう。君強いね」

「ありがとうございました」

「じゃあバトル勝ったから、賞金貰えるかな?」

「いや無理です。払いません」

「はい? いやいや、自分からバトル申し込んだのに、それはないでしょ」

「今自分チュートリアル中なんで」

「え?」

「チュートリアル中なんで、バトルで負けても、お金払わなくて良いことになってるんです」

 彼は突然意味の分からないことを言い出した。

「チュートリアルって何? ゲームとかの最初の操作覚える段階のこと?」

「そうです。今自分はチュートリアルです」

 少年は至極真面目な表情で言ってくる。ふざけているようには見えなかった。

「いやいや。チュートリアルとか、そういうの無いから。ゲームじゃないから。これは現実だから」

「でもチュートリアルなんです」

「何? 君ってあれなの? 旅に出たばかりなの?」

「いや、旅に出たのは三ヶ月前です」

「じゃあチュートリアルじゃないじゃん!」

「後バッジも二つ持ってます」

「とっくにチュートリアル終わってるだろそれ」

「いや、バッジ三つ目までがチュートリアルなんで」

 少年はあくまで、自分の意見を押し通す。

 

 

「じゃあ証拠見せて。今の君がチュートリアル状態だってこと」

「分かりました」

 少年はボールから、さっき戦ったリオルを出した。リオルは元気一杯の様子だった。

「あれ? リオルいつ回復させたの?」

「今チュートリアルなんで、瀕死になってもバトル終われば全回復するんです」

「え、嘘だろ。まさか、本当にチュートリアルなの?」

「そうですよ。よく見ててください。リオル、はっけい!」

 少年は自分に対しはっけいをするように、リオルに命じた。

「おい死ぬぞ」

 リオルのはっけいは確かに少年に命中した。

 しかし、少年はダメージを受けていないどころか、一ミリも吹っ飛びもしない。

「え? なんでダメージ受けないの?」

「チュートリアル中なんで、ポケモンの技喰らっても絶対死なないんです」

「ええ……マジで……」

「これで分かったでしょう。僕は今、チュートリアルなんです」

 この光景を見せられたら、もう信じるしかなかった。

「分かったよ。チュートリアルだって認める」

「分かってくれましたか」

 ……とは言うものの、なんか納得いかなかった。そこでこんな提案をした。

「ただし、約束して欲しい。バッジを三つゲットしてチュートリアルを終えたら、またバトルしてくれ」

「分かりました」

 

 

 数日後

「約束通り来ましたよ」

 バッジを三つゲットしチュートリアルを終えた少年は、約束通り来た。

「よし、バトルしよう!」

 俺と少年は、激しいバトルを繰り広げた。

 少年はかなり強くなっており、危うく負けそうになったが、なんとか勝つことができた。

「勝った……! 今度はちゃんと賞金貰うぞ」

「いや、僕は賞金支払わなくて良い筈です」

「なんで? もうチュートリアル終わってるでしょ」

「これは負けイベなんです」

「いや、負けイベにしてはバトル接戦すぎだろ」

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