ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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74.フラッシュモブみたいな話

 美しい草花が生い茂り、心地よい風が吹くこの草原では、ポケモン達が本当に楽しそうに遊んでいた。

 そんな草原に、ミュウというポケモンが迷い込んだ。ミュウはこれまで、あちこちを坦々としていた。だが、楽しげに遊ぶポケモン達の様子に惹かれ、ここに留まることにした。

 ミュウは草原のポケモン達と共に、有意義な時間を過ごしていた。

 

 

 ある日のこと。ミュウと普段よく遊ぶキルリアは、ミュウの元へと駆け寄り、こう言った。

「私、人間のポケモンになったんだ」

 ミュウは、その言葉を聞いて唖然とした。人間に捕まったなんて、信じたくなかった。

「人間って、すごい優しいんだよ。おやつとかも一杯くれるし。だから、私望んでボールの中に入ったの」

 ミュウの体に更に衝撃が走った。自ら望んで捕まるポケモンがいるなんて。

「だからごめんね。明日から一緒に遊べなくなっちゃった。これからは人間のポケモンとして頑張らなくちゃ」

 キルリアは去っていく。ミュウは何も言い出せなかった。

 ミュウはこのことを、友達のユンゲラーに話した。キルリアのことを聞いたユンゲラーは大層怒っていた。

「きっとあいつは、人間に騙されているに違いない。人間は恐ろしい奴だから」

 ミュウもユンゲラーの意見に同意した。人間がどういう存在かは、ミュウもよく知っていたのだ。

「よし、俺がキルリアを取り戻してやろう」

 そう言ってユンゲラーは、人間が住む地帯に足を踏み入れていった。

 翌日。ユンゲラーは帰ってきた。彼の表情からは怒りが消え失せ、喜びのみが感じられた。

「なあミュウ。俺も、人間のポケモンになることにしたよ」

 ミュウは驚きのあまり声を出せなかった。やっとの思いで「どうして?」と聞いた。

「人間の姿を見て、考えが180度変わったんだ。人間は恐ろしい奴じゃ、まるでなかった。特にあそこにいる人達は、良い人ばかりだった」

 そんなに人間が良いものに見えるのかなあ、とミュウは疑問に思った。

「ミュウも、人間に捕まることをおすすめするよ」

 最後にそう言ってユンゲラーは去っていった。

 

 

「ユンゲラーもキルリアもどうかしてるわ。私、彼らを説得してくるね」

 ミュウの話を聞いたゴチルゼルは、すぐさま人間が住む地帯へと走った。

 だが翌日。

「人間は素晴らしい生き物だわ」

 ゴチルゼルも人間のポケモンになっていた。

 その後、ニャオニクスやイエッサン、ガラルポニータも、みんな人間のポケモンになった。みんなどうしちゃったんだ、とミュウは思った。

 最終的に、草原で遊んでいたポケモン達は全員、人間のポケモンになった。

 彼らはある日、みんなでミュウの元へやってきた。そして、彼らは円を作りミュウを囲った。

「ミュウもおいでよ! こっちへ!」

 さすがのミュウもここまでくれば、自分の意見を貫き通しはしない。友達が揃いも揃って、人間に捕まることを薦めてくるのだ。

 こうしてミュウは、人間のポケモンになることにした。ミュウは草原の隣にある、人間が住む地帯に向かった……。

 

 

 ミュウが自らモンスターボールに入ったのを、研究者達はモニターから確認していた。

「ふう。ミュウが研究所から逃げ出したときは、どうなるかと思った」

「なんとか捕まえることができたな」

「作戦が良かったな」

「ああ。普通に捕獲を試みると、テレポートで逃げられる。かといって手荒な真似もなるべく避けたい」

 草原で遊んでいたポケモンは、実は最初から全て研究所のポケモンだった。知能が高いエスパータイプのポケモン達に、草原で楽しそうに遊んでもらい、ミュウをおびき寄せた。

 仲間達が徐々に人間のポケモンになっていく様子を見れば、ミュウも捕まりたいと思うだろう。そういう作戦だった。

「それにしても誰だよ。こんな作戦思いついたの」

「俺だよ。フラッシュモブの動画観てたら思いついたんだ」

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