この世界の『プレイヤー』は、旅を何度もやり直していた。何回挑戦しても、殿堂入りまで辿り着けないのだ。プレイヤーは世界をリセットし、世界を過去へと戻す。そして、特に悪びれる様子も見せず旅をやり直す。
プレイヤーによって世界が何度もリセットされていることを、とある研究者は知った。研究者は、プレイヤーから詳しく話を聞いた。
「君はどうして、何度も世界をリセットするんだい?」
プレイヤーは最初の頃は、研究所でもらった最初のポケモンだけ強くしていた。1匹だけ集中して育てるため、レベルはどんどん上がっていく。相性が悪くないポケモンなら、負けることはない。
たが、相性の悪い強敵にぶち当たると、為す術もなくやられた。
ヒトカゲをもらったときは、スターミーを繰り出すジムで詰んだ。ゼニガメをもらったときは、ライチュウを繰り出すジムで詰んだ。フシギダネをもらったときは、フーディンを繰り出すジムで詰んだ。
どの御三家を選んでも、必ずどこかで詰む。詰む度に世界をリセットし、最初からやり直した。
その後は、今までの反省を活かし、御三家と他の5匹のレベルを全て同じにした。御三家がレベル15なら、他も15で統一させた。手持ちのポケモンのレベルを、1つずつ順番に上げていった。
だが、このやり方では、あまりにも時間がかかりすぎた。途中でプレイヤーは根気が尽きてしまい、世界をリセットした。
他には、レベルを階段状にしたこともあった。レベル15、14、13……という感じに、手持ちのレベルを1つ差にした。
後は、御三家だけレベルを3つほど高くし、他は全て均等にする、なども試した。御三家が主砲で、他がそれをサポートする、みたいなイメージにしようと思っていた。
いずれのやり方も、あまり上手くいかなかった。
その後は、道中で何度も戦う『ライバル』に、レベルを合わせることを試みた。手持ちの数およびレベルが、ライバルと全く同じになるように調整した。「ライバルと対等な勝負をやってみたい」と考え、こんなことをやった。
だが、ライバルと同じレベルに調整するなんて、そんな高度なことができる筈もなく。やはり途中で挫折した。
「なるほどね。それで君は、世界を何度もリセットしてきた訳か」
とある研究者は、プレイヤーから話を聞き終えた。
どうやらこの少年は、何らかの規則性に基づかないと、レベリングができないらしい。手持ちのレベルを均等にする、と決めたら、絶対に均等に上げていかないと気がすまないようだ。状況に応じて、レベルの上げ方を変える、ということができないのである。
研究者はプレイヤーの話を聞き、プレイヤーにあるものを渡した。それは学習装置だった。
プレイヤーは「学習装置は既に試した」と言った。だが、研究者はそれでも彼に学習装置を与えた。
「この学習装置は、君が持っているものとは違う。学習装置をONにすると、手持ち全員に経験値が入るんだ」