ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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77.人間を戦わせるポケモンの話

「いけっ、高橋! そこで左アッパー!」

「かわせ! 近藤!」

 道端で、エレブーとブーバーが人間を戦わせていた。

「近藤いまだ! 腹を蹴り上げろ!」

 近藤の蹴りが高橋の腹部にクリーンヒットする

『グハッ!!』

 強烈な一撃に思わず高橋は、大量のツバを口から吐き出した。

「とどめだ近藤!」

 倒れた高橋の頭を近藤はボコボコに殴った。高橋はとうとう気を失ってしまった。

「よし! 今回のバトルは俺の勝ちだな」

「くそっ! なんでだ高橋! もっと攻撃ちゃんと当てろよ!」

 今回のバトルは、ブーバーの勝利に終わった。負けたブーバーは悔しさを顕にした。

 

 

 ポケモン達の間で人間を戦わせるスポーツが広まっていた。町や草むらなど、至るところで人間を戦わせていた。手持ちの人間の中で誰が最も強いかを決めるリーグも、定期開催されていた。

「なあ、ブーバーちょっといいか」

 エレブーはこんな話をした。

「なんかさあ、人間を戦わせるのって飽きてこねえか」

「えっそう?」

「だって人間って、似たような技しか出せないじゃん。殴ったり蹴ったりばっかりだぞ。同じこと繰り返してるだけじゃん。これじゃあ飽きるだろ」

「そんなことないだろ。『かわせ!』って言って攻撃をかわす面白さとかあるじゃん」

「あれずるいから止めろ」

「ずるくないだろ。攻撃をかわしちゃいけないルールなんてない」

「とにかく、もう飽きたよ俺は」

「お前、俺に負けたから、負け惜しみでそういうこと言ってるだけだろ」

 ブーバーはエレブーを挑発するような口調で言った。

「なんだと! お前もう一回言ってみろ!」

 エレブーは顔を真っ赤にして怒り出す。怒りのあまり、触覚から電気を放出してしまった。

「あ、悪い。電撃出しちまった」

「うわっ。危ねえなお前! そんなことするなら俺もやんぞ」

 ブーバーは口から炎を吐いた。エレブーは避けようとしたが、少し掠って尻尾が焦げてしまった。

「おい馬鹿! 家の中で炎なんて吐くなよ」

「お前が先に攻撃してきたんだろ!」

「俺のはわざとじゃねえって。……ん?」

 エレブーの頭上に豆電球が光った。

「エレブー、どうした?」

 

 

「もしかしてさ、俺達が自分で戦った方が面白いんじゃね? 人間に戦わすよりも」

「は? お前何言ってるの?」

「俺たちって技たくさん持ってるよな。十万ボルト、火炎放射……。技のレパートリーが人間より圧倒的に豊富だ。だったら、ポケモンが戦った方が、絶対面白くなるだろ」

「……そうか! 俺達が戦った方が良いのか!」

「他にも、電磁波とか影分身とか、様々な補助技も持ってるし」

「そうだな! ポケモン同士で直接戦った方が面白いな」

「ちょっと一回俺達でバトルしてみようぜ」

 エレブーとブーバーは外に出て、軽く戦ってみた。

「やっぱり自分で戦った方が面白いじゃねえか!」

「技のレパートリーが豊富だから、バトルが単調にならないな。あーでも一個だけ思ったが、技を出しながら、自分で戦況分析するのってしんどくないか?」

「確かにしんどいな。頭と体、両方同時に使うのは疲れる。そうだ! 人間達に戦況分析をやらせたらどうだ?」

「そうだな。人間達に何の技を出すか指示してもらって、その指示を聞いて俺達が戦うようにすれば良いんだ」

「それが良いな。面倒なことは、全部人間達にやらせようぜ!」

 

 

 エレブーとブーバーが生んだバトルは、徐々に広まっていった。

 こうして、ポケモンバトルがこの世界に誕生したのであった。

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