「いけっ、高橋! そこで左アッパー!」
「かわせ! 近藤!」
道端で、エレブーとブーバーが人間を戦わせていた。
「近藤いまだ! 腹を蹴り上げろ!」
近藤の蹴りが高橋の腹部にクリーンヒットする
『グハッ!!』
強烈な一撃に思わず高橋は、大量のツバを口から吐き出した。
「とどめだ近藤!」
倒れた高橋の頭を近藤はボコボコに殴った。高橋はとうとう気を失ってしまった。
「よし! 今回のバトルは俺の勝ちだな」
「くそっ! なんでだ高橋! もっと攻撃ちゃんと当てろよ!」
今回のバトルは、ブーバーの勝利に終わった。負けたブーバーは悔しさを顕にした。
ポケモン達の間で人間を戦わせるスポーツが広まっていた。町や草むらなど、至るところで人間を戦わせていた。手持ちの人間の中で誰が最も強いかを決めるリーグも、定期開催されていた。
「なあ、ブーバーちょっといいか」
エレブーはこんな話をした。
「なんかさあ、人間を戦わせるのって飽きてこねえか」
「えっそう?」
「だって人間って、似たような技しか出せないじゃん。殴ったり蹴ったりばっかりだぞ。同じこと繰り返してるだけじゃん。これじゃあ飽きるだろ」
「そんなことないだろ。『かわせ!』って言って攻撃をかわす面白さとかあるじゃん」
「あれずるいから止めろ」
「ずるくないだろ。攻撃をかわしちゃいけないルールなんてない」
「とにかく、もう飽きたよ俺は」
「お前、俺に負けたから、負け惜しみでそういうこと言ってるだけだろ」
ブーバーはエレブーを挑発するような口調で言った。
「なんだと! お前もう一回言ってみろ!」
エレブーは顔を真っ赤にして怒り出す。怒りのあまり、触覚から電気を放出してしまった。
「あ、悪い。電撃出しちまった」
「うわっ。危ねえなお前! そんなことするなら俺もやんぞ」
ブーバーは口から炎を吐いた。エレブーは避けようとしたが、少し掠って尻尾が焦げてしまった。
「おい馬鹿! 家の中で炎なんて吐くなよ」
「お前が先に攻撃してきたんだろ!」
「俺のはわざとじゃねえって。……ん?」
エレブーの頭上に豆電球が光った。
「エレブー、どうした?」
「もしかしてさ、俺達が自分で戦った方が面白いんじゃね? 人間に戦わすよりも」
「は? お前何言ってるの?」
「俺たちって技たくさん持ってるよな。十万ボルト、火炎放射……。技のレパートリーが人間より圧倒的に豊富だ。だったら、ポケモンが戦った方が、絶対面白くなるだろ」
「……そうか! 俺達が戦った方が良いのか!」
「他にも、電磁波とか影分身とか、様々な補助技も持ってるし」
「そうだな! ポケモン同士で直接戦った方が面白いな」
「ちょっと一回俺達でバトルしてみようぜ」
エレブーとブーバーは外に出て、軽く戦ってみた。
「やっぱり自分で戦った方が面白いじゃねえか!」
「技のレパートリーが豊富だから、バトルが単調にならないな。あーでも一個だけ思ったが、技を出しながら、自分で戦況分析するのってしんどくないか?」
「確かにしんどいな。頭と体、両方同時に使うのは疲れる。そうだ! 人間達に戦況分析をやらせたらどうだ?」
「そうだな。人間達に何の技を出すか指示してもらって、その指示を聞いて俺達が戦うようにすれば良いんだ」
「それが良いな。面倒なことは、全部人間達にやらせようぜ!」
エレブーとブーバーが生んだバトルは、徐々に広まっていった。
こうして、ポケモンバトルがこの世界に誕生したのであった。