ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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78.さいしょからはじめる話

 国民的ゲーム『ポケットモンスター』の赤が目の前にある。

 自分はまだポケモンをプレイしたことがなく、一度やってみようと思い、中古品だが買ってみたのだ。

「よし、さっそく遊ぶか」

 自分はゲームボーイの電源をオンにした。

 

 

>つづきからはじめる

 

 さいしょからはじめる

 

 せっていを かえる

 

 このような画面が出てきた。

「えっと、『さいしょからはじめる』でいいんだよな」

『さいしょからはじめる』を選択すると、画面がいきなり真っ暗になった。

「なんだこれ?」

 しばらく待つと、画面にオタマジャクシのようなものが出現した。

「これってポケモン? ニョロモか? こんなリアルな感じなのか」

 少し経過してから、画面下にテキストが表示された。

 

『ここは、あなたが生まれる前の世界。あなたは今精子です。制限時間以内に、卵子を目指せ!』

 

「えっ!? さいしょからはじめる、ってそういうこと???」

 ちょっと待て。本当の本当に最初からじゃないか。主人公が生まれる前からゲームスタートって。

 これって、ポケモンマスターを目指すゲームだよな。ポケモン全然出てこないじゃん。

 戸惑っている間に、ゲームがはじまってしまった。十字キーを押すと画面の精子が動いた。

「いや、精子を動かすんじゃなくて、ポケモンを捕まえたり戦わせたりするのがやりたいんだが」

 自分はわけも分からず、ゲームの電源をいったん切った。

「なんなんだこのゲーム……」

 

 

 再び電源を入れて、この画面に立ち返る。

 

>つづきからはじめる

 

 さいしょからはじめる

 

 せっていを かえる

 

「しょうがない、つづきからはじめよう」

 精子からはじめては、いつになったらポケモンが出てくるか分からない。俺は『つづきからはじめる』を選択した。このゲームは中古品なので、前の所有者が遊んだデータが残っている。

 画面上には『プレイ時間30時間』と書かれていた。このプレイ時間なら、かなり進んでいるだろう。すでにクリアしていてもおかしくない。

 画面に出てきたのは、主人公の部屋らしき空間だった。

「え、これもしかして……」

 主人公の母親らしき人がこう言った

 

『お誕生日おめでとうレッド!あなたももう二歳ね!』

 

「いやまだ二歳かよ主人公!」

 どうやら、全然ゲームが進んでいないようだ。プレイ時間30時間なのに、まだ二歳……。どんだけ長いのだろうかこのゲーム。

「だから俺は、ポケモンを捕まえるのがやりたいんだよ!」

 またゲームの電源を切った。

 

 

 再び電源を入れて、この画面に立ち返る。

 

>つづきからはじめる

 

 さいしょからはじめる

 

 せっていを かえる

 

「そういえば『せっていを かえる』ってなんだ?」

 このゲームの設定をここから変更できるのだろうか?

「ひょっとしたら設定を変えれば、10歳になるまでの過程を、スキップできるかも」

 そんなことはない気がするが、僅かな望みにかけて、『せっていを かえる』を選択した。

 すると、このようなテキストが表示された。

 

Q.ユーラシア大陸は地球のどこに設置しますか?

 

>北

 

 南

 

 西

 

 東

 

「設定を変えるって、大陸の位置から設定するのかよ!」

 一体なんだこのゲーム。ポケモンらしさが微塵も感じられない。っていうか、これは何をするゲームだ。

「これ、本当のポケモンのゲームか?」

 嫌な予感がしたので、カセットを抜いて確かめた。

「なんだよ! やっぱりポケモンじゃないじゃん」

 このゲームはポケモンではなく『天地創造!神様体験ゲーム3』だった。

 カセットが赤いから間違えて購入したようだ。

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