国民的ゲーム『ポケットモンスター』の赤が目の前にある。
自分はまだポケモンをプレイしたことがなく、一度やってみようと思い、中古品だが買ってみたのだ。
「よし、さっそく遊ぶか」
自分はゲームボーイの電源をオンにした。
>つづきからはじめる
さいしょからはじめる
せっていを かえる
このような画面が出てきた。
「えっと、『さいしょからはじめる』でいいんだよな」
『さいしょからはじめる』を選択すると、画面がいきなり真っ暗になった。
「なんだこれ?」
しばらく待つと、画面にオタマジャクシのようなものが出現した。
「これってポケモン? ニョロモか? こんなリアルな感じなのか」
少し経過してから、画面下にテキストが表示された。
『ここは、あなたが生まれる前の世界。あなたは今精子です。制限時間以内に、卵子を目指せ!』
「えっ!? さいしょからはじめる、ってそういうこと???」
ちょっと待て。本当の本当に最初からじゃないか。主人公が生まれる前からゲームスタートって。
これって、ポケモンマスターを目指すゲームだよな。ポケモン全然出てこないじゃん。
戸惑っている間に、ゲームがはじまってしまった。十字キーを押すと画面の精子が動いた。
「いや、精子を動かすんじゃなくて、ポケモンを捕まえたり戦わせたりするのがやりたいんだが」
自分はわけも分からず、ゲームの電源をいったん切った。
「なんなんだこのゲーム……」
再び電源を入れて、この画面に立ち返る。
>つづきからはじめる
さいしょからはじめる
せっていを かえる
「しょうがない、つづきからはじめよう」
精子からはじめては、いつになったらポケモンが出てくるか分からない。俺は『つづきからはじめる』を選択した。このゲームは中古品なので、前の所有者が遊んだデータが残っている。
画面上には『プレイ時間30時間』と書かれていた。このプレイ時間なら、かなり進んでいるだろう。すでにクリアしていてもおかしくない。
画面に出てきたのは、主人公の部屋らしき空間だった。
「え、これもしかして……」
主人公の母親らしき人がこう言った
『お誕生日おめでとうレッド!あなたももう二歳ね!』
「いやまだ二歳かよ主人公!」
どうやら、全然ゲームが進んでいないようだ。プレイ時間30時間なのに、まだ二歳……。どんだけ長いのだろうかこのゲーム。
「だから俺は、ポケモンを捕まえるのがやりたいんだよ!」
またゲームの電源を切った。
再び電源を入れて、この画面に立ち返る。
>つづきからはじめる
さいしょからはじめる
せっていを かえる
「そういえば『せっていを かえる』ってなんだ?」
このゲームの設定をここから変更できるのだろうか?
「ひょっとしたら設定を変えれば、10歳になるまでの過程を、スキップできるかも」
そんなことはない気がするが、僅かな望みにかけて、『せっていを かえる』を選択した。
すると、このようなテキストが表示された。
Q.ユーラシア大陸は地球のどこに設置しますか?
>北
南
西
東
「設定を変えるって、大陸の位置から設定するのかよ!」
一体なんだこのゲーム。ポケモンらしさが微塵も感じられない。っていうか、これは何をするゲームだ。
「これ、本当のポケモンのゲームか?」
嫌な予感がしたので、カセットを抜いて確かめた。
「なんだよ! やっぱりポケモンじゃないじゃん」
このゲームはポケモンではなく『天地創造!神様体験ゲーム3』だった。
カセットが赤いから間違えて購入したようだ。