ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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79.目と目が合ってないのにポケモンバトルしようとする話

 俺はごく普通のどこにでもいるありふれたポケモントレーナー。

 草むらを歩いていると、下を向きながら歩いている、一人のトレーナーを見つけた。

 目と目が合ったらポケモンバトル。トレーナー界には、このような暗黙の了解がある。目を合わせてしまったら、どんな状況でも戦わなくてはいけないのだ。おそらくあいつは、戦いたくないから、下を向いているのだろう。

「しょうもないやり方でバトルを回避しやがって……許せない!」

 俺は、そいつとなんとしてでもバトルしようと心に誓った。

 

 

 俺はそいつの傍に寄った。そいつは一言も話さず、黙々と歩いている。

 俺は少ししゃがみながら歩く。下からそいつの顔を覗き込もうとした。

 ところが。

「なん……だと……!」

 そいつは俺が覗き込んだ瞬間に、上を向きやがった。

「こいつ、絶対に目を合わせないつもりか……」

 そいつは俺より身長が高く、上を向くと全く顔が見えなくなる。

「こうなったら、ピジョン頼んだ!」

 俺はボールからピジョンを出し、ピジョンの上に乗った。そして、そいつの頭上まで向かう。上から目を合わせる作戦だった。

 ところが。

「こいつ! また下を向きやがった!」

 そいつはまた下を向いてしまった。

 俺はピジョンから一度降りて、また下から覗き込もうとした。だが、今度は上を向いてしまう。再びピジョンに乗って頭上まで向かったが、やはり下を向いてしまった。だめだ! どうやっても目が合わせられない!

 

 

「よし、こうなったら!」

 俺はピカチュウを出した。ピカチュウに鏡を持たせた。

「ピカチュウは鏡を持ったまま、あいつの下に居てくれ」

 俺はピジョンに乗って頭上に向かった。そいつは下を向く。その瞬間、ピカチュウは下から鏡をそいつに向けた。

「これで鏡に顔が映るはず……。そしたら目を合わせられる!」

 ところが。

 そいつは今度は、上でもなく下でもなく、前を向いてしまった。

「くそっ! だったら……バタフリー頼んだ!」

 俺はバタフリーにも鏡を持たせた。バタフリーには、そいつの前に立ってもらう。

 完全に、そいつを包囲した状態となった。

「これでもう逃げ場はない! 覚悟しな!」

 

 

 ところが。

『パリーン!!!』

 なんとそいつは、素手でバタフリーが持った鏡を割りやがった。

「まじかよ! 鏡割るなんて反則だぞ!」

 素手で鏡を割るなんて、とんでもない度胸だ。

「(……っていうかよく見たら、この人めっちゃ怖い人じゃん。身長めっちゃでかいし、筋肉ムキムキじゃん)」

 俺はポケモン達をボールに戻し、咄嗟に彼から離れた。

「どうもすいません、失礼しました」

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