ポケモン、クセが強い短編集   作:@逆行

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82.命がけのバトルか分からない話

 トレーナーのポケモンになったサイホーンは、さっそくバトルに駆り出された。

 相手はごく普通のトレーナーだった。

 だが、相手はオコリザルで相性が悪く、サイホーンは敗れてしまった。

 サイホーンは気がつくと、ボールの中にいた。

「なんで俺生きてるんだ?」

 確かにあのとき、空手チョップで気を失った。なのに、なぜ自分は無事なのだ。

「トレーナーのバトルは、殺し合いじゃない。気を失った時点で決着だ」

 トレーナーの元に長くいるらしいリザードに、教えてもらった。

「そうなのか。てっきり命がけのバトルかと思っていた」

 サイホーンは今まで、弱肉強食の世界で生きてきた。バトルといえば殺し合いだった。だから、トレーナー同士のバトルも、命がけなのだと思いこんでいた。

「なんだよ。殺されるかと思った。過剰にビビって損した」

 

 

 次にボールから出されたのは、暴走族と戦うときだった。

「(相手は暴走族か。これは命がけのバトルだな。暴走族がルールなんて守る筈ないし)」

 サイホーンはそう思い、気を引き締めた状態でバトルした。相手のゴローンにサイホーンは、惜しくも敗れて倒れてしまった。殺される、と思ったが、ゴローンはトドメを刺してこなかった。

「……これも命がけのバトルじゃないのかよ。またビビって損した」

 どうやら相手が暴走族でも、別に殺し合いとかにはならないらしい。

 

 

 お次は祈祷師という職業と戦った。祈祷師はシオンタウンに潜む幽霊に取り憑かれていた。恐ろしい形相をこっちに向けていた。ポケモンじゃなくて、トレーナーが自ら襲ってきそうだ。

「(これは流石に命がけのバトルだろ。だって悪霊に取り憑かれてるんだぞ)」

 サイホーンはそう思っていたが、やはりこれも命がけのバトルではなかった。

「だめだ……何が命がけのバトルで、何が命がけじゃないのか、全然分からない」

 

 

 お次はロケット団のしたっぱとのバトル。

「(反社会的勢力なら流石に殺そうとしてくるだろ。これは命がけ確定だ)」

 しかしやはり命がけのバトルではなかった。

 お次はロケット団のボスとのバトルだった。

「(いや流石に、ボスとのバトルでそんな、戦闘不能になって終わりってことはないだろ)」

 しかしやはり命がけのバトルではなかった。

「全くわからん。なんで相手は殺そうとしてこないんだ?」

 命がけのバトルじゃないなら、戦う前にそう教えて欲しい。命がけのバトルだと思って戦うと、二倍、いや十倍は疲れる。気持ちを楽にして戦って良いのか、判断させてくれよ……。

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