僕は現在クチバジムで審判を行っていた。
今日のチャレンジャーは恐ろしく強かった。マチスさんが追い込まれる光景を見るのは初だった。
ダグトリオは穴を掘るを使い、マチスさんのピカチュウの足元から飛び出した。宙に飛ばされたピカチュウは地面に激突する。ピカチュウは目を回して倒れていた。
「ピカチュウ、戦闘不能! ダグトリオの勝ち!」
マチスさんは次にレアコイルを出す。レアコイルはソニックブームで、ダグトリオの体力を削った。
ダグトリオは地面を大きく揺らす。地震によってレアコイルは大ダメージを受けた。
地震が収まると、レアコイルは3つの目をグルグルと回し倒れていた。
「レアコイル、戦闘不能! ダグトリオの勝ち!」
僕が審判を始めたのは、数ヶ月前のこと。自分は審判として高く評価され、ジム戦の審判まで昇格できた。今度はポケモンリーグの審判を任されることになった。
自分で言うのもあれだが、出世のスピードは相当早い。
今日は仕事が休み。喫茶店で友人と話をしている。
「すげえな。お前もうポケモンリーグの審判かよ」
「まあ、僕には審判しかできないからね」
「よく審判なんてできるよな。ポケモンが戦闘不能になったとか、瞬時に判断できるのマジで意味分からんわ」
「え? 戦闘不能になったかは、普通に判断できるでしょ」
「いや無理だろ。だって、一度倒れても、起き上がってくることあるじゃん」
「それはあるよ」
「そういう場合に、誤審してしまうことないの?」
「……ないなあ」
「え、なんで?」
「だってポケモンの目がグルグルしてるの見れば、戦闘不能って分かるじゃん」
「……どういうこと?」
「やられたとき目が変わって、グルグル回転するじゃん。それ見てジャッジしてるだけだよ」
「お前何言ってるの? 目がグルグルなんてしないだろ。普通に目をつぶってるだけだろ」
「え?」
「目が回転するってなんだよ。怖いよ! どういう体の構造になってるんだ」
「分からないの? ポケモンの目が変わるの」
「全く分からん」
「……じゃあさ、メロメロって技知ってる?」
「知ってるよ」
「メロメロを受けたポケモンって、目がハートになってるように見えない?」
「目がハート? 見えないよ。どういう状況だよそれ」
「もしかして、混乱状態のとき、ポケモンの頭上で小さいアチャモが回っているのも、見たことない?」
「ねえよ、そんなの!」
「嘘だろ……俺にしか見えてないのかよ……」
「お前、一度病院とか行った方が良いよ。幻覚でも見えてるんじゃないか」
友人と別れ、すぐさま自宅でバトルビデオをチェックした。
やはり何度見ても同じだ。戦闘不能のポケモンは、グルグル目で倒れている。
「え? なんか特殊能力あるってこと?」