コンテストバトルの決勝が繰り広げられていた。決勝戦はニドキングとロズレイドの戦いだった。
ロズレイドは花弁の舞を空中に繰り出し、落ちてくる花弁と共に優雅に踊り始める。観客から歓声が湧き上がり、相手のポイントを大きく削った。
一方ニドキングのトレーナーは……。
「角ドリル!」
ニドキングは頭の角を回転させ、ロズレイドに突進していく。ロズレイドはその攻撃を間一髪かわした。攻撃が外れたことにより、ポイントが削られていく。
ロズレイドは日本晴れを使った。屋外であるコンテスト会場に、眩い輝きを持つ太陽が出現する。太陽の日差しに美しくロズレイドが照らされ、ニドキング側のポイントが更に減った。
そんなことは意にも介さず、ニドキングは再び角ドリルを使う。ロズレイドは避けきれなかった。
ロズレイドは戦闘不能。コンテストバトルにおける、バトルオフの状態。
ニドキング使いの男は優勝した余韻に浸っていたが、主催者から呼び出しをくらう。
「ちょっと待てちょっと待て!」
主催者はひどく慌てた表情をしていた。
「なんですか?」
「なんで角ドリルばっかり使ってるんだ? コンテストバトルだよ」
男は何をそんなに怒っているのか、理解できなかった。
「今回のコンテスト、テレビ放送もされてるんだよ。放送事故だよこんなの」
「角ドリル駄目ですか」
「駄目でしょ。コンテストバトルっていうのは、魅せるバトルなんだ。常識的に考えて一撃必殺技はなしでしょ。技を優雅に繰り出して、相手のポイントを削って勝つ。それがコンテストバトル」
「でも、相手を戦闘不能にしても勝ちですよね」
「確かに君みたいに、最初からバトルオフ狙いの人もいる。でも、流石に一撃必殺技はまずい」
「はあ……」
「しかも、一回戦からずっと角ドリルしか使ってないでしょ」
「はい。対戦相手はみんなモタモタしてますんで、角ドリル連発すれば大抵一回は当たります」
「ずるいよそれは。フェアじゃない」
「でも、角ドリル禁止、なんてルールないですよ」
「それはそうだが。コーディネーターとしての誇りはないのか」
「ありますよ」
「あるんなら他の技も使え。君のニドキング、他に何の技がある?」
「ないです」
「は?」
「角ドリル以外の技、全部忘れたんで」
「はあ???」
「後、サイドンとかアズマオウとか他の手持ちも、角ドリルしか使えないです」
「なんで角ドリルに拘る?」
「角ドリルマスター目指してるんで」
「なんだ角ドリルマスターって! とにかく、角ドリルはもう駄目。一撃必殺技は全て禁止。今度上層部に連絡して、ルールに追加してもらうから」
「他の一撃必殺技も駄目?」
「そうだ」
「じゃあ仲間にも言わないと」
「仲間?」
そのとき部屋に二人の男が入ってきた。
「あ、お前ら」
彼の仲間らしい。
「どうした? 主催者に呼び出されて」
「なんかさあ。一撃必殺技、コンテストバトルで禁止になるらしいよ」
「はあ???」
二人の仲間は一斉にブーイングを出し始める。
「おいおいマジかよ。俺のラプラス、絶対零度しか覚えさせていないんだよ。次から、コンテスト出場しようと思ったのに」
「俺のキンクラーもハサミギロチンしか覚えていない。どうするんだよこれから」
主催者は仲間達の発言に、呆気にとられていた。
「なんでそんな一撃必殺技に拘るんだ!」
「一撃必殺技って当たるのも運、外れるのも運じゃないですか。運良く命中し勝利をおさめたときの快感が、堪らないんですよ。こんなこと、止められる訳ない」
「もうお前ら、コンテストじゃなくてギャンブルやれ!」