アブソルは災いポケモン、と昔から言われていた。技術が発達していない時代は、災いの原因がアブソルにあると人々は信じていた。そのため、一部ではアブソルを駆除する動きさえあった。
しかし最近ではさすがにもう、そんな都市伝説を信じる者はいなかった。アブソルは災いを起こしているのではなく、災いが来るのを人々に知らせに来ている、という正しい情報が広まっていた。
ところが、最近またアブソルを災いポケモンと呼称する人がぽつぽつ現れたらしい。
「なんでだ……誤解は解けたんじゃないのか」
「分からない……。誰かが嘘をばら撒いているのか」
この事態にアブソル達は焦り始めた。せっかく誤解が解けて平和な時代がやってきたのに、悲劇的な時代に逆戻りしてしまうのではないかと危惧しているのである。
ある日のこと。
120番道路では、一人の少年がひたすら草むらを歩いていた。少年はポケモンをゲットしようと思っていた。だが、お目当てのポケモンが全然見つからない。
「いた! あれがアブソルか!」
ようやく少年は探していたアブソルをついに発見した。
「よし、捕まえてやるぞ」
少年の手には紫のボールが握られていた。これは、マスターボールと呼ばれるもの。どんなポケモンも100%捕まえてしまうチートすぎるモンスターボールだ。
投げられたマスターボールはアブソルから大きく逸れたが、突然軌道を変えアブソルの元へと突撃する。そして、アブソルを一瞬で飲み込んだ。ボールはすぐに動かなくなる。
「やった! 『伝説』のポケモンを捕まえたぞ」
念願のポケモンを手に入れられ、少年は大層喜んでいた。
だが、その後少年はアブソルについて図鑑で調べ、アブソルが伝説のポケモンではないという事実を知った。
「嘘だろ……一つしか持っていないマスターボールを使ってしまった……」
そう。少年はずっと、アブソルは伝説のポケモンと勘違いしていた。
アブソルを伝説のポケモンと誤解するトレーナーは多かった。
威厳のある風貌、災いを感知するという特性、何よりアニメのオープニングでかなり目立って登場したという事実、それらが勘違いする要因だった。
勘違いしたトレーナらは、貴重なマスターボールをアブソルに使ってしまった。
「これは災いだ!」と思った彼らは、アブソルを『災いポケモン』と呼ぶようになった。
アブソル達は、次第にその事実を知るようになる。
一匹のアブソルは呆れながら「いつの時代も変わらないなあ」と呟いた。