マサラタウンと呼ばれる町。ここには、オーキド博士の研究所があった。
研究所から少し離れた場所で、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメの三匹が遊んでいた。三匹はこれから旅に出るトレーナーが連れられるポケモン達だった。三匹は遊びに夢中になっていた。もうすぐ三匹は離れ離れになってしまうから、今のうちに思う存分遊んでいた。
そのときである。どこからともなく、天の声が聞こえた。
「お知らせです。もうすぐ『プレイヤー』がゲームを開始します。全員速やかに、指定の位置に戻りましょう」
すると、周囲の人間が「急げ!」と言いながらダッシュし出した。各々が家の中など指定の場所に戻っていく。また、ポッポやコラッタなど野生のポケモンも、一斉にマサラタウンから抜け出していった。
「科学の力ってすげー」と言うセリフでお馴染みの小太りの男性も、走ってオーキド研究所の目の前まで移動していた。
フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメの三匹はお互いに顔を見合わせた。
「プレイヤー来るってさ。僕たちも速く戻らないと」
「まだ大丈夫だよ。もうちょっと遊んでいようよ」
「そうだよ。せっかく良いところなんだからさ」
「まあ、ちょっとだけなら……」
三匹は天の声を無視して、後数分だけ遊んでいることに決めた。
すると突然、強風が吹き始めた。あまりの風の強さに、三匹は飛ばされそうになった。
「な、なんだこの強風! もしかして、プレイヤーの仕業?」
「そうだ! プレイヤーが風を起こしているんだ!」
「おいおい! 荒々しいことするじゃないか、まったく」
風はどんどん強くなり、三匹はついに飛ばされてしまった。
「うわああああああああ!!!!」
とうとう三匹は意識を失ってしまった。
「……あれ、ここは??」
気がついたときには、三匹ともオーキド研究所のボールの中に戻っていたのだった……。
「ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
少年はゲームボーイの差し込み口に、懸命に息を吹きかけていた。
ゲームボーイのソフトは時折、接触不良かなんだか知らないが、ソフトを本体に差し込んでも起動しないときがある。
そんなとき多くの人間は彼のように、差し込み口に息を吹きかける。すると、なぜかゲームがちゃんと起動することがあるのだ。ただ、故障の原因にもなるため、本来は推奨される行為ではない。
「よし、今度こそ上手くいくかな」
少年はソフトを再び差し込む。今度は起動が上手くいった。少年は『ポケットモンスター赤』をプレイし始めた。