彼はポケモンコンテストに何回も挑戦した。
最初のコンテストではマホイップを出した。
「マホイップ、生クリームを出して!」
マホイップは空中に生クリームを連射した。生クリームは地上に落下する。落下した生クリームを上から見ると、「鬱」という漢字になっていた。鬱は書くのが難しい漢字だ。それを生クリームで表すのは、すごい技術ではある。
次のコンテストではワンリキーを出した。
「ワンリキー、地球投げ!」
トレーナーはワンリキーに地球儀を投げて渡す。地球儀を掴んだワンリキーは、地球投げを繰り出した。地球投げによって地面に叩きつけられた地球儀は、粉々に砕けた。文字通り、地球投げをやったということになる。
次のコンテストではカイリューを出した。
今度は舞台上にカカシを用意した。カカシには「会社の上司」と書かれている。
「カイリュー破壊光線」
どこぞのチャンピオンのようなポーズを取り、カイリューに命令する。カイリューの破壊光線によって、会社の上司らしいカカシは粉々になった。
以上が彼がコンテストで披露したパフォーマンスである。彼は見事に毎回、一次審査で落ちていた。
「おかしいなあ」
彼はSNSでパフォーマンス動画を多くアップしている。その動画はかなりバズっていた。彼はSNS内で結構有名な存在だった。コンテストで披露したパフォーマンスも、元々SNSでバズったものだ。
「やっぱりSNSとコンテストじゃ、受けるレベルが違うのか……」
そんなときのことである。毎回コンテストで勝ち抜いている人を見つけた。
「あ、あの人!」
彼はその人物を良く知っていた。その人も彼同様、SNSで良くバズっている人だからだ。同じSNSでバズる人なのに、かたや毎回勝ち抜き、かたや毎回落ちる、この差はどこにあるのか。
「よし、あの人に相談してみよう」
彼はその人の元へと向かった。
彼はその人に、自分のパフォーマンスはどこに問題があるか聞いた。
「SNSではバズるのに、コンテストでは全然通用しないんです」
「SNSって何のSNS?」
「Twitterです」
「Twitterでバズるようなのは、コンテストでは評価されないよ」
「え?」
「評価されるのは、インスタでバズるようなのだよ」
その人は、SNSはSNSでもインスタをやっている人であった。
「インスタでバズる動画は、可愛かったり美しかったりするものだから、コンテストにも応用が効くけど……。Twitterでバズるのは、ネタ動画とかスカッとする奴とかだから、コンテストだと場違い感出るよそりゃあ」