このココガラは森に住む他のココガラを、次から次へとバトルで倒した。
彼は他のココガラよりもレベルが高く、ついばむやみだれつきも使うことができた。その上、素早さも攻撃力も申し分ない。防御力こそ並だったが、速攻で相手を倒すことができるため問題なかった。
もうこの森で彼に勝てるココガラはいなかった。
「すごいなあ君は。君、この森で一番強いんじゃない」
彼の友達であるホシガリスはそういった。この森には後他に、ココガラが得意とする虫タイプしかいない。ということは、彼がこの森で最強なのだろう。
「そうなのかな……僕なんかが最強で良いのかな?」
「君が最強だよ! 自信を持って良いと思う!」
「そっか……! ありがとう!」
彼は昔は決して強くはなかった。むしろ他のココガラにいじめられることもあった。
しかし、それから努力してここまで強くなったのだ。
あるときのこと。食いしん坊な種族でもあるホシガリスは、木の実が欲しかったため森の奥まで向かった。
「そういえば森の奥の方って来たことないや。どういう木の実があるんだろう」
ホシガリスはワクワクしながら向かった。
奥に進むにつれて、明らかに森の雰囲気が変わっていることに気がついた。ホシガリスは少し怖くなってきた。
森の奥にたどり着いた。そこには、驚くべき光景があった。
「え……何ここ」
まず目に止まったのは、自分の何倍も大きいマタドガスが何体もウロウロしていることだ。マタドガスは煙をモクモクと吐き出しながら、周囲を監視しているかのように空中を浮遊している。
他にもイオルブという背中が真っ赤なポケモンがいた。イオルブは体こそ小さいが、明らかに強者の風格が漂っていた。
そして頭上を見上げると、上空を巨大なカラスが飛んでいる。あれはアーマーガアというポケモンだ。漆黒の見た目から放たれる威圧感に、思わずホシガリスは悲鳴を上げそうになる。
森に入って数秒が経過し、ホシガリスはこう思った。
ここにいたら殺される!!!!
ホシガリスはすぐさま、「まどろみの森」の奥から逃げ出したのだった。
森の奥にはこんな強いポケモンがいるなんて、思ってもみなかった。明らかにレベルに差があった。自分らが住んでいる場所から、本当にちょっとだけ離れただけなのに……。まどろみの森は恐ろしい場所である。
数日後、ホシガリスの友達のココガラは、相変わらず他のココガラを蹴散らし続け、最強の座を維持し続けていた。
「どうしよう……ココガラに、森の奥にいるポケモンのこと、伝えた方が良いのかな」
ホシガリスはそう思ったが、止めておいた。
まどろみの森は長年立ち入り禁止になっており人間はまず来ない。つまり、自分らはトレーナーに捕まることはなく、森の中で一生を過ごすことが、ほぼ確定しているのだ。
森の外に出る機会がもしあるなら、自分より強いポケモンがわんさかいることも、知っておくべきである。自分のちっぽけさを知ることで、更に奮起し成長に繋がることもあるだろう。
だが、そうではないなら、自分より強い存在なんて知らない方が幸せだ。知るメリットなんて、どこにもない。
彼には、気持ちが良いままでいてほしいと、ホシガリスは思った。