俺は運悪く交通事故に遭遇してしまった。トラックに跳ねられた俺は即死だった。
魂は体を離れ、空高く登っていく。天国にでも行くのだろうか、と思った。
天空に存在する神聖な場所に辿り着くと、幻のポケモンのアルセウスがいた。
「お前は死んだ。これから新しい生命に生まれ変わってもらう」
アルセウスにそう言われた。いわゆる輪廻転生という奴か。
そうか、違う生物に生まれ変わることができるのか。次は何の生物になるのだろう。また人間だろうか。それともポケモンになるのだろうか。人間はもう体験したから次はポケモンがいいな、そんなことを考えていた。
しかし、アルセウスの口から発せられたのは、衝撃的な一言。
「お前は次は『ポケルス』として生きてもらう」
「……ポケルス!??」
ポケルスとはポケモンに感染するウイルスのこと。感染するとポケモンが早く強くなる、というものだった気がする。努力値とかいうのが二倍になるんだとか。
いや、そんなことはどうでも良い。アルセウスは今なんて言った? 俺の来世がポケルスだと!? 人間かポケモンのどちらかだと思っていたのに。
「あの……」
「どうした?」
「チェンジで」
「駄目だ。そんなシステムは輪廻転生に存在しない。もうポケルスになると決まった」
「ポケルス嫌なんですけど。何も楽しいことなさそうじゃないですか」
「駄目だ」
「お願いします。ポケルス以外ならなんでも良いんで。自分交通事故で運悪く死んじゃったんですよ! 可哀想な奴なんですよ!」
「あのなーオメーふざけんじゃねーよー!」
「はい?」
「確率の勉強学校でやったことないのかオメーはー!」
「……」
「生き物の総数考えたらよー! 大半は菌とか微生物とかに生まれ変わるに決まってんだろバカヤローがー! 贅沢言ってんじゃねーよー!」
「はい……すいません……」
「別にお前だけじゃねーんだよー! 他の奴らも期待通りの来世になってねーんだよー! 諦めろー!」
「分かりました……」
俺はそう言ったが、やっぱり嫌だった。その場に泣き崩れたい気持ちだった。
結局、俺はポケルスとして生まれ変わってしまった。
「あれ? ポケルス意外と楽しい?」
数日が経ち、俺はなんだかんだ楽しく過ごせていた。
今日はどのポケモンに寄生しようか、毎日考えるのがワクワクするのだ。このポケモンは偉そうだから寄生止めておこうとか、このポケモンは報われてないから寄生しようとか、考えるのが楽しい。
案外、ポケルスも悪くないなと思った。