シン・仮面ライダーvsシン・ウルトラマン   作:イマジンカイザー(かり)

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Q:なんであきる野なんですか?

A:土地勘があったので舞台にしました。マップアプリとかでなんとなく地形などを観ながらごらんください。


13.きたぞ、われらの……Vol2

※ ※ ※

 

・AM:11:20

 

 もう間もなく昼時かという時刻。あきる野〜五日市市周辺半径五キロ近くに震度六から七近い地震が襲った。立っているのも難しいほどの地響きで、陸橋沿いの大橋は横揺れ、走っていた車は軒並みガードレールへ激突。町の人々は天災かなにかと思い、身を屈め、揺れが収まるのを怯えながら待っていた。

 だが、揺れ自体はすぐに落ち着いた。そして彼らは気付くのだ。『これ』は天災ではない。ここから(・・・・)が本番なのだと。

 

『RUOOOOOOOOOOOOOOROAR!!!!!!』

 標高三百メートルほどの小さな山、天竺山の中腹が『割れた』。生い茂る木々の中から飛び出した、黄土色の蛇腹めいた腕が、土砂を掻き分けその威容を街中の人々に晒す。

 見た目からして小さめな頭頂と、首から下に降りるに至って大きく、太くなる体躯。体長と同じくらい長い尻尾。ピラミッドめいた段々に覆われた堅牢な体躯。禍威獣だ。西の端とはいえ、東京に禍威獣がまた襲うことがあろうとは!

 

 

『――聞こえるかウルトラマン。隠れてないで出て来い。我が"レッドキング"と勝負する勇気はあるか。無くても構わんぞ。その分、この街の住人が犠牲となるがなあ!』

 

 

 しかも。しかもだ。この禍威獣からは『声』がする。モノを壊さず無差別でもなく、人の多い場所に強引に踏み入り、その巨体で次々と住民の命を奪ってゆく。

 禍威獣が道路を抜け、武蔵引田の住宅街に入った。禍威獣が狙うエネルギーとは無縁の住宅街。逃げ遅れた人々が大勢いる区画だ。陸自が救助に向かっているが間に合わない。

 

「いやだ……。助けて、誰かあ……」

 秋川近辺の地形は段丘であり、南に逃げれば逃げるほど傾斜がきつくなっていく。女の子が逃げる家族とはぐれ足をくじいて坂を転げ落ちる。

 落ちた先で禍威獣と目が合った。普段なら無視される事案だが、この禍威獣はそうしない。無抵抗な子供を目にするやいなや、無理矢理に方向転換し、地響きを立てて踏み潰しにかかる。誰か周囲にいないか? 皆散り散りに逃げ惑い、他人を気遣える余裕がない。

 万事休す。最早何の手立てもないのか。奴の巨大な足裏が、家々ごと彼女を踏み潰さんとした、まさにその時。

 

『G……OOOOOOOOOOHHHH!?』

 

 禍威獣の黄土色の足裏が、家々を踏み潰す寸前で止まった。死の間際の走馬灯か? これから起こることをスローモーションで視ているのか? 否、否否否。事実その足裏は、『半端に浮いたまま動いていない』。

 あれが自分の命を奪わないことがわかり、少女は更に広い視野を以て周囲を見やる。禍威獣の巨体は幾重にも連なる青白い『鎖』に絡め取られ、一切の動きを封じられていた。

 一体誰が? こんなことができる存在など限られている。

 

「ウルトラマン」

 次いで少女が目にしたのは、銀の身体に赤の差し色眩しい巨人の姿だ。何度もこの星に来訪し、地球を禍威獣の脅威から護ってくれる超人。彼が、この東京の田舎町に来てくれた。

 

 

※ ※ ※

 

 

(そこで大人しくしていろ)

 神永――、ウルトラマンは蹴伸びの姿勢のまま空中で激しく横回転。全身から放出されるスペシウムエネルギーは青色に輝く円状の鎖めいた形に結実し、禍威獣目掛け次々と放たれてゆく。

 純度の高いスペシウム133の『鎖』は"レッドキング"の身体を簀巻きにし、その無法に釘を差した。

 回転を無理矢理に止め、ゆっくりと着地したウルトラマンは、転んだ女の子を掬い上げ、その掌で秋川の河原近くまでさっと移動させる。『ありがとう』の感謝の声を背に受けつつ、乳白色の目で周囲を見やる。今『射線上』にヒトはいない。

 ウルトラマンは力任せに拘束を脱しようとするレッドキングの尻尾を掴み、大地を踏み締め、脚と腰にチカラを込めて持ち上げる。アスファルトの地表が陥没し、その破片が周囲の一軒家に食い込んだ。

 一回転、二回転、三回転。遠心力が軌道に乗った。充分に奴の身体が浮いたところで手を離し、勢いよく投げ飛ばす。

 

(なんて重さだ)

 ウルトラマンとしては、そのまま奴の元いた天竺山に投げ返し、町への被害の少ない山中での戦闘に持ち込むつもりだった。だが、あまりの重量がそれを許さず、国道7号線・武蔵引田近辺への落下に留まった。

 

『――ふふふ。誘われて来よったな。それでなくてはな。かかってこい』

 禍威獣の喉元に取り付けられたスピーカーから、テレビ中継で聴いたのと同じ声がする。禍威獣が無差別にヒト『だけ』を殺すなど考えられない。成る程、こいつが黒幕か。

(人の命を踏みつけにして、ふざけている!)

 周囲に人の影はない。だが、気にしている暇もない。ウルトラマンは即座に駆け出し、低空ジャンプからのチョップを奴の延髄目掛けて繰り出した。

(う……っ!)

『――ふははは。痒い痒い。なんだね? 今のが攻撃かあ?』

 "弾かれた"。勢い込んで打ち込んだ手刀が、硬い外皮に阻まれ全くダメージになっていない。

 それならば、と腰を据えてのワンツーパンチ。次いでの回し蹴り。『硬い』。どこに打ち込もうが結果は同じ。ピラミッドを思わせる段々蛇腹はウルトラマンの如何なる打撃も弾き返してしまう。

 

『――ぬるいぬるい。ならば、こちらからゆくぞォ』

 レッドキングは力任せに拘束を『外し』、その太い腕でウルトラマンの鳩尾に強打を見舞う。拘束を脱したのも脅威だが、素の打撃も凄まじい。ノーガードで貰ったのもあり、ウルトラマンはたたらを踏んで足元の車を弾き飛ばしてしまう。

『――救世主気取りの外星人め、きさまの力はこんなものかァ!?』

 腰を落とし、防御の姿勢を取ってもなお、禍威獣の打撃を御しきれない。強い、強すぎる。こんな奴がまだこの星にいたなんて!

 

 

……

…………

 

 

「ふふふ。どうだ。私のオモチャは硬かろう」

 北海道の山奥でモニタ越しに東京の様子を眺める死神博士は、上半身に大型の外骨格デバイスを着込み、相手に対しかかってこいと手招く。

 レッドキングの動きは彼の着込む外骨格と連動しており、禍威獣もまた人間臭い仕草でウルトラマンを挑発する。

 SHOCKERの、いや彼の拡張した洗脳技術により骨の髄まで死神博士のしもべとなったこの禍威獣は、外付けデバイスでこの場所から遠隔操縦されている。ウルトラマンが直接それを解除する手段ははない。倒すか倒されるか、それが全てだ。

「きさまの力はこんなものか? そうじゃなかろう。さあ、本気を見せてみろウルトラマン。私はその『本気』が見たいのだ」




(888)『私は常に用意周到なの』
緑川ルリ子の声に導かれ、ひとり横田基地に舞い戻った本郷猛。戦いでぼろぼろになった彼のために、あたらしい防護服やマスクを用意してくれていたんだ。


(749)バラ・ゴジラ合成オーグ襲来
死神博士の最高けっ作、合成オーグが札幌に現れた。すさまじい成長でまちを覆い尽くしてゆく。このピンチをどう切り抜ける? 頼むぞ仮面ライダー!
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