シン・仮面ライダーvsシン・ウルトラマン 作:イマジンカイザー(かり)
これまで後書きの代わりにそれっぽい文章を書き添えていたのですが、これ、まだ必要ですか?
感想欄とかにでもご意見いただけるとうれしいです。
そういうわけで本日はあとがき欄はおやすみです。
※ ※ ※
・AM11:40
『ふははははは。どうした、どぉしたウルトラマン! 人類の救世主気取りめ、貴様の力はこんなものか!?』
黄土色の体表にピラミッドめいた蛇腹皮膚を纏った恐るべき禍威獣、レッドキング。駆け付けたウルトラマンは十字に組み、丸まった身体で防御に回るも、その凄まじい腕力で徐々に住宅地に押し戻されている。
(いかん、このままでは……)
まだ避難は完全に成ってはいない。これ以上前進させてはならない。ウルトラマンは飛び退いて距離を取り、十字を組んで青色の光波熱線を放射する。
ウルトラマンの身体を構成する超重元素・スペシウム133。これを光波熱線に変換し打ち出す必殺技だ。喰らえばまずただでは済まない。
(な……にっ!?)
はず、だったのだが。レッドキングは熱線を首筋に浴びてなお小揺るぎもしない。それどころか効かぬとばかりに前進して来ているではないか。
『――弱い。弱いぞウルトラマン。ゼットンを斃したあの力、こんなものではなかった筈だろう!』
堂々と、光波熱線を真正面から浴びながら。勢いをつけて放たれた必殺のショルダータックル。ウルトラマンは弾かれてもんどりを打ち、逃げる車でごった返す国道七号まで吹き飛ばされてしまう。
(駄目だ……これでは、勝てない)
着地の瞬間バリアを張り、渋滞の渦中に飛び込むことだけは防げた。レッドキングはなおも前進を続ける。くたびれた様子もない。
(それを解っていて本気を出せとは、無茶を言う)
だからといって手を拱いている訳にもゆかない。ウルトラマンはスペシウム133を掌に集め、青白く輝く光輪の形に固定した。
(これなら、どうだッ)
掌で回転するそれは、スペシウム133の勢いと力を保持した鋭利な丸鋸。思い切り振り被って狙いを定め、レッドキング目掛けて投げつける。
『――うぬ! ぬぬぬぬ、ぬ……!』
これまで防御の姿勢を取らなかったレッドキングが、『突き刺さった』光輪を両手で止めた。勝機! 一打で駄目なら二打目も喰らえ。念力で先の光輪を押し留め、空いた片手でもう一発を解き放つ。
『――おぉ、おぉおおおっ!!』
両の腕でひとつずつ、スペシウム133の光輪を抱え込むことになったレッドキング。堅牢な皮膚に刃が刺さり、少しずつ食い込んでゆく。
(このまま、押し込む!)
後は我慢比べだ。両手から発せられる念力を強め、奴の首を刈り取ってくれる。
『――ふふ。ふはははは。貴様、これで終わりだなどと、甘ァい考えでいるんじゃあないか?』
互い違いに横回転する青の丸鋸を浴びてなお、スピーカー越しの死神博士に焦りはない。レッドキングは食い込む光輪に縦の圧力を加え始めた。
『――犠牲を出さずして勝てるなど! 愚かな考えはとっとと捨てたまえ。いまの君の甘っちょろいパワーでは、私の禍威獣は斃せぬぞぉオオオ』
まるで板チョコを二つに割るように。レッドキングは腕力だけでL字を作り、食い込んだ光輪を無理矢理折り取った。
(なんて……奴だ……!)
折り取った光輪をこちらに投げつけ、防御の隙を突いてのショルダータックル。横転しアスファルトに突っ伏したウルトラマンに馬乗りとなり、握り拳の連打、殴打、乱打。スペシウム133で構成されたウルトラマン無敵の肉体が少しずつ『凹んで』ゆく。
『――弱い、弱すぎるぞウルトラマン。人類の守護者気取りの外星人め、本気を出せ本気をををを』
亀のように体を丸め、殴打から身を守るその姿は、確かに無様と言われてもしようがないかも知れない。だが市街地を戦場にしている今、これ以上の出力強化には踏み切れない。どうする? どうすれば。彼はこのまま、死神博士の操る禍威獣に敗れ去ってしまうのか――。
※ ※ ※
・AM11:35
「あの野郎……。カッコよく出て来たくせに」
テレビ越しにウルトラマンの窮地を見やる一文字は、頬を張って覚悟を決めた。自身に刺さる管を強引に引き抜いて立ち上がり、ハンガーにかかった防護服に袖を通す。
「待ってろ。俺が行く」
休息と透析、元来持つ生命力によってだいぶ好転しつつあったが、まだ戦えるような身体ではない。それは自分自身が一番良く解っている。手すりを支えに息を切らせ、ただひたすらに足を動かす。
一体何処へ? 往くべき場所はひとつだけ。鍵のかかった区画を渾身のチョップで破壊し、一文字は病院の屋上へ乗り込んだ。
「一文字、お前何をしている」
彼が息を切らせ、屋上の真ん中辺りに進んだところで、彼を呼び止める男の声が響く。アンチSHOCKER同盟の同志・タチバナだ。
「よう。何しに来た」
「お前のバイタルサインが途絶えたから見に来た。どうしてこんな所にいる」
「どうしてもこうしてもあるかよ」一文字は重たい脚を引きずりながらニヒルに笑い。「あいつがピンチだ。助けが要る。だから行く。それだけだ」
防護服を着込んだ一文字を
一文字――、仮面ライダー第二号は本郷のものと違い、ベルトさえ無事なら風を受けずとも変身は出来る。だが、体調が万全でない今、それだけでは足りない。つまり。
「落下と共にプラーナを吸収。無理矢理に自己治癒を働かせるつもりか? だが無茶だ。ここは地上十階。この程度の距離で得られるものなど……」
「無茶なのは百も承知だ」一文字の顔に迷いはない。「俺ァあいつとあいつの仲間に救われたんだ。借りはしっかり返さねぇと。俺がすっきりしないんだよ」
ふらつく足は屋上の端っこに到達。身を乗り出し、距離を測る。いけるか? いや、『やる』のだ。他に選択肢はない。
「い、く、ぞぉおおおお」
殆ど、覆い被さるような体勢で。一文字隼人は病院の屋上から身を投げた。落下の速度が上がる。あっという間に地表が見える。まだか、まだか? まだなのか。ベルトの風車がプラーナを取り入れ、彼の身体にエネルギーを行き渡らせてゆく。
「き、たああああああッ」
一文字の額に紅い突起が、両頬にオーグメンテーションの傷跡が浮かび上がり、弱った身体に縄のような筋肉が盛り上がる。彼は空中で姿勢を立て直し、片膝立ちの体勢で着地した。
「や、やってやったぜ。どうだ畜生」
だが、こんなところで立ち止まってる場合ではない。ここはあくまでスタート地点。一文字はベルト左腰のスイッチを操作し、"相棒"に自らの位置を報せる。
「来いッ、サイクロン号」
彼の愛機が駐車場から轟音を上げて翔んで来た。右ハンドルにはご丁寧にヘルメットが引っ掛けられている。
「待ってろウルトラマン。今行くぞ」
一文字がヘルメットに手を触れた瞬間、黒のフルフェイスは複雑に形を変え、見覚えのある緑のマスクに変化する。
敵は禍威獣。救けるべきはウルトラマン。ちっぽけな彼に何が出来る? やれるさ、やってやるとも。アクセルを吹かし、あきる野に向けて駆け出した。