シン・仮面ライダーvsシン・ウルトラマン 作:イマジンカイザー(かり)
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雀が囀り、青空が広がる平和な一日。表向きには何も起こっていない。
雲ひとつない青空を横っ腹に『流星マーク』を刻んだ輸送ヘリが突き進む。周辺住民に余計な不安を与えぬよう、わざと上空を進み、目立たないようにしている。
「結局また米国のケツ持ちですか。あれだけやらかしておいて本当に懲りないんだから」
さほど広くないヘリの中、貧乏揺すりで不快感を露わにしつつ、滝明久が愚痴をこぼす。
「滝君。うちは禍威獣をどうにかする組織であって、国同士の駆け引きには干渉出来ないの。しかも、今回は場所が場所だしね」
これを受け、船縁由美が滝をなだめすかす。穏やかな口調ではあるが、彼女もまた眉根を寄せ、納得したとは言い難い顔をしている。
「ま。気持ちも分からなくはないけどね。厄介事をこの国に持ち込んで挙げ句の話でしょ。とばっちりよ、とばっちり」
その船縁の隣で堂々と文句を言うのは浅見広子だ。身振り手振りで不愉快さをあらわにする辺り、とても彼女『らしい』。
「基地内は一応海外だ。下手な事を言うと国際問題になる。ここではいいが現場では控えてくれよ」
操縦席近くに座し、腕を組んで仏頂面の班長・田村君男が部下たちの愚痴を諫めるようにそう言った。
彼らは禍威獣特別対策専従班、通称"
そんな彼らが禍威獣の出そうもない市街地を抜け、東京近郊をヘリで進むのには公には出来ないワケがある。
「まもなく着陸します。準備を」
彼らの会話に付き合わず、分厚い窓から空を眺めてた神永新二が淡々とそう言い放つ。政府筋の人間とはいえ、滑走路を開け、基地側が『国外』の人間を迎え入れるのには極めて異例。ここから先は自分たちのフィールドだ。神永のひとことを機に、愚痴をこぼし、嫌味を言い続けてきた彼らも一気に顔つきが変わった。
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「禍特対専従班、班長の田村です。現状は」
「基地司令官のキャンベルだ。時間が惜しい。話は移動しながらで良いか」
ヘリポートから車に乗せられ、司令部へと急ぐ道すがら、米国司令は疲れた様子で端末に記録したデータを禍特対メンバーに共有する。
事件のあらましはこうだ。
昨日、在日米軍・横田基地から四人の人間が消えた。基地内部に侵入者の形跡はなく、消えた人物は将校、研究者、食堂のコック、たまたま来ていた兵卒の子と共通点らしきものも無し。
それだけならば自国の警察の仕事の範疇だろうが、消失場所が『旧ベーターシステム研究区画』となれば話は別だ。
『侵入者』は区画から動く気配はない。念には念をと施錠し軟禁状態にしているが、それも意味があるのかは何とも言えない。
「あの。一つ宜しいですか」説明を聞き終え、船縁が疑問を呈す。「司令。消えた、とおっしゃいましたが、その理由は」
「我々将校・兵卒は、基地内にいる限り、司令室で個々のバイタルサインを特定・把握出来るようになっている。君の懸念は尤もだ。ただの殺人なら外部からヒトを呼ぶことなどしない」
車を降り、エレベーターを上り、大モニタが敷地奥を占拠する司令部・監視塔へと辿り着く。モニタのうち半分が基地内ベーターシステム研究セクションを示しており、そこには明滅する赤丸が『四つ』、同じ場所に固定されていた。
「成る程。これが我々を呼んだ『理由』ですか」田村は詳細を訊くまでもなく、この奇怪な状況を"把握"する。
「そうだ。四人は行方不明に
キャンベル司令官は部下にモニタを操作させ、監視カメラ映像に切り替える。彼の顔に浮かぶ心労はそれだけではない。彼は沈痛そうな面持ちで、更に話を続ける。
「君たちに応援を要請する少し前。逸る部下たちを御し切れず、この区画に十数の兵が乗り込んだ。ここから先はオフレコだ。決して何処にも洩らさないと約束してほしい」
部下に巻き戻しを指示し、数時間前まで時間が戻る。銃を手に軍服を纏った屈強な男たちが、『なにか』に対し声を上げる姿が色んな角度から映し出されている。
「これが……」
「そう。部下たちは奴ひとりに殲滅されたのだ。あの外星人――『ダダ』に」
◆ ◆ ◆
人気のない山道を風を切ってバイクが疾走る。余程自信があるのか、単なる命知らずか。乗り手は急なカーブに物怖じせず、スピードを下げずに駆け抜けてゆく。
「どうだ"相棒"。いい風だろ。今日はもう少しこの山を攻めてみようと思うんだ」
黒いフルフェイスメットにダスターコート、赤いマフラーをたなびかせたその男は、まるで親しい誰かに話しかけるようにそう呟く。彼の隣には誰もいないというのに。
「ちぃっ。面倒な奴に見付かった」
メットのバイザーを通したずっと先に、黒いワンボックスと黒服の男の姿が見える。あんなものは通せんぼにさえならない。『彼』の技量なら、勢いをつけて飛び越えて行くことだって造作もない。
だが彼はそうしなかった。その黒服が顔見知りだったから。スルーを決め込むのは『契約違反』。苦虫を噛み潰したような顔でスピードを落とし、男の前でバイクを停める。
「よう。相変わらずの髭面だな。折角の良い空気が台無しだ」
「君の休暇を邪魔したくはなかったが、面倒な相手でね。君
黒服は悪びれず、淡々とそう話す。切り揃えられた黒髪に、眼鏡の下から覗く鋭い眼光。スーツの似合う髭の男。
「だろうと思った。OK行ってやるよ。場所は――」
「多少特殊だが文句は言わせん。解決方法は任せる。頼んだぞ、『仮面ライダー』」
「あいよ」
男はぶっきらぼうにそう言うと、再度バイクに跨り、アクセル全開で山道を降りてゆく。と同時に、そのカタチが少しずつ変形し始めた。
カウルは生物の目を思わせるような黄色の六つライトに。排気筒は二本から過剰ともいえる六本に。バイクは風を置き去りにする勢いで山を抜け、高速道を突っ走る。
「うっし。いっちょ行きますか」
(753)禍特対
・ひん発するかい獣災害に対し、日本政府・防災庁が設置した専門の対策チームが禍特対だ。
それぞれの分野のプロが知識を出し合い、現場でたたかう自衛隊に指示をおくっている。
現場には専用の輸送ヘリを使って急行。プロとしての判断だから自衛隊の高官も素直に指示に従ってくれるんだ。
(867)アンチSHOCKER同盟
悪の組織SHOCKERをやっつけるため、日本政府内に組織された一大せい力だ。オーグメントされた超人たちのこわさをよくしっているので、武器や人手もたくさん動かせる。
仮面ライダーはアンチSHOCKER同盟の協力者だ。ヒゲの男『タチバナ』のよう請を受けて、悪さをするオーグたちをやっつけに行ったりするぞ。