シン・仮面ライダーvsシン・ウルトラマン   作:イマジンカイザー(かり)

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29.戦う勇者手を組めば

 

※ ※ ※

 

・PM6:00

 

『GORRR……URUOOOOOOOOOOOO!!!!』

 禍威獣の口を塞ぐ光の輪が、奴の尋常ならざる咬合力(こうごうりょく)によって強引にこじ開けられた。

 紅く淀んだ瞳が同じ地平に立つふたりの巨人を睨む。そこに造り手たる死神博士の意思は介在しない。奴の中にあるのは、ただ眼の前の敵を斃すという原始的な本能のみ。

 

(来るぞ、仮面ライダー)

「ああ。解ってる」

 ウルトラマンと仮面ライダー。並び立つ両雄は、自分たちとは親と子程の差がある薔薇の化け物を前に立ちはだかる。言葉はいらない。本郷はウルトラマンの発するプラーナを読み、神永はライダーの心を直に感じ取ることが出来るからだ。

 しなる蔦、幾重にも重なり槍と化した蔓。ひとりでは手を焼いた相手だが、ふたりならなんとかなる。してみせる。

 

『ROARRRRRRRRRR』

 バラとゴジラの混ぜものが、"喉"を震わせおぞましい声を上げる。瞬間、竹槍めいて鋭利な蔓と、『口』を持った蔦が同時に放たれた。

 仮面ライダーはこれを裏手で弾きながら接近。ウルトラマンはわざと捕まり、それを空中横回転で千切り飛ばしてゆく。

「喰らえ!」

 敵の懐で右腕を振りかぶり、硬く握りしめた拳を解き放つ。水の詰まったビニル袋が弾けるような音がして、禍威獣の身体が僅かに後退する。

(それでは駄目だ。仮面ライダー)

 先の交錯でわかる。あれは彼のホンキじゃない。この荒れ果てた恵庭の土地を見やる。彼はヒトの身でこれだけのパワーを出せる。いや『出してしまった』。再びこれだけの被害を引き起こすことを恐れているのか。

「しかし……!」

(今この場において君はひとりじゃない。僕を信じろ。『ふたり』で止める)

 二人は互いに顔を見合わせ、一拍を置いて首肯する。信じろと言うならそれ以上の問答は野暮だ。

『uRUOOOOOOOO』

 態勢を立て直した禍威獣が、あっという間に距離を詰め、ふたりを噛み千切らんと大口を開く。ライダーはウルトラマンに促されるまま、地を踏みしめて脇を締め、しっかりと振りかぶる。

「い、く、ぞ、ぉおお」

 引き絞った弓矢の弦を解き放つかのように、圧縮した力を拳に込めて一気に打ち出す。ライダーの拳は奴の口内、びっしりと生えた牙に激突。うち数百本を潰し、支笏湖方面・十キロ近くまで後退させる。

 それに対する被害はどうだ。ゼロだ。先の一件で避難できていたのもあるが、禍威獣とライダー、その周囲に張り巡らされた蒼いバリアーが衝撃や土砂を押し留めていたからだ。

(フォローアップは任せろ。君は存分に戦え)

「ありがとう。そうさせてもらう」

 ウルトラマンは体内のスペシウム133を操作し、多種多様な光波として打ち出せる。今のもそれの応用だ。腕力では仮面ライダーに劣るが、技の手数だけならウルトラマンの方が勝る。互いの長所を伸ばし、短所をフォローし合う。二人で戦うとはこういうことなのだ。

 

『GUORR…………ROARRRRRRR』

 三度態勢を立て直した禍威獣は、接近を諦め地中に根を張った。伸びた根はふたりの背後を取り、槍めいて鋭く尖った蔦として結実する。

 急ぎ躱し、着地点に無数の剣山。躱し切れず、内少々がライダーの脚に、ウルトラマンの腕に食い込んだ。

 二度の攻撃で、接近戦は悪手と判断したか。禍威獣がこちらに近付いて来ることはない。戦略的な判断か? 否、単に快・不快に基づいたものでしかない。ゴジラとはそういう存在だ。

(面倒だな)

「ならば、押し通る」

 当然、そんな状況を仮面ライダーたちが許すはずもなく。ライダーは地を駆け、ウルトラマンは蹴伸びの態勢から空を翔け、六キロ先のB・Gオーグに突貫してゆく。

(仮面ライダー、これを使え)

 ウルトラマンの手のひらから発生した光の輪が、彼の手からライダーの元へと飛んだ。破壊でもフレンドリーファイアでもない。仮面ライダーはそれを掴み取り、握る。

「ああ、使わせてもらう」

 ライダーが手にしたことで、回転する青の光輪にライトグリーンの疾風(かぜ)のエフェクトが加わった。鉈で木を切るように。芝を刈る電動の除草機のように。袈裟に振った光輪が眼前を覆う獰猛な蔦や蔓を斬り倒す。

 

「これなら!」(やれる!)

 ウルトラマンは両手の甲に丸鋸状の光輪を纏わせ、ライダーは託された光輪を握りしめ、巨木にさえ思える蔓を切り倒して突き進む。向こうが接近を許すまいが、押し通れば関係無い。向こうが動かないのもあって、目と鼻の先まで接近する。

『G……RUOOOOOOO!!』

 禍威獣の側も風向きの変化を察していたのか、既に嚢の中で劇物を集束させており、ライダーたちが飛び込んで来たその瞬間。大口を広げ、滝のような勢いで溶解液をなみなみと吐き出した。これまでとは比べ物にならない凄まじい量だ。まともに喰らえばスペシウム133で構成された身体でもどうなるか。

(なんの)「これしき!」

 しかし二人の超人は揺らがない。アイコンタクトさえ必要ない。ウルトラマンは前衛に立ち、吐き出された溶解液を不可視のバリアで完全防御。阻まれ、横から流るる液体が地面に染み込むのを横目に見つつ、盾を持った警察官めいて徐々に距離を詰めてゆく。

「これでも」(喰らえ)

 懐に潜ったウルトラマンは、大口を開けた奴の口内にバリアを『押し込んだ』。禍威獣は跳ね返された溶解液で口元が少し溶け、閉じることの出来ない異物に四苦八苦。

 そこに放たれた第二陣。ウルトラマンの肩をジャンプ台代わりに仮面ライダーが跳躍。託された光輪を縦に握り、プラーナの緑を纏わせて、一直線に振り下ろす。

『GUO……RUUUUUUUUOOOOOO』

 奴の頭頂から嚢までが唐竹に割れた。毒々しい体液が更地同然の恵庭の土に染み、べろんと左右にめくれて動かない。

 やった、か? 否、相手は形を変えたとはいえ『ゴジラ』だ。こんなもので倒せる訳がない。

「これは……!」

 真っ二つに裂けた右と左がそれぞれ触手を伸ばし、貨車と牽引車を連結するように。二つに割れたB・Gオーグがひとつに戻ってゆく。接着と同時に切創は縫合され、無尽蔵に伸びていた蔓や蔦が本体に引っ張られてゆく。

(凄い。まるで進化だ)

 蔓と蔦をこよらせ、鋭利な槍としたのと同じように。編み込み、捻り、隙間を埋めて。一本一本は細く柔くとも、織り重なればぐんと強くなる。いつしか『それ』は巨体を支えられるだけの強靭な脚と、その身体に決して見劣りしない太く頑丈な腕に形を変えていた。

『URUOOOOOOOOOOO!!!!!!』

 こちらが腕を振るより早く。防御手段を講じるより早く。オーグメントの握り拳がライダーの腹に突き刺さり、振り子めいた挙動で放たれた蹴りがウルトラマンの身体を強く撥ね飛ばす。恵庭の真中、支笏湖近くまで押し戻していた二人の超人は、これらたった一発で十数キロを引きずられ、人里近くまで押し込まれてしまった。

「なんて……」(パワーだ)

 体格差は百も承知。本気で打撃を打ち込まれればこうなることは自明の理。だが、『そうなる』という発想は彼らには無かった。打撃を主とし、ここで食い止めんと奮闘する自分たちに対抗し、新しい手足を生み出してくるなんて。

 

『ROARRRRRRRRRR』

 

 薔薇の花の花獣形態、『顔』が出来た植獣形態。それさえもまだ進化の中途だったというのか? 最早地中を根を張ることさえない。手足を伴って大地を踏みしめ、その姿はますますゴジラに近付いてきている。

 この戦いに、果てはあるのか?

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