シン・仮面ライダーvsシン・ウルトラマン 作:イマジンカイザー(かり)
※ ※ ※
CRAAAAAAAAAAAASH!!!!!!!!
極太六気筒から地獄の鬼めいた爆音を轟かせ、分厚い強化ガラスを容易く突破。基地内部へカチコミ完了。ジャックナイフで強引にブレーキをかけ、着いた先は件のベーターシステム研究セクション。神永らが『彼』の姿を目にしてから、ここまで僅か十秒程度の出来事だ。
「はいよっ、とォ。んで、目標はどいつだ……? いや、迷うまでもねぇか」
鮮やかな緑の仮面に紅く大きな複眼。眉間に生えた触覚めいた銀のアンテナ。孤独相のトノサマバッタをヒトに置き換え、仮面に落とし込んだかのようなその異形とは裏腹に、発する声は若く溌剌としている。
仮面の異形が化け物染みたバイクを乗りこなすから『仮面ライダー』か。成る程言い得て妙だ。事実、彼は人であってヒトではない。望まない
『DADA……DaaaaaDaaaaaaa』
おかっぱ頭に黒白縞模様の外星人が自身同様の異形に目を向けた。その顔立ちは、かつてこの星に来訪したザラブやメフィラスよりもホモ・サピエンスの特徴に近い。
だからといって親近感の湧く見た目でもない。ピンク色の瞳はどこを見ているのか判然とせず、声はすれど唇は一切動かず。『ダダ』という声も己の名なのか何らかの意思表示なのかもわからない。理解不能。奇妙奇天烈。そういう意味では、彼が過去に葬ってきた連中と似ていなくもないが。
(寄って来ない。切った張ったは不得手ってとこか)
仮面ライダーとダダは、互いに十メートル程度の距離を保ちつつ睨み合う。攻め手を探すうち、ライダーはその周囲にある小さきものを見咎める。
(情報にあった拉致監禁ってのはあれか。物理法則まるで無視かよ。恐ろしいねェ)
ライダーの紅い複眼はあれがフィギュアなどではなく、生きた動く物体であることを即座に見抜いた。物体の縮小。カラクリは奴の手にある小銃か?
『Da……DA!』
観察に終始し、手出ししないライダーを見。ダダは手元の瓦礫――、とも言えないアスファルト片を掴み、彼の元に投げ込んだ。と同時に手にした銃で『それ』を撃つ。青白い輪っかめいた光波が片に触れたその瞬間。小石大の欠片が大岩となってライダーの視界を埋め尽くした。
「うぉ、おおおっ! 危ねぇッ」
小さく出来るなら、当然大きく出来るとも考えるべきか。ライダーはすかさず拳を握り、視界いっぱいに拡がる巨石を一撃のもとに打ち砕く。
「だいたい解った。その銃、こっちに渡してもらおう、か!」
あれを奪えば奴は殆ど無力化出来る筈。思うと同時に身体が動いた。土煙を味方につけての突貫。引き絞られた弓矢めいたキュンと音を鳴らし、ダダの手から銃を奪い取る、
「お、おぉわっ!?」
筈だった。あと少し、触れかけたその瞬間。ダダの身体は虚空に失せ、背後から光波の音が響く。
「や、ろ、ぉ……」
そう簡単に行けば世話ないか。流石は外星人、
『DAAAAdaaaaaa』
「なにッ」
感心しているその間、前後双方から奴の気配。どちらも
銃口が同時にライダーを向く。跳ぶしかない。空中前転から天井を蹴って急降下。だが、『三人目』のダダが着地到達点に待ち構えていた。
「こんにゃ、ろぅ!」
着地寸前コンマ三秒、無理くりに腰を捻って足の置き場をずらし、彼の右脇を光波が通り過ぎる。銃を奪えばいいと言ってはみたが、ここまで厳しい争いになるとは。
「ふざけやがって、何人いやがるんだッ」
『――落ち着け一文字。"彼"のプラーナはひとつだけ。あれは顔を変え、ショートワープで君を動揺させているにすぎない』
マスクの下で苦い顔をするライダーの耳に"聴き慣れた"声が響く。そうだ。落ち着け。呼吸を乱すな。ライダーは混乱する意識を『内』に集中させる。
「どうだ。何か掴めたか」
『――彼のプラーナに触れた。どうやらあの光波で人類を縮小し、母星に持ち帰ると言っている。巨大化させて生物兵器として利用したいらしい』
「そりゃあそうか。他星までお人形遊びで終わるワケがないもんな。で?」
『――投降を促した。けど彼らは人間を替えの効く武器としか思っていない。残念だが、交渉の余地はない』
内なる"声"の落胆する様子が手に取るように解かる。彼は優しい。背負い込まなくても良い苦労を勝手に背負って悔やんでしまう。
「もういい。十分だ。お前はよくやったよ、相棒」
だからこそ自分がいる。彼の苦しみを分かち合えるのはこの世で自分ただ一人。汚れ役は喜んで引き受けよう。それで、彼の気持ちが少しでも晴れるなら。
「オーケー。んじゃ、こっから先は。俺流で行かせてもらう」
アタマの中での会話が済み、止まっていた時間が動き出す。正面左右三方向。三面のダダが同時にこちらを狙っている。
(ペースを乱されるな。奪い取れ。向こうがこちらの選択肢を絞る、なら!)
防護服に覆われた両脚に縄のような筋肉が浮かび上がる。床に亀裂が走るほどに強く、強く踏み込んで、跳んだ!
(335)ダダ、消えたり出たり
『やめるんだダダ、使命をあきらめてこの星を去ってくれ』
本郷ライダーの声にダダは耳を貸さない。ダダの本星では家族が稼ぎをアテにした家族がおり、こわい上司が成功報告を首を長くして待っているからだ。
すむ星が違っても、会社員はたちばがよわいのだ。
(663)くらえっ、ライダーキック
「トォーッ!」
一文字ライダーの掛け声が空にこだまする。
跳び上がった勢いで空気中のプラーナを圧縮し、背中のはねから解き放つ。
ライダーキックの破壊力はすさまじい。ふだんは体を持たない本郷ライダーだけど、この時は分身として一文字をサポートしてくれるんだ。