エロゲーみたいな世界だが、私(ロリ)は日常を謳歌する   作:音佳霰里

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パロディもいい所。
西尾先生に謝る覚悟の準備をしておいて下さい。


A面

 

 

 

 突然の話で非常に申し訳ないのだが、私―――『幼木あやか』は転生者である。

 そして現在、転生先の世界で大きな悩みの種となっていることが一つ。

 

 前世が男だとか、今の私の体が非常に幼児体型に近しいとか―――身長のことはコンプレックスになっているのだが―――、そんなことはどうだって良い。

 私の頭を悩ませる、たった一つの問題。それは―――

 

 

『転生先がエロゲーみたいな世界である』

 

 

 ということである! 

 

 

 その前に、私がどんな世界に、どんな経緯で転生したのかを、一から十まで、子細漏らさずに説明したいと思う。

 テンプレ通りに死に、テンプレ通りにチートを要求して転生した私が直面したのは、出産直後の両親の顔だとか、まったくもって知らない天井だとか、そういったテンプレではない。むしろ、私が直面したのは、話を聞いた住人のうち住人が鼻で笑ってしまうような、そんな問題だった。

 

 それこそが、『異様なまでの男女比』。

 

 どうやら私が転生した世界には男という生物が雀の涙程しか存在していないらしく(その話さえも怪しいものだが)、その上男児の出生率も著しい低迷を見せ続けているらしい。数百年間にも渡って。

 しかし、そんな過酷な状況においても、どうにかして子孫を残そうとする、そんな悪知恵が働いてしまうのが我らが人類である。

 

 男性という、種を残せる存在が減っていく中、人体はあるひとつの特徴―――もはや特異点と言うべきそれを、長い年月をかけて形成していった。

 

 

 それが『両性具有』―――通称『ふたなり』だ。

 

 

 雄からは力強さと生殖機能を、雌からは見た目の麗しさと同性でさえ惹き付ける程のフェロモンを。

 未来の我々からすると傍迷惑でしかない機能たちを受け継いだふたなりは、それまで存在していた男性たちと入れ替わるように、急激にその個体数を増やしたという。

 

 しかし、雄と雌が持つ特性の両方を受け継いだふたなりは、それ相応に―――性欲が強かった。

 

 当然、ふたなりによる性犯罪(相手の性別は問わなかったようだ)が横行する。

 だが、時の明治時代(こちらで言う)の政治のトップは、残念でもなく当然のものとしてこれを規制。……の、筈が。

 

 そのトップはふたなりだったため、よくよく法律を読んでみると、ふたなりにとってはガバガバどころかスカスカ、普通の女性にとってはただの理不尽でしかないような条文が連ねてあったようだ。

 

 これに気づいた女性たちは、早急にこれを抗議するも、力でも社会でも、―――そして性でも、ふたなりは既に女性を上回っていたため、文字通り口を塞いで黙らせたとの記録が残っている。

 控えめに言わなくとも最悪だ。というか控えられない。

 

 

 Xそんなふたなり至上主義社会の歴史を歩んできた世界が、真っ当な世界観へと育つなんて事は当然無く。

 

 

 道を歩けば、そこかしこに響くケダモノのような声。

 当然の権利のように(実際に権利として法律の本とかに書かれている)設置されている『ゴム』用のゴミ箱。

 テレビには連日のように流れる性具のコマーシャル。

 

 

 ―――そこには、頭○乱島とでも詰りたくなるような光景が広がっていた。

 

 

 ……そんな世界に転生してきたのが、世間一般で言う所のロリ体型に分類される私であった。プルプル、私エロいロリじゃないよ。

 

 

 閑話休題。

 

 

 この世界では、というより、この世界でも、と言うべきか。前の世界でもそうであったように、幼女というものは一部の人の間で性の対象として見られることが多々ある。むしろ頻度だけでいえば、この世界の方が圧倒的に多い。

 

 そんな中、幸運な事に私は、世間一般の、エロの一切絡まない生活を送ることが出来ていた。...こちらの世界の人間からしたら、私の方が確実な異常者であるという事実は置いておいて。

 

 そんな私の朝は、妹に起こされるところから始まる。

 

「―――おっは―――」

 

 どたたたた。すぱん。ばしん。

 

「―――っよ―――う!!!」

 

 目覚めの朝には似つかわしくないような破壊音を立てながら、私の部屋へとやってくるのは、妹の『幼木みたま』。

 頭のてっぺんで激しく揺れる、ポニーテールがチャームポイント(?)だ。―――だが、彼女もふたなりだ。

 

「ねぇ、みたま? いい加減に優しく起こしてくれると嬉しいだけど..」

「嫌だね、お姉ちゃんの目覚めは私のものだっ!」

 

 元々、というかずっと私だけのものだ。

 

 そんな抗議も何処吹く風、小鳥のさえずり程度にしか捉えていないであろう我が妹は、「早くご飯食べよー」なんて言いながら、私の部屋を出ていく。

 

 この世界に転生し、妹が生まれてから早数年。これだけはいつになっても、慣れそうになかった...。

 

 

 学校へ行こうとした所、時間がかなり切羽詰まっているにも関わらず、未だに寝間着姿のままの妹を見かけた。

 

「あれ? みたま、今日休み?」

「んー。今日さ、創立記念日で休みなんだよね。だから、今日はちょっとパトロールするだけにするよ」

「...まだやってるの、それ」

 

 ―――身内として、非常に言いにくいことではあるが、彼女は町の『何でも屋さん』みたいなことをしているらしい。

 中身はただの子供じみたヒーローごっこなのだが、どうやらそれがこの街の小中高生に非常にウケているらしく、休日や放課後を使って、相談に乗ったり、街中をパトロールしている姿が、よく見られる。

 

 そんな事を本人に言うと、「お姉ちゃんの真似をしてるだけだよ!」などと言ってカンカンに怒るが、危険なだけなので止めて欲しいというのが正直な所だ。

 

 確かに私も中学くらいまではよくヤンチャをしてはいたが、高校に上がってからはそんな事は一切していない。それに、私はそんな人助けじみたことはした覚えはあまり無いので、方々で私の名前を出されても、それはそれで困るというものだ。

 

「...まぁいいよ。気をつけてね、みたま」

「うん。お姉ちゃんもねー」

 

 私はそんな会話をして、家を出た。

 

 

 私立娶八高校。私が通う高校の名前だ。

 そして私は、そこで高校三年生をやっている。

 

 とは言え、クラスではかなり...所ではないが、浮いている。元々転生者という事で、周りの子供たちとの精神年齢の乖離が酷かったのだが、それに加え、高校生になってから、私が友達を作ることをやめたため、更に居ないものとして扱われるようになった。...周りから話しかけられてないというそもそも論は止めて欲しい。

 

 それでも、こんな私に話しかける、奇特な奴は1人いる。

 

「―――ん、幼木さん! ねえ、聞いてる?」

「え、あぁ、うん。聞いているよ」

 

 それが彼女、『尾野田ている』だ。

 尾野田はクラス一の美少女だとか、そういうのでは無いが(学年一の美女がこのクラスに在籍しているが)、この学校で1番心の優しい人は誰かとアンケートがあれば、話の長い校長さえも差し置いて1位になるほど、優しい奴ではある。

 それに、私みたいな落ちこぼれでぼっちの勉強を見てくれるくらいには優しいからな。

 

「―――それで、どうして『あの人』のことを聞いてきたの?」

「いや―――ただ、気になっただけだよ」

 

 そうだった。今は、『彼女』についての情報を、尾野田から聞いていたんだった。

 

『彼女』? と疑問に思う方もいるかもしれない。それ以前に、このただただ冗長な地の自分語りの文を前に、ブラウザバックしてしまった人も多いかもしれないが、その自分語りをしようと思い立ったきっかけとなった、『彼女』の事を、ほんの少しだけ―――語ってみたいと思う。

 

 

 ―――『彼女』は、本来ならば女性である。

 

 何を当然な。そんな論理の帰結を振りかざして、哲学ぶるつもりか。

 そんなお叱りは最もな話なのだが、落ち着いて聞いて欲しい。

 

 私が『彼女』と出会ったのは、学校のトイレでの事だった。

 まず第一に、私には友達が居ない。前の方で語ったように、友達を作ることをやめ、孤独を好むようになったからだ。故に、私はトイレに行く際や、昼食をとる際は、人の滅多に来ない実習棟―――音楽室とか、理科室がある方だ―――を使用している。

 

 だからその日も、いつものルーティンに則り、実習棟のトイレに向かったのだが、そこには、珍しく先客が居た。それ自体は年に何度かあるので、驚くべきことでは無いのだが。

 

 トイレを済ませて、手を洗おうと、先客のいた個室の前を横切った瞬間、体にやってくる、重い衝撃。

 

 何かと思ってみれば、そこにはきっと同じ学年なのであろう生徒が。その生徒に体当たりされた形になった私は、咄嗟に目の前にいた生徒の肩を掴んだ―――掴んでしまった。

 

『―――!?』

 

 まず手に感じたのは、女性や、女性の体をベースとしたふたなりには有り得ない、硬さを感じる肩の形。俯いていた顔が上げられた際に目に入った、喉仏の膨らみ。

 

 

 そこには、女性とは到底かけ離れた人間―――つまり、『男性』がいた。

 ...それが、『彼女』とのファーストコンタクト。

 

 

 この際、『彼女』を男の娘と呼ぶべきかはさておき、とにかく、私はその生徒の秘密を期せずして覗いてしまったのだった。

 

 しかし、その事実を直ぐに受け入れられるかと言われれば、否だった。

 ただでさえ男性の人口が0に等しく、その上私にとっては、前世以来の存在。それが目の前に現れたとなっては、私はただ固まることしか出来ない。

 

 ―――その瞬間、天と地が入れ替わったような衝撃が体中を揺さぶる。

 

『―――ごッ―――』

『動かないでください』

 

 声は女性のもの―――いや、それよりは少し低かったように思えた。しかし、投げられた直後に気道を腕で抑えられて、トイレの床に転がされていた私には、そこまで気が回る余裕がなかった。

 

『―――貴方、何者ですか?』

 

 それが『彼女』にとっての、私とのファーストコンタクト。

 そして、私にとってのファーストインプレッション。

 

 

 ―――この世界、エロゲーはエロゲーでも、ADVのエロゲーだ!? 

 

 

 それがこの物語の、始まるキッカケであった。




投稿し次第、B面を出します。
周りから見た主人公みたいな感じの話です。
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