キバナとリーグ職員がダブルな地方へ行くそうです 作:想像力が足りたポケトレ
「ちっくしょう! なんだってんだアイツら!?」
ゴウゴウと吹き荒れる雷雨の中、びしょ濡れのキバナはジュラルドンを盾にしつつ毒づく。
新米トレーナー達は木々にしがみ付いて空を見つめ、シャタバリはダウンしたチャーレムを背負って空を睨み、メガカイロスはエネルギースポットを強風から守っている。
暗雲が空を覆い隠し、雨と雷を降らし、強風を吹かしナドの森全てを揺らす。ドローンロトムは3基とも吹き飛ばされ何処かへ飛んで行ってしまった。
しかしこの場に居る全員が見ているのは雲そのものではなく―――暗雲の下で向き合う2匹のポケモンだった。
方や、ジスダ河から伸びる水の竜巻に囲まれている、大きな蛇のようなポケモン。青黒く長い尾の節目全てから水が噴射しており、それで浮遊しているらしい。
一つ目のような模様を中心に、長い爪が4本、そして鋭い目を持った蛇の頭が皮膜で繋がっている。その姿は、まるで水掻きがついた巨大な腕のよう。
方や、焼け焦げ開けた場所にて身構えている、大きな虎のようなポケモン。黒い全身を雷のようなライン模様がいくつも走っており、雷のような髭が伸びている。
四肢は太く長く、尾の先端は剣のような形状をしている。姿勢を低くして唸る彼のポケモンの牙は奇妙な形状をしており、まるで武器を持って構えているかのよう。
前者のポケモンが巨大な水泡を放ってキバナ達に襲い掛かり、後者のポケモンはそれに呼応するかのように突如として現れ襲い掛かったのだ。
水撃と雷撃が飛び交い、揉みくちゃになって暴れた2匹が、今は互いに睨み合ったまま動かない。それでも2匹を中心に嵐が巻き起こっている。
「なぁシャタバリ、アイツら一体なんなんだ!? バラト地方のポケモンじゃねぇのかよ!?」
「知っている、知っているが―――ここ10数年は見なかったはずのポケモンだぞ!?」
『ウォォォシャアァァァ!!』
『ゴロゴロッガァァァン!!』
2匹の咆哮が嵐を、そして雷鳴を更に呼び寄せる。
「バラト地方に古くからいるとされる伝説のポケモン―――ヴリドラゴとラインドラだ!」
シャタバリが2匹の名を叫んだ直後に落雷がナドの森に落ち、轟音と光が人々の目を閉じさせる。
暫くして静かになったと思い恐る恐る目を開くと―――先程の暗雲がなかったかのよに、空は綺麗に晴れ渡っていた。
当然のように先程のポケモン……ヴリドラゴとラインドラの姿もない。証拠となるのは、2匹が引き起こしたであろう災害の痕のみ。
キバナは唐突な出来事に脳が追いつけず呆然とし、シャタバリは事態を重く受け止め顔を強張らせ、子供達はポケモンの脅威を目の当たりにしたからか不安そうに空を見上げ続ける。
彼らの意識が取り戻したのは、リーグ職員とクダリ、そしてチェンナジムリーダーのキビーとチマーがチェンナタウンから駆け付けた時だった。
・ヴリドラゴ:モチーフはインド神話に登場する蛇の姿をした魔神ヴリドラ。名前の由来はヴリドラ+ドラゴン。
・ラインドラ:モチーフはインド神話に登場する雷神インドラ。名前の由来はライン+虎。牙の形状はインドラの神具ヴァジュラに似せている。
・唐突な伝ポケ登場:実はシナリオ上だと大救済クエストに失敗しても出てくる。
・ウォォォシャアァァァ:ウォーターだシャー!
・ゴロゴロッガァァァン:ゴロゴロー!ガオー!
次回はスレニキのターン。