艦これキャラの登場するモンスター・パニック作品を作ってみた   作:垂直離着陸式扇風機

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第十七話「やってきたアイデアはまた旅に出た」

 倉庫(そうこ)とその近(ちか)くにいた艦娘(かんむすめ)で、その直後(ちょくご)に何(なに)が起(お)きたかきちんと説明(せつめい)できた者(もの)は一人(ひとり)もいなかった。

 もっとも、

 

「ものすごい風(かぜ)が吹(ふ)いて、気(き)がついたら天井(てんじょう)の落(お)ちた倉庫(そうこ)の外(そと)で横(よこ)たわっていました」

 

 という神州丸(しんしゅうまる)と、

 

「“例(れい)の人(ひと)”を皆(みんな)で探(さが)したんですけど、どうやっても見(み)あたりませんでした」

 

 というまるゆの言葉(ことば)がなくとも、そこで起(お)きたことの跡(あと)は、その場(ば)にそのまま残(のこ)されていた。

 

 “例(れい)の人(ひと)”や“彼(かれ)”と呼(よ)ばれていた貴益(たかます)については、現(あらわ)れた時(とき)のように衝撃(しょうげき)で別(べつ)の世界(せかい)に飛(と)んでいったのではないか、というのが全員(ぜんいん)の出(だ)した結論(けつろん)だった。

 それが貴益(たかます)のいた元々(もともと)の世界(せかい)なのか、それとも別(べつ)の世界(せかい)なのかはわからない。どう確認(かくにん)すればいいのかもわからない。

 

 大淀(おおよど)は考(かんが)え込(こ)んでいる全員(ぜんいん)の様子(ようす)をしばらく見(み)ていたが、

 

「では、“彼(かれ)”の件(けん)はここまでとして──」

 

 と、話(はなし)を先(さき)に進(すす)めることにした。

 

 今居(いまい)貴益(たかます)は、提督(ていとく)や艦娘(かんむすめ)たちと会話(かいわ)らしい会話(かいわ)をすることもなく、名前(なまえ)を覚(おぼ)えられることもなく、別(べつ)の世界(せかい)へと去(さ)っていった。“彼(かれ)”のその後(ご)については誰(だれ)かが書(か)くかも知(し)れないし、書(か)かれないかも知(し)れない。

 

 そしてこの場(ば)に集(あつめ)られている艦娘(かんむすめ)にとっては、ここから先(さき)の話(はなし)を乗(の)り切(き)ることが“彼(かれ)”の行方(ゆくえ)よりもはるかに重要(じゅうよう)であった。

 

「倉庫(そうこ)の中(なか)に隠(かく)してあったのは、こっそり造(つく)っていたお酒(さけ)、ということでよろしいですか? 」

「あ、いや。んー……」

「じ、実験(じっけん)……でありま……えー……」

 

 大淀(おおよど)に睨(にら)まれた隼鷹(じゅんよう)とあきつ丸(まる)が、うろたえながら言葉(ことば)を探(さが)そうとしている。

 

「ですが、うろ覚(おぼ)えでジャングルジュース(Jungle Juice)を大量(たいりょう)につくろうとしたのは、さすがにどうかと思(おも)いますよ」

 

 サラトガ(Saratoga)の指摘(してき)は、いささか歯切(はぎ)れが悪(わる)かった。

 

「え? そういうのがあるの? 」

「そう……です。よくはわかりませんが、そのような記憶(きおく)が……」

 

 提督(ていとく)の質問(しつもん)に、サラトガ(Saratoga)は考(かんが)え込(こ)みながら答(こた)えた。おそらくは、艦(かん)の記憶(きおく)のような何(なに)かを思(おも)い出(だ)そうとしているのだろう。

 

「で、何(なに)が起(お)きたのかを簡単(かんたん)に言(い)うと? 」

「火気厳禁(かきげんきん)なところで火(ひ)をつけた」

「あー」

 

 加古(かこ)の簡単(かんたん)すぎる説明(せつめい)に、青葉(あおば)が納得(なっとく)したようにうなずいた。

 

 ──実際(じっさい)のところ、それだけが原因(げんいん)であったわけではないのだろう。

 発酵(はっこう)した果実(かじつ)から生(しょう)じたアルコールだけで、あきつ丸(まる)たちが吹(ふ)き飛(と)ぶほどの爆発(ばくはつ)が起(お)きたとは思(おも)えない。

 おそらくは、それ以外(いがい)にも被害(ひがい)を大(おお)きくさせるような何(なに)かが置(お)かれていたに違(ちが)いないのだ。

 

 とは言(い)っても、倉庫(そうこ)の天井(てんじょう)と屋根(やね)が壊(こわ)れ、置(お)かれていた道具(どうぐ)や荷物(にもつ)が吹(ふ)き飛(と)んでいる事実(じじつ)は変(か)えようがなかった。たくさんの容器(ようき)と、至(いた)る所(ところ)に飛(と)び散(ち)ってしまった発酵(はっこう)の進(すす)んだ果実(かじつ)についても、だ

 

「まー、ひと働(はたら)きもふた働(はたら)きも……」

 提督(ていとく)の言葉(ことば)が、すなわち判決(はんけつ)である。それが言(い)い渡(わた)されるより先(さき)に、ポーラ(Pola)が悲鳴(ひめい)にも似(に)た叫(さけ)びをあげながらその場(ば)にくずおれた。

 

「え、何(なに)? どうかした? 」

「提督(ていとく)~、お願(ねが)いです~。お酌(しゃく)係(がかり)だけは……お酌(しゃく)係(がかり)だけは勘弁(かんべん)してください~ 」

 

 ポーラ(Pola)はうろたえる提督(ていとく)を見上(みあ)げながら哀願(あいがん)した。その姿(すがた)は祈(いの)りをささげているかのようであったが、内容(ないよう)のほうはあまりにもあんまりすぎた。

 

「それはこっちもお断(ことわ)りしたいねぇ」

 

 隼鷹(じゅんよう)がいらだたしげに言(い)いながら、片手(かたて)で髪(かみ)をかきあげた。

 

「でもでも~、ガマンできなかったんです~ 」

「ガマンできないからって口(くち)に含(ふく)んだ酒(さけ)を吸(す)おうとするなって! 血迷(ちまよ)うにもほどってのがあるんだよぉ!! 」

 

 ポーラ(Pola)を締(し)め上(あ)げそうな勢(いきお)いの隼鷹(じゅんよう)を、あきつ丸(まる)と加古(かこ)がなだめようとする。サラトガ(Saratoga)は、口元(くちもと)を半開(はんびら)きにしたまま呆然(ぼうぜん)と、見(み)るともなく見守(みまも)っている。

 

 その肩(かた)に手(て)が置(お)かれた。青葉(あおば)だった。

 

「大丈夫(だいじょうぶ)ですよ。そのうち慣(な)れますから! 」

 

 もしかしたらではあるが、サラトガ(Saratoga)の心中(しんちゅう)を察(さっ)しないほうがいいのかも知(し)れない。

 

 - - - ( ; ’ ∀ ’ )

 

 島(しま)を離脱(りだつ)した深海棲艦(しんかいせいかん)たちは怪物(かいぶつ)が追(お)ってくる場合(ばあい)に備(そな)えたものの、その様子(ようす)がないことを偵察機(ていさつき)の報告(ほうこく)で知(し)った。それでも十分(じゅうぶん)な距離(きょり)をとるまでは警戒(けいかい)を解(と)かず、ひたすら帰(かえ)りを急(いそ)いだのはそれからだいぶ後(あと)になってからだ。

 

 最後(さいご)の一体(いったい)が栖(すみか)にたどり着(つ)いたのは、翌日(よくじつ)の昼過(ひるす)ぎ。島(しま)を出(で)てから、丸一日(まるいちにち)になろうかという頃(ころ)だった。

 

 リコリス棲姫(せいき)は、自分(じぶん)の寝床(ねどこ)に倒(たお)れこんだ。

 島(しま)を確保(かくほ)できないどころか、怪物(かいぶつ)を倒(たお)すことさえできなかった。艦娘(かんむすめ)たちも、あの島(しま)を手(て)に入(い)れようとすれば同(おな)じように苦労(くろう)するのは確(たし)かだろうが、そう思(おも)ったところで消耗(しょうもう)した物資(ぶっし)が戻(もど)るわけでもなし。

 

「アア……」

 

 リコリス棲姫(せいき)の口(くち)から、ため息(いき)にも似(に)たつぶやきが漏(も)れた。艦娘(かんむすめ)たち相手(あいて)の戦(たたか)いとは、違(ちが)った疲(つか)れかたをしている。

 

「ソウ言(イ)エバ、誰(ダレ)カガ熱水(ネッスイ)ヲ浴(ア)ビニ行(イ)クト言(イ)ッテイタナ」

 

 ──深(ふか)い海(うみ)の底(そこ)には熱水(ねっすい)が噴(ふ)きあがっている所(ところ)がいくつもあり、海(うみ)に棲(す)む者(もの)たちはそこをはるかな昔(むかし)から息抜(いきぬ)きや療養(りょうよう)に利用(りよう)していた。また、その近(ちか)くでは生活(せいかつ)に必要(ひつよう)な様々(さまざま)な物資(ぶっし)が採取(さいしゅ)できた。

 

 このような所(ところ)に、物資(ぶっし)と引(ひ)き換(か)えに飲食物(いんしょくぶつ)や休憩(きゅうけい)、娯楽(ごらく)の提供(ていきょう)される施設(しせつ)が建(た)てられるのには、さほどの時間(じかん)を要(よう)しなかった──

 

「長(ナガ)イ間(アイダ)泡(アワ)ノ出続(デツヅ)ケル飲(ノ)ミ物(モノ)ニ、器(ウツワ)ニ入(イ)レテ熱水(ネッスイ)デ温(アタタ)メタ食(タ)ベ物(モノ)。ソレト……」

 

 リコリス棲姫(せいき)のつぶやきはだんだんと小(ちい)さくなり、途切(とぎ)れてしまい、寝息(ねいき)へと変(か)わっていった。

 

 - - - ( = ^ ・ ^ = )

 

 その日(ひ)の夕方(ゆうがた)も過(す)ぎた頃(ころ)、「グロスマン」が発進(はっしん)した地点(ちてん)へと戻(もど)ってきた。そこは異変(いへん)の後(あと)に海(うみ)から出現(しゅつげん)した島(しま)であり、怪物(かいぶつ)のいる近(ちか)くでもあった。

 

 停止(ていし)した「グロスマン」の内部(ないぶ)で様々(さまざま)な装置(そうち)が作動(さどう)し、上面(じょうめん)から強烈(きょうれつ)な光(ひかり)が発(はっ)せられて消(き)えた。その正体(しょうたい)を知(し)り、言語(げんご)でやり取(と)りのできる存在(そんざい)がいるならば、以下(いか)のような内容(ないよう)を入手(にゅうしゅ)できたことだろう。

 

「この惑星(わくせい)の脅威(きょうい)は極(きわ)めて微弱(びじゃく)」

 

 と。

 

 ──いわゆる探査装置(たんさそうち)の一種(いっしゅ)である。いつ、どこで、どのように製造(せいぞう)されたかを知(し)っているのは、それを製造(せいぞう)した存在(そんざい)だけであろう。

 

 その存在(そんざい)がどのような姿(すがた)をしているのか、どのような所(ところ)にいるのか。そうしたことはわからない。

 宇宙(うちゅう)のどこかにいるかも知(し)れないし、とっくに滅(ほろ)びてしまっているのかも知(し)れない。

 

 とにかく、その存在(そんざい)は「グロスマン」を製造(せいぞう)し、起動(きどう)させた。その機能(きのう)はいくつもの惑星(わくせい)で使用(しよう)され、この惑星(わくせい)に現(あらわ)れた。

 

 惑星(わくせい)に住(す)む何(なに)かが、「グロスマン」を製造(せいぞう)した存在(そんざい)の脅威(きょうい)になるかどうかを調査(ちょうさ)するために怪物(かいぶつ)を作(つく)る。そして、エネルギーの発生源(はっせいげん)があれば接近(せっきん)して調(しら)べる。

 脅威(きょうい)の程度(ていど)が明(あき)らかになれば報告(ほうこく)し、別(べつ)の惑星(わくせい)へと移動(いどう)する。そのような動作(どうさ)を自動的(じどうてき)に行(おこな)う……おそらくは。

 

 もっといい説明(せつめい)ができるかも知(し)れないが、どうやっても推測(すいそく)の域(いき)を出(で)ることはないだろう──

 

 やがて「グロスマン」は、かすかなうなりと振動(しんどう)を発(はっ)した。奇妙(きみょう)な模様(もよう)がその上空(じょうくう)に現(あらわ)れ、徐々(じょじょ)に強(つよ)く光(ひか)り始(はじ)めた。

 時雨(しぐれ)と離島棲姫(りとうせいき)の見(み)た異変(いへん)に、似(に)た現象(げんしょう)が起(お)こっていた。模様(もよう)こそ違(ちが)うものの、これと似(に)た現象(げんしょう)が生(しょう)じたのは、前回(ぜんかい)以来(いらい)のことだったろう。

 

 それは、南(みなみ)にある深海棲艦(しんかいせいかん)の栖(すみか)の側(がわ)から視認(しにん)できた。北(きた)にある鎮守府(ちんじゅふ)の側(がわ)でも。

 救援(きゅうえん)に駆(か)けつけた別(べつ)の鎮守府(ちんじゅふ)の艦隊(かんたい)が到着(とうちゃく)して、この鎮守府(ちんじゅふ)の提督(ていとく)たちからわかるようなわからないような報告(ほうこく)を聞(き)いている最中(さいちゅう)だった。もちろん、この時点(じてん)で何(なに)が起(お)きているかわかる者(もの)はいなかった。

 

 唐突(とうとつ)に光(ひかり)が明滅(めいめつ)した理由(りゆう)も、空(そら)に出現(しゅつげん)していた模様(もよう)が消(き)えた理由(りゆう)もわからなかった。「グロスマン」にとっても異常(いじょう)な事態(じたい)が起(お)きたなどとは、想像(そうぞう)もできなかった。

 

 「グロスマン」の中(なか)に入(はい)り込(こ)んでいたアリが原因(げんいん)だった。細(ほそ)い金属線(きんぞくせん)が何本(なんぼん)も通(とお)っている板(いた)の上(うえ)を歩(ある)いていたアリが、隣(とな)り合(あ)った線(せん)にまたがった瞬間(しゅんかん)に感電(かんでん)したのだ。

 

 たちまちアリは焼(や)け焦(こ)げたが、その体(からだ)で隣(とな)り合(あ)った線(せん)がつながってしまった。体(からだ)を経由(けいゆ)して電流(でんりゅう)が通(とお)り、「グロスマン」の機能(きのう)に異常(いじょう)が生(しょう)じた。

 

 そこに怪物(かいぶつ)が現(あらわ)れた。深海棲艦(しんかいせいかん)と戦(たたか)っていた時(とき)よりも、さらに禍々(まがまが)しい姿(すがた)になっていた。

 元(もと)は翼(つばさ)だった“何(なに)か”が胴体(どうたい)と絡(から)み合(あ)って、動物(どうぶつ)とも植物(しょくぶつ)とも見当(けんとう)がつかない姿(すがた)になっている。夢(ゆめ)に出(で)てくれば、確実(かくじつ)にうなされるくらい気味(きみ)が悪(わる)い。

 

 その怪物(かいぶつ)が、「グロスマン」をどのように認識(にんしき)したかはわからない。しかし、吸(す)い寄(よ)せられるように近(ちか)づいて攻撃(こうげき)を始(はじ)めたのは確(たし)かだった。

 

 怪物(かいぶつ)よりも「グロスマン」のほうが大(おお)きい。頑丈(がんじょう)で重(おも)さもあるだろう。

 とは言(い)っても、まったく影響(えいきょう)を受(う)けていないわけではない。衝撃(しょうげき)が起(お)きるたびに、「グロスマン」全体(ぜんたい)が揺(ゆ)れ動(うご)いた。

 

 「グロスマン」に入(はい)り込(こ)んでいたアリの動(うご)きがせわしくなった。さらに数匹(すうひき)が、細(ほそ)い金属線(きんぞくせん)に触(ふ)れて感電(かんでん)した。

 焼(や)け焦(こ)げたアリの体(からだ)を経由(けいゆ)して、別(べつ)の金属線(きんぞくせん)との間(あいだ)に電流(でんりゅう)が通(つう)じ、どこかから爆発音(ばくはつおん)が生(しょう)じた。

 

 「グロスマン」の上空(じょうくう)に、再(ふたた)び模様(もよう)が出現(しゅつげん)した。すさまじい速(はや)さで模様(もよう)が変(か)わり、そして消(き)えた。

 

 

 翌日(よくじつ)、鎮守府側(ちんじゅふがわ)と深海棲艦側(しんかいせいかんがわ)双方(そうほう)の偵察機(ていさつき)が、互(たが)いを認(みと)めることもないまま島(しま)の上空(じょうくう)を飛(と)んだ。正確(せいかく)には、島(しま)があったはずの海域(かいいき)の上空(じょうくう)を──

 

 島(しま)は消(き)えていた。出現(しゅつげん)した時(とき)とは違(ちが)い、何(なん)の音(おと)も聞(き)こえなかった。

 

 後(のち)に互(たが)いの事情(じじょう)が明(あき)らかになるまで、陸(りく)に住(す)む者(もの)たちは「グロスマン」に関係(かんけい)のある何(なん)らかの存在(そんざい)が、海(うみ)に棲(す)む者(もの)たちに協力(きょうりょく)した可能性(かのうせい)を疑(うたが)っていた。海(うみ)に棲(す)む者(もの)たちも、同(おな)じように怪物(かいぶつ)と陸(りく)に住(す)む者(もの)たちとの関係(かんけい)を疑(うたが)っていた。

 

 消(き)えた島(しま)の海底(かいてい)に何(なに)かの跡(あと)があるのではないかとの考(かんが)えが、両者(りょうしゃ)に浮(う)かんだ。そうなると、深(ふか)く潜(もぐ)ることのできる側(がわ)が調査(ちょうさ)に有利(ゆうり)である。

 

 陸(りく)に住(す)む者(もの)たちが有効(ゆうこう)な手段(しゅだん)を考(かんが)え始(はじ)めた頃(ころ)には、海(うみ)に棲(す)む者(もの)たちはその海域(かいいき)を調(しら)べていた。しかし何(なに)も発見(はっけん)できなかったため、深海棲艦(しんかいせいかん)たちが怪物(かいぶつ)と戦(たたか)っている間(あいだ)に艦娘(かんむすめ)たちが深(ふか)く潜(もぐ)る方法(ほうほう)を使(つか)って何(なに)かを見(み)つけ、持(も)ち去(さ)ったのではないかという疑念(ぎねん)にとらわれた。

 

 深海棲艦(しんかいせいかん)たちは、陸(りく)に住(す)む者(もの)たちの本国(ほんごく)に襲(おそ)いかかった。その戦(たたか)いは、ここに記(しる)されているよりもはるかに大規模(だいきぼ)で、激(はげ)しかった……端的(たんてき)に言(い)うと、そこにあったと思(おも)い込(こ)んだ嗜好品(しこうひん)のありかをめぐる争(あらそ)いを、果(は)てしなく大(おお)きくしたようなものでしかなかったのだが。

 

 ここには記(しる)さないが、真相(しんそう)がわかった時(とき)の出来事(できごと)は、今(いま)もなお語(かた)り草(ぐさ)になっている。

 

「一生(いっしょう)に一度(いちど)でもそんな光景(こうけい)が見(み)れたら、きっと幸運(こううん)なんでしょうね」

 

 匿名(とくめい)を条件(じょうけん)にして語(かた)る者(もの)は、たいていそのように言(い)う。しかし、その内容(ないよう)は語(かた)る者(もの)によって微妙(びみょう)に異(こと)なるために、実際(じっさい)にどうだったかは今(いま)一(ひと)つはっきりしない。

 

「グロスマン」と戦(たたか)った鎮守府(ちんじゅふ)に運(はこ)び込(こ)まれていた、島(しま)を調査(ちょうさ)するための道具(どうぐ)が、島(しま)の中(なか)と浅瀬(あさせ)を調(しら)べることはできても、深(ふか)い海(うみ)に使(つか)えなかったとわかったことが決定打(けっていだ)になったとも言(い)われている。もしかしたら、そうなのかも知(し)れない。

 

 ことの真相(しんそう)を知(し)った深海棲艦(しんかいせいかん)たちは、肩(かた)を落(お)として撤退(てったい)した……これだけは確(たし)かである。

 

 

 「グロスマン」と戦(たたか)った鎮守府(ちんじゅふ)には、多(おお)くの艦娘(かんむすめ)と提督(ていとく)が訪(おとず)れるようになった。そして、元(もと)は“白(しろ)いもこもこに身(み)を包(つつ)んでペンギンのクチバシをつけたカワウソのぬいぐるみ”のようなものだったものを見(み)て、様々(さまざま)な意見(いけん)や感想(かんそう)を述(の)べた。

 

 この鎮守府(ちんじゅふ)が、休養目的(きょうようもくてき)で建(た)てられたのが幸(さいわ)いしたかどうかについては、ここには記(しる)さない。意見(いけん)や感想(かんそう)のほとんどが興味本位(きょうみほんい)、面白半分(おもしろはんぶん)だったのが過(あやま)ちだったかについても記(しる)さない。

 

 ただ、何(なに)がどうなったら“白(しろ)いもこもこに身(み)を包(つつ)んでペンギンのクチバシをつけたカワウソのぬいぐるみ”のようなものの、口(くち)と目(め)を大(おお)きくくりぬいて樹脂(じゅし)で固(かた)めた頭(あたま)の部分(ぶぶん)としか言(い)いようのないオブジェが遊具(ゆうぐ)として広場(ひろば)の一角(いっかく)に据(す)えられることになったのか。それが、どうしてもわからないのである。




ジャングルジュースを検索するとカクテルの名前のほかにいくつもの検索結果が出てきますが、ここで用いているのは「船の食事の歴史物語」に書かれている「軍隊用語としてのジャングルジュース」です。
本文の内容だけでもどういうものか察しがつくと思います。

爆発ネタはやっぱり必要かなと思って出しました。

最終回にウソ次回予告をしたかったのですが、いい内容が思いつきませんでした。
突然倒れこんで「こ、このクソ作品を最後まで読み通すとはな……かなわねえや……」などと言いながら目を閉じる、と書いておいたら続編なんかをやらなくてもいいかななどと、どうでもいいことは思いつくのですけどね。

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