艦これキャラの登場するモンスター・パニック作品を作ってみた   作:垂直離着陸式扇風機

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第三話「 “惨(さん)” 話の悲 “劇(げき)” 再び」

 巨大(きょだい)なイグアナのような怪物(かいぶつ)に『じらチャン』が襲(おそ)われた、太平洋(たいへいよう)深海(しんかい)棲姫(せいき)が所属(しょぞく)する栖(すみか)の泊地棲鬼(はくちせいき)は、海藻(かいそう)の幕(まく)に表示(ひょうじ)された映像(えいぞう)の中(なか)で、相変(あいか)わらず棒読(ぼうよ)みのまま説明(せつめい)を続(つづ)けている。

 

「太平洋(タイヘイヨウ)深海(シンカイ)棲姫(セイキ)ハ、怪物(カイブツ)カラ『じらチャン』ヲ引(ヒ)キ離(ハナ)ソウト果敢(カカン)ニ攻撃(コウゲキ)」

 

 壊(かい)の姿(すがた)に変(か)わった太平洋(たいへいよう)深海(しんかい)棲姫(せいき)が画面(がめん)の下(した)のほうを両手(りょうて)で叩(たた)いている様子(ようす)が映(うつ)し出(だ)された。スローモーションを通常速度(つうじょうそくど)で表現(ひょうげん)しようとして失敗(しっぱい)しているのが丸(まる)わかりではあるが。

 

「ソノ間(アイダ)ニ同航(ドウコウ)シテイタ者(モノ)ガ司令本部(シレイホンブ)ニ連絡(レンラク)。本部(ホンブ)ハ『だるびーでぃぼ』ニ出動(シュツドウ)ヲ命(メイ)ジタ」

 

 港湾棲姫(こうわんせいき)の両側(りょうがわ)に座(すわ)っていた飛行場姫(ひこうじょうき)と防空棲姫(ぼうくうせいき)が、ほぼ同時(どうじ)に噴(ふ)き出(だ)して激(はげ)しく咳(せ)きこみ始(はじ)めた。突然(とつぜん)の出来事(できごと)に、港湾棲姫(こうわんせいき)は理解(りかい)が追(お)いつかないまま飛行場姫(ひこうじょうき)と防空棲姫(ぼうくうせいき)に視線(しせん)をさ迷(まよ)わせている。

 

「エエ……アイツラ呼(ヨ)ンダノ……」

 

 戦艦(せんかん)タ級(きゅう)はと言(い)えば、これ以上(いじょう)ないくらい困惑(こんわく)した表情(ひょうじょう)でつぶやいて頭(あたま)を抱(かか)えこんでいた。

 

 急(きゅう)に勇(いさ)ましい曲(きょく)が流(なが)れ始(はじ)めると、画面(がめん)に四体(よんたい)の深海棲艦(しんかいせいかん)が映(うつ)し出(だ)された──いや、映(うつ)っているのは本当(ほんとう)に深海棲艦(しんかいせいかん)なのだろうか? 

 何(なん)と言(い)うか……体格(たいかく)が一回(ひとまわ)りも二回(ふたまわ)りも大(おお)きく、全身(ぜんしん)の筋肉(きんにく)も盛(も)り上(あ)がっているような……

 

 そうなのだ。

 この栖(すみか)でも知(し)っている者(もの)は知(し)っていることであるが、「だるびーでぃぼ」は世界中(せかいじゅう)に存在(そんざい)する深海棲艦(しんかいせいかん)の栖(すみか)の中(なか)でも、「とっぷくらすニやばい」と噂(うわさ)されている連中(れんちゅう)が集(あつ)まっている栖(すみか)なのだ。

 

 砲撃(ほうげき)、爆撃(ばくげき)、雷撃(らいげき)などの飛(と)び道具(どうぐ)を潔(いさぎよ)しとせず、己(おのれ)の肉体(にくたい)のみを頼(たよ)りに戦(たたか)うことに美学(びがく)を見出(みいだ)した──司令本部(しれいほんぶ)でさえ戦果(せんか)が出(で)ているならばそれでよしと介入(かいにゅう)をあきらめたと言(い)ったほうがより正確(せいかく)な表現(ひょうげん)なのだから、特徴(とくちょう)ある深海棲艦(しんかいせいかん)たちの中(なか)でも極(きわ)めつけにアタオ……突飛(とっぴ)であることは、簡単(かんたん)に理解(りかい)できるであろう……

 

 四体(よんたい)の深海棲艦(しんかいせいかん)が映(うつ)った後(あと)に、ようやく「ジラちゃん」を襲(おそ)った怪物(かいぶつ)らしき姿(すがた)が画面(がめん)に現(あらわ)れた。心(こころ)なしか流(なが)れている曲(きょく)が若干(じゃっかん)大(おお)きくなったようにも思(おも)える。

 着(き)ぐるみでも、ミニチュアでも、剥製(はくせい)でも、ましてや合成映像(ごうせいえいぞう)でもなく、確(たし)かに本物(ほんもの)のようだ。ブレがひどいので、何(なに)かの塊(かたまり)が見(み)えていると言(い)えなくもないが。

 

「オッ(アノ)……オッ、オッ、オッ(コレッテ、ナンダカ)」

「文句(モンク)ハ見(ミ)終(オ)ワッテカラニシロ! 」

 

 空母(くうぼ)オ級(きゅう)が何(なに)か言(い)いかけたのをリコリス棲姫(せいき)は無理(むり)やり黙(だま)らせた。

 

 勇(いさ)ましい曲(きょく)が続(つづ)く中(なか)、画面(がめん)に現(あらわ)れた「だるびーでぃぼ」の駆逐棲姫(くちくせいき)が画面(がめん)の左(ひだり)に向(む)かって左右(さゆう)の突(つ)きを繰(く)り出(だ)すと、怪物(かいぶつ)らしき何(なに)かが背(せ)をのけぞらせて咆哮(ほうこう)をあげる様子(ようす)が映(うつ)った。怪物(かいぶつ)のほうは焦点(しょうてん)が合(あ)っていないとは言(い)え、一応(いちおう)本物(ほんもの)の映像(えいぞう)ではある。

 

「だるびーでぃぼ」の軽巡棲姫(けいじゅんせいき)が画面(がめん)の右(みぎ)に向(む)かって蹴(け)りを出(だ)すと、怪物(かいぶつ)らしき何(なに)かがふらつく姿(すがた)が映(うつ)った。画面(がめん)の端(はし)に体(からだ)の一部(いちぶ)が見(み)えているだけだが、一応(いちおう)本物(ほんもの)の映像(えいぞう)ではある。

 

「だるびーでぃぼ」の重巡棲姫(じゅうじゅんせいき)が画面(がめん)の正面(しょうめん)に突(つ)きをいれてから回(まわ)し蹴(げ)りを繰(く)り出(だ)すと、怪物(かいぶつ)らしき何(なに)かが倒(たお)れ込(こ)む様子(ようす)が映(うつ)った。画面(がめん)いっぱいにウロコ状(じょう)の表皮(ひょう)だけしか見(み)えていないが、一応(いちおう)本物(ほんもの)の映像(えいぞう)ではある。

 

「だるびーでぃぼ」の戦艦棲姫(せんかんせいき)が画面(がめん)の下(した)のあたりで何(なに)かを抑(おさえ)つけるような恰好(かっこう)をとっていると、動(うご)きの止(と)まった怪物(かいぶつ)らしき何(なに)かの姿(すがた)が映(うつ)った。頭(あたま)から尻尾(しっぽ)に向(む)かって撮影(さつえい)しているが、近寄(ちかよ)りすぎて全体像(ぜんたいぞう)がわかりにくい。

 一応(いちおう)、本物(ほんもの)の映像(えいぞう)ではある。

 

 画面(がめん)が切(き)り替(か)わって、「だるびーでぃぼ」の四体(よんたい)が背(せ)を向(む)けて横(よこ)に並(なら)んでいる様子(ようす)が映(うつ)し出(だ)された。左(ひだり)に立(た)っていた者(もの)から順(じゅん)に頭(あたま)を右側(みぎがわ)に向(む)けていくと右手(みぎて)を腰(こし)のあたりまであげて一斉(いっせい)にポーズを決(き)める。

 いや、正確(せいかく)には決(き)めようとした、だ。残念(ざんねん)なことにタイミングは全(まった)く合(あ)っていなかった。

 

 曲(きょく)が流(なが)れ終(お)わり、画面(がめん)が暗転(あんてん)した。

 

「XX日(ニチ)YY時(ジ)ZZ分(フン)、ツイニ怪物(カイブツ)ハ倒(タオ)サレタ」

 

 泊地棲鬼(はくちせいき)の声(こえ)とともに深海棲艦(しんかいせいかん)が使用(しよう)する文字(もじ)が画面(がめん)に表示(ひょうじ)されて映像(えいぞう)が停止(ていし)した。

 

「ドコカラツッコメバイイノヨ!! 」

 

 記録映像(きろくえいぞう)の再生(さいせい)が終(お)わって十数秒(じゅうすうびょう)が経(た)ったあたりで、駆逐古鬼(くちくこき)の怒鳴(どな)り声(ごえ)が沈黙(ちんもく)を破(やぶ)った。

 

 この栖(すみか)に所属(しょぞく)している駆逐棲姫(くちくせいき)は、呆(ほう)けたように口(くち)を半開(はんびら)きにしたまま身(み)じろぎ一(ひと)つしていない。

 

 軽巡棲姫(けいじゅんせいき)は画面(がめん)に背(せ)を向(む)けて、両腕(りょううで)を椅子(いす)の背(せ)に乗(の)せた状態(じょうたい)で突(つ)っ伏(ぷ)したまま動(うご)こうともしない。

 

 重巡棲姫(じゅうじゅんせいき)はうつむいてこめかみを両手(りょうて)で抑(おさ)え、戦艦棲姫(せんかんせいき)は片手(かたて)を額(ひたい)に当(あ)てて天井(てんじょう)を見上(みあ)げている。両者(りょうしゃ)とも動(うご)いていないことに変(か)わりはない。

 

 他(ほか)の者(もの)の反応(はんのう)も、この四体(よんたい)と似(に)たり寄(よ)ったりだ。あとは北方棲姫(ほっぽうせいき)と北方棲妹(ほっぽうせいまい)が、

 

「カッコヨカッタ……」

「ウン……」

 

 と、目(め)を輝(かがや)かせながら小声(こごえ)で話(はな)しているくらいか。

 

「トニカク! 」

 

 リコリス棲姫(せいき)が片足(かたあし)で床(ゆか)を蹴(け)って注意(ちゅうい)を向(む)けさせた。

 

「怪物(カイブツ)ガドコカラ現(アラワ)レタカ! 正体(ショウタイ)ハ何(ナニ)カ! 空(ソラ)ノ異変(イヘン)ト関係(カンケイ)アルノカ! ソウイッタコトハマルデワカラン! シカシ! 我々(ワレワレ)ノ担当(タントウ)スル海域(カイイキ)ニ現(アラワ)レタ島(シマ)ニモ! アノヨウナ怪物(カイブツ)ガイルカモ知(シ)レナイ! 」

 

 ここまでを大声(おおごえ)で一気(いっき)に言(い)ったので、リコリス棲姫(せいき)は呼吸(こきゅう)を整(とと)のえるのにしばらくを要(よう)した。やがて、

 

「ソウ、アノ海(ウミ)カラ現(アラワ)レタ島(シマ)ニモ怪物(カイブツ)ハイルカモ知(シ)レナイ。ソコデ司令本部(シレイホンブ)ハ──」

 

 と、説明(せつめい)を続(つづ)けているところに放(はな)たれた、

 

「イヤ、ソレデモダヨ! 怪物(カイブツ)ト戦(タタカ)ウコトニナルニシテモ、サッキノ映像(エイゾウ)ガ参考(サンコウ)ニナルノカヨ!? 」

 

 という集積地棲姫(しゅうせきちせいき)の言葉(ことば)があまりにももっとも過(す)ぎて、集(あつ)まった深海棲艦(しんかいせいかん)のほぼ全員(ぜんいん)が深(ふか)く、深(ふか)くうなずいた。しかし、

 

「参考(サンコウ)ニナルカナラナイカデ言(イ)エバ、参考(サンコウ)ニナラン! 」

 

 という、何(なん)のためらいもないリコリス棲姫(せいき)の返答(へんとう)もあまりにももっとも過(す)ぎて、うっかりうなずいてしまった者(もの)まで出(で)てしまっている。

 

「マダ見(ミ)セテナイ記録(キロク)モアルゾ。編集(ヘンシュウ)サレテイナイカラ全部(ゼンブ)デ80(ハチジュウ)時間(ジカン)以上(イジョウ)アルガ……見(ミ)タイカ? 」

「エ? ……アー……」

 

 集積地棲姫(しゅうせきちせいき)はリコリス棲姫(せいき)の問(と)いに目(め)をそらせながら言(い)よどんでいたが、しばらくして、

 

「ヤメトク……ウン……」

 

 と、小声(こごえ)で答(こた)えた。

 

「ウム」

 

 リコリス棲姫(せいき)は満足(まんぞく)したようにうなずくと、もう一度(いちど)片足(かたあし)で床(ゆか)を蹴(け)って言葉(ことば)を続(つづ)ける。

 

「デハ、司令本部(シレイホンブ)ノ計画(ケイカク)ヲ説明(セツメイ)シヨウ」

 

 - - - ! ( ^ ^ ) ! 

 

「えーと、とりあえず深呼吸(しんこきゅう)しようか。はい、みんな一旦(いったん)深呼吸(しんこきゅう)ー」

 

 “彼(かれ)”を見(み)つけた鎮守府(ちんじゅふ)では、提督(ていとく)が艦娘(かんむすめ)たちの動揺(どうよう)を鎮(しず)めようとしていた。そのかいもあってか、単(たん)に話(はな)すことがなくなっただけなのかはともかくとして、艦娘(かんむすめ)たちのどよめきは収(おさ)まってきている。

 

「紹介(しょうかい)が遅(おく)れたけど、“彼(かれ)”はここに帰(かえ)る途中(とちゅう)、乗(の)っていた飛行艇(ひこうてい)の中(なか)にいきなり現(あらわ)れてねー」

 

 もっとも、提督(ていとく)の説明(せつめい)が理解(りかい)できているのとはほど遠(とお)い状態(じょうたい)であることに変(か)わりはないのだが。

 

「現(あらわ)れる直前(ちょくぜん)に機内(きない)の電気(でんき)が一瞬(いっしゅん)消(き)えて、大(おお)きな揺(ゆ)れもあったんだよね。もしかしたら、これも異変(いへん)の……」

「ええっと、いいかな? 提督(ていとく)……」

 

 時雨(しぐれ)が片手(かたて)をあげて口(くち)を開(ひら)いた。

 

「その……“彼(かれ)”はケッコンの相手(あいて)とは違(ちが)うんだよね? 」

「んー、そーだよー」

 

 いささか剣呑(けんのん)な雰囲気(ふんいき)が広(ひろ)がりかけたようにも思(おも)えたがそれは、提督(ていとく)の一言(ひとこと)で急速(きゅうそく)に消(き)えていった──完全(かんぜん)に雲散霧消(うんさんむしょう)した、というわけではないにしても。つまり、せっかく手(て)に入(い)れた珍獣(ちんじゅう)がいずれいなくなるかも知(し)れないと気(き)づいて、葛藤(かっとう)が始(はじ)まるという意味(いみ)で。

 

「それで、異変(いへん)のほうはボクが見(み)た不思議(ふしぎ)な光(ひかり)のことであってるのかい? 」

「そーそー、私(わたし)が出(で)かけたのもそのせいなんだよねー」

 

 艦娘(かんむすめ)たちが互(たが)いの顔(かお)を見(み)て納得(なっとく)したようにうなずいている中(なか)、“彼(かれ)”は相変(あいか)わらず話題(わだい)に取(と)り残(のこ)されたかたちになっている。

 

「あれ……異変(いへん)のこと説明(せつめい)してなかったっけ? 」

「失礼(しつれい)ですが提督(ていとく)」

 

 眉間(みけん)の上(うえ)に手(て)を当(あ)てた大淀(おおよど)が、唐突(とうとつ)に“彼(かれ)”に話題(わだい)をふった提督(ていとく)に向(む)かって静(しず)かに言(い)った。

 

「まず“彼(かれ)”の説明(せつめい)をお願(ねが)いします」

「あー……そだね、そうしようか」

 

 ……提督(ていとく)の話(はなし)はすぐ脇道(わきみち)に逸(そ)れるうえに説明(せいめい)も今一(いまひと)つ要領(ようりょう)を得(え)ないので、やりとりをそのまま記(しる)すとどれだけの文字数(もじすう)を要(よう)するか見当(けんとう)がつかない。従(したが)ってここからは肝心(かんじん)なことのみ記(しる)すこととする。

 

 経緯(けいい)については鳳翔(ほうしょう)が食事(しょくじ)の用意(ようい)を重(かさ)ねて問(と)うたことと、それを手伝(てつだ)う者(もの)に大淀(おおよど)が後(あと)で説明(せつめい)することになったと記(しる)せば十分(じゅうぶん)であろうし、

 

「動(うご)いてもないのにすごく疲(つか)れた」

 

 と、力(ちから)なく口(くち)にした者(もの)が十人(じゅうにん)を超(こ)えたといった余談(よだん)などは、むしろ不要(ふよう)なつけ足(た)しに含(ふく)まれるであろう。

 

 それはさておき提督(ていとく)と“彼(かれ)”自身(じしん)の説明(せつめい)によると、“彼(かれ)”は友人(ゆうじん)と連(つ)れだって飛行艇(ひこうてい)の機内(きない)を再現(さいげん)した展示物(てんじぶつ)に入(はい)ったのだそうだ。

 

 物珍(ものめず)しさで機内(きない)を見回(みまわ)している最中(さいちゅう)に不注意(ふちゅうい)で友人(ゆうじん)とぶつかってしまい、倒(たお)れたと思(おも)った次(つぎ)の瞬間(しゅんかん)には提督(ていとく)と大淀(おおよど)の乗(の)った二式飛行艇(にしきひこうてい)の中(なか)に横(よこ)たわっていたという。

 

 もちろん艦娘(かんむすめ)たちは、すぐにはその話(はなし)を信(しん)じようとはしなかった。異変(いへん)で機内(きない)に現(あらわ)れたにしては、“彼(かれ)”の姿(すがた)があまりにも「異様(いよう)ではなかった」からだ。

 しかし“彼(かれ)”の、普段(ふだん)見慣(みな)れているのはプロペラのない飛行機(ひこうき)だという言葉(ことば)や、想像(そうぞう)もつかない生活(せいかつ)ぶりを聞(き)くうちに、どうやら本当(ほんとう)に自分(じぶん)たちのいる世界(せかい)とは明(あき)らかに違(ちが)うところから来(き)たのだと信(しん)じる者(もの)が多(おお)くなっていった。

 

 何(なに)よりも“彼(かれ)”の持(も)っている多機能(たきのう)の小(ちい)さな箱状(はこじょう)の機械(きかい)が、漣(さざなみ)の持(も)っているそれと全(まった)く違(ちが)った形式(けいしき)なうえに中(なか)に記録(きろく)されている写真(しゃしん)や映像(えいぞう)に見(み)たこともない物(もの)が数多(かずおお)く写(うつ)っていたことが、話(はなし)を信(しん)じる決(き)め手(て)になった。

 

 このようにして提督(ていとく)と“彼(かれ)”の説明(せつめい)は終(お)わり、食事(しょくじ)の後(あと)で異変(いへん)の説明(せつめい)が“彼(かれ)”におこなわれた。

 

 時雨(しぐれ)の見(み)た異変(いへん)が、深海棲艦(しんかいせいかん)の見(み)たものと同(おな)じであることは言(い)うまでもない。ただその当時(とうじ)、鎮守府(ちんじゅふ)の南側(みなみがわ)には雲(くも)が広(ひろ)がっていたために光(ひかり)だけが見(み)えたのが、大(おお)きな違(ちが)いだった。

 

 鎮守府(ちんじゅふ)の夜(よる)は更(ふ)けていく。最低(さいてい)でも丸一日(まるいちにち)は準備(じゅんび)に費(つい)やされるから、本国(ほんごく)で決定(けってい)した「出現(しゅつげん)した島(しま)の調査(ちょうさ)作戦(さくせん)」はそれ以降(いこう)の開始(かいし)となる。

 

 ならば休(やす)めるうちに休(やす)み、余裕(よゆう)があるならいささか羽目(はめ)を外(はず)すのもいいだろう……と、考(かんが)える者(もの)がでてくるのもまた、避(さ)けられないことなのだろう。

 




最初は“彼”を主人公にするつもりでしたが、群像劇に変えた結果としてほとんど出番がなくなりました。

「だるびーでぃぼ(ボディビルダー)」は、「ボクのかんがえたさいていの××えいが」を意識しながら作りました。艤装は肉体に含まれるのかは・・・考えなければ悩まなくて済むよねという結論になりました。
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