艦これキャラの登場するモンスター・パニック作品を作ってみた   作:垂直離着陸式扇風機

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第四話「設定とフラグを追加してみよう」

 夜間(やかん)、鎮守府内(ちんじゅふない)の照明(しょうめい)は必要(ひつよう)最低限(さいていげん)の明(あか)るさに抑(おさ)えられている。それ以外(いがい)の明(あ)かりも外部(がいぶ)に漏(も)れないところでしか使用(しよう)できない。

 深海棲艦(しんかいせいかん)の襲撃(しゅうげき)を警戒(けいかい)しているという理由(りゆう)のほかに、照明(しょうめい)その他(ほか)に使用(しよう)する資源(しげん)の量(りょう)に大淀(おおよど)などの睨(にら)みが効(き)いているからでもある。

 

 とは言(い)え、睨(にら)みを効(き)かせる当人(とうにん)も無駄遣(むだづか)いの恩恵(おんけい)にあずかっているのだから、あまり厳(きび)しくできないという一面(いちめん)もあるにはある。

 

 鎮守府内(ちんじゅふない)にたくさんある建物(たてもの)のほとんどは、近(ちか)くの森(もり)に生(は)えている木(き)で造(つく)られている。この地方(ちほう)の住居(じゅうきょ)とあまり変(か)わりはない。

 石(いし)、コンクリート、レンガが使(つか)われているのは重要(じゅうよう)な機器(きき)が設置(せっち)された建物(たてもの)くらいで、司令官室(しれいかんしつ)も木製(もくせい)の建物(たてもの)の一角(いっかく)にある。

 

 そうした重要(じゅうよう)な建物(たてもの)の通路(つうろ)に、屋内照明(おくないしょうめい)とは違(ちが)う明(あ)かりが見(み)えている。遮光(しゃこう)フードで足元(あしもと)だけを照(て)らしているランタンの光(ひかり)だ。

 

 艦娘(かんむすめ)らしき姿(すがた)が三(みっ)つほど浮(う)かびあがり、ランタンを持(も)つ者(もの)以外(いがい)は両手(りょうて)に袋(ふくろ)を下(さ)げている。

 

 三人(さんにん)は屋上(おくじょう)に出(で)る階段(かいだん)の扉(とびら)の前(まえ)で止(と)まると、錠前(じょうまえ)を開(あ)けてからランタンをフードで覆(おお)った。

 

 扉(とびら)を開(あ)けて外(そと)に出(で)て、急(いそ)いで閉(し)める。バルコニー状(じょう)になっている屋上(おくじょう)に歩(ある)いていく。

 

 星明(ほしあか)りで完全(かんぜん)な闇(やみ)にはなっていない。ランタンを使(つか)わなくても、バルコニーの床(ゆか)と屋根(やね)の区別(くべつ)がつくくらいだ。

 

「よおっし、包(つつ)みを開(あ)けようか」

 

 そう言(い)が早(はや)いか、三人(さんにん)は包(つつ)みを広(ひろ)げ始(はじ)める。包(つつ)んだ布(ぬの)を敷物(しきもの)がわりにして、中(なか)から取(と)り出(だ)したのは酒瓶(さかびん)と茶碗(ちゃわん)。夕食(ゆうしょく)の余(あま)りものと菓子類(かしるい)には布(ぬの)を被(かぶ)せてある。

 

「この時間(じかん)だと月(つき)は見(み)えませんね~」

「まー、星見酒(ほしみざけ)もいいんじゃない?」

「おっ、そういう言(い)い方(かた)すると何(なん)だか風流(ふうりゅう)だな」

 

 ポーラ(Pola)、加古(かこ)、隼鷹(じゅんよう)が同時(どうじ)に笑(わら)い声(ごえ)をあげた。この時点(じてん)で既(すで)に出来上(できあ)がって、つまりは酔(よ)っているのだから、会話(かいわ)が成(な)り立(た)っているのかどうかも怪(あや)しい。

 

 各々(おのおの)が手(て)にした茶碗(ちゃわん)に自分(じぶん)で酒(さけ)を注(そそ)ぎ入(い)れる。飲(の)み干(ほ)してから乾杯(かんぱい)。

 順番(じゅんばん)も何(なに)もあったものではない。

 

「おいし~Buono。こういうのもいいですね~」

 

 ポーラ(Pola)は二杯目(にはいめ)を半分(はんぶん)飲(の)んだところで息(いき)を吐(は)き出(だ)しながら言(い)った。

 

「な? やってみてよかっただろ? 」

「ま~、飲(の)めるのが一番(いちばん)ですよね~」

 

 ポーラ(Pola)は表現(ひょうげん)しにくい笑(わら)い声(ごえ)をあげ、隼鷹(じゅんよう)に返事(へんじ)ともどうともとりかねることを言(い)ってから残(のこ)りの酒(さけ)を干(ほ)した。

 

「はー……せっかくだしアレ試(ため)してみよっかなー」

 

 誰(だれ)に言(い)うともなく言(い)った加古(かこ)が小(ちい)さな容器(ようき)に入(はい)っていた“白(しろ)い粉(こな)”を茶碗(ちゃわん)に移(うつ)す。

 

「え? 何(なん)ですか、それ? もしかして聞(き)かれるとマズイやつ? 」

 

 突然(とつぜん)シラフに戻(もど)ったような口調(くちょう)でポーラ(Pola)が言(い)う。

 

「いやー、違(ちが)う違(ちが)う。粒(つぶ)ラムネを潰(つぶ)したやつ」

 

 加古(かこ)はそう答(こた)えながら粉入(こない)りの茶碗(ちゃわん)に酒(さけ)を注(そそぐ)と、人差(ひとさ)し指(ゆび)で軽(かる)くかきまぜた。

 

「そんな飲(の)み方(かた)をするな! 」

 

 とは、誰(だれ)も言(い)い出(だ)さなかった。

 

 飲(の)み方(かた)にこだわりのある酒好(さけず)きならば、この時点(じてん)までで既(すで)に文句(もんく)の一(ひと)つがあってもおかしくないだろう。しかし今(いま)の加古(かこ)は、加古(かこ)であって加古(かこ)ではない。さらに言(い)うならば、加古(かこ)という艦(かん)の記憶(きおく)のような何(なに)かが目覚(めざ)めているというわけでもない。

 

 そこにいるのは、ただの酔(よ)いどれなのである。

 

 話(はなし)が通(つう)じるかどうかは、読(よ)む側(がわ)の世界(せかい)における重巡洋艦(じゅうじゅんようかん)加古(かこ)の酒(さけ)にまつわるエピソードを調(しら)べていただければ、ある程度(ていど)見当(けんとう)がつくかとは思(おも)う。もちろん無理(むり)に調(しら)べなくてもいいだろう。

 

「それ、ラムネで割(わ)ったほうが良(よ)くない? 」

 

 という隼鷹(じゅんよう)の問(と)いかけに、

 

「だってさあ。割(わ)ったら薄(うす)くなるし」

 

 と、返答(へんとう)しながら茶碗(ちゃわん)に口(くち)をつけている様子(ようす)から察(さっ)することのできるとおりでいいのではないだろうか。

 

「おや? こんなところで宴(うたげ)でありますか? 」

 

 突然(とつぜん)扉(とびら)の方(ほう)から声(こえ)が響(ひび)いた。あきつ丸(まる)と神州丸(しんしゅうまる)。山汐丸(やましおまる)にまるゆまでいる。そして、全員(ぜんいん)が手(て)に包(つつ)みを持(も)っていた。

 

「あれ? お前(まえ)らも飲(の)みに来(き)たの? 」

「まるゆは監視役(かんしやく)です」

 

 まるゆは隼鷹(じゅんよう)に言(い)い終(お)わらないうちに小(ちい)さくアクビをした。

 

「甘(あま)いもので釣(つ)ったんでありますよ」

 

 悪(わる)びれもせずに、あきつ丸(まる)が言(い)った。

 

「島(しま)の調査(ちょうさ)となれば上陸(じょうりく)もありそうですし」

 

 どこか言(い)いわけのように神州丸(しんしゅうまる)が口(くち)を開(ひら)き、それを受(う)け継(つ)ぐようにして、

 

「もちろん補給(ほきゅう)は欠(か)かせませんから」

 

 と、山汐丸(やましおまる)が言(い)った。

 

「も~、そういうの置(お)いといて飲(の)みましょ~よ~」

 

 ポーラ(Pola)の一言(ひとこと)で全員(ぜんいん)座(すわ)りなおすと、酒瓶(さかびん)とつまみが場(ば)に追加(ついか)される。隼鷹(じゅんよう)がその中(なか)の一本(いっぽん)を手(て)に取(と)ってラベルを眺(ながめ)る。

 

「んー……これはまだ試(ため)したことなかったかなあ」

「あ、それですか」

 

 早速(さっそく)山汐丸(やましおまる)が酒(さけ)の説明(せつめい)を始(はじ)める横(よこ)では、

 

「あの……こういう飲(の)み方(かた)は……」

「え~、気(き)にしなくていいじゃないですか~」

 

 神州丸(しんしゅうまる)とポーラ(Pola)が加古(かこ)の飲(の)み食(く)いを見(み)ながら小声(こごえ)で会話(かいわ)をしている。

 

 その加古(かこ)はと言(い)うと、

 

「ところでさあ。現(あらわ)れたとか言(い)う島(しま)に何(なに)かあると思(おも)う? 」

 

 と、あきつ丸(まる)に聞(き)いていた。

 

「どうでありましょう。“彼(かれ)”が偶然(ぐうぜん)島(しま)と違(ちが)う場所(ばしょ)に現(あらわ)れたとしたら……」

「島(しま)に仲間(なかま)がいるということですか? 」

 

 まるゆが会話(かいわ)に割(わ)り込(こ)んでくる。

 

「どうせなら宝物(たからもの)のほうがあってほしいなあ……酒(さけ)の湧(わ)き出(で)る泉(いずみ)ならなおいいや」

 

 加古(かこ)の言葉(ことば)に全員(ぜんいん)が笑(わら)い声(ごえ)をあげた。

 

「あ~、そう言(い)えば例(れい)のたても……っ!」

 

 ポーラ(Pola)が話(はな)している途中(とちゅう)に、隼鷹(じゅんよう)が大急(おおいそ)ぎでその口(くち)をふさぐ。

 

「……どうかしましたか? 」

 

 不審(ふしん)に思(おも)った神州丸(しんしゅうまる)が言葉(ことば)をかける。

 

「え、えー……どーもしないよー……虫(むし)! 虫(むし)がいたんだ! うん! 」

 

 隼鷹(じゅんよう)の必死(ひっし)さは完全(かんぜん)に逆効果(ぎゃくこうか)だった。艦(かん)の記憶(きおく)のような何(なに)かによると陸軍(りくぐん)と海軍(かいぐん)という違(ちが)いがあるようなのだが、所属(しょぞく)が違(ちが)っていても艦娘(かんむすめ)であるのが同(おな)じならば、大酒飲(おおざけの)みの嗅覚(きゅうかく)もそれほど違(ちが)いはないと考(かんが)えたほうがいいのではないだろうか。

 

「そう言(い)えば……」

 

 考(かんが)え込(こ)んでいた山汐丸(やましおまる)の開(ひら)いた目(め)が細(ほそ)くなった。

 

「数(すう)か月(げつ)ほど前(まえ)にヤシの実(み)でお酒(さけ)を作(つく)っていたのが見(み)つかって怒(おこ)られていましたよね? 」

「え……もしかして……」

 

 まるゆがここまで口(くち)にしたところで、あきつ丸(まる)が突然(とつぜん)まるゆの名(な)を呼(よ)び、扉(とびら)の向(む)こうの様子(ようす)を探(さぐ)りに行(い)かせようとした。戸惑(とまど)うまるゆに神州丸(しんしゅうまる)が、任務(にんむ)であることを強調(きょうちょう)して伝(つた)えたために、まるゆは理由(りゆう)がわからないながらもそれならばと言(い)われたところに急(いそ)いだ。

 

 あきつ丸(まる)はその後(うし)ろ姿(すたが)を見守(みまも)っていた。そして、十分(じゅうぶん)に離(はな)れた頃合(ころあ)いを見計(みはか)らってから、

 

「で? ……ご相伴(しょうばん)にあずかれるのでしたら、こちらも情(じょう)というものを発揮(はっき)いたしますが……いかがですか? 」

 

 と、口(くち)にした。

 

 

 まるゆが扉(とびら)の向(む)こうに気配(けはい)がないことを確認(かくにん)して戻(もど)ってきた時(とき)には、ポーラ(Pola)と山汐丸(やましおまる)が腹(はら)を抱(かか)えて笑(わら)い転(ころ)げていた。当惑(とうわく)しているまるゆに加古(かこ)が、この鎮守府(ちんじゅふ)に隼鷹(じゅんよう)が転属(てんぞく)してきたのは、「異国(いこく)で素敵(すてき)な相手(あいて)とめぐり逢(あ)いたかった」のが理由(りゆう)だとばらしたと、説明(せつめい)をする。

 

「それ、本当(ほんとう)なのですか? 」

 

 隼鷹(じゅんよう)の意外(いがい)な一面(いちめん)を知(し)ったまるゆが両目(りょうめ)を見開(みひら)いている。

 

「本当(ほんとう)のことだとか……この神州丸(しんしゅうまる)も初(はじ)めて聞(き)いた時(とき)には、今(いま)のまるゆと同(おな)じ顔(かお)をしていたと思(おも)います」

 

 神州丸(しんしゅうまる)が小刻(こきざ)みに肩(かた)を震(ふる)わせて笑(わら)いながら、目(め)に浮(う)かんだ涙(なみだ)を拭(ふ)いた。

 

「いやあ、いつ聞(き)いても浪漫(ろまん)あふれる話(はなし)でありますなあ」

「前(まえ)もそういうふうに言(い)ってたよな? 」

「はて? そうでありましたっけ? 」

「まあまあ、そこまでにしときなって」

「だから、よりによって何(なん)でその話(はなし)を持(も)ち出(だ)したのさぁ!? 」

「うぅ~痛(いた)い、痛(いた)いです~」

 

 あきつ丸(まる)と隼鷹(じゅんよう)が始(はじ)めた口(くち)ゲンカに、止(と)めようとした加古(かこ)と、どういうわけでかポーラ(Pola)までもが巻(ま)き込(こ)まれていた。神州丸(しんしゅうまる)と山汐丸(やましおまる)も騒(さわ)ぎに加(くわ)わって、収拾(しゅうしゅう)がつきそうにない。

 

 その様子(ようす)を見(み)つめるしかなくなったまるゆは頭(あたま)の片隅(かたすみ)で、なぜ隼鷹(じゅんよう)さんは脇(わき)にポーラ(Pola)さんの頭(あたま)を抱(かか)えて締(し)め上(あ)げているのだろう、そんな酒癖(さけぐせ)だったろうかなどといったことを、ぼんやりと考(かんが)えていた。

 

 ほとんど同(おな)じ時刻(じこく)、鎮守府(ちんじゅふ)の外(そと)では別(べつ)の艦娘(かんむすめ)たちが別(べつ)のことをしていた。

 

 場所(ばしょ)は鎮守府(ちんじゅふ)から少(すこ)し歩(ある)いた森(もり)の中(なか)。防虫(ぼうちゅう)ネットで覆(おお)った手(て)に明(あか)るさを抑(おさ)えたランタンを持(も)った、小(ちい)さな影(かげ)が浮(う)かびあがっている。

 虫(むし)かどうか見当(けんとう)もつかない物音(ものおと)に混(ま)じって、何(なに)かを擦(こす)るような音(おと)が聞(き)こえてくる。

 

「おーい、まだかかりそうか? 」

 

 大東(だいとう)の幼(おさな)い声(こえ)が暗闇(くらやみ)の中(なか)に響(ひび)いた。その近(ちか)くには、大東(だいとう)では抱(かか)えきれないような太(ふと)い木(き)が生(は)えている。

 

「もう少(すこ)し! あと少(すこ)しだけっす! 」

 

 もう一人(ひとり)の声(こえ)は、大東(だいとう)が近(ちか)くにいる木(き)の上(うえ)から聞(き)こえてきた。その間(あいだ)も何(なに)かを擦(こす)るような音(おと)が続(つづ)いている。

 

「よおっし、こんだけやっとけば……きっと大丈夫(だいじょうぶ)っしゅ! 」

 

 再(ふたた)び木(き)の上(うえ)から声(こえ)がしたかと思(おも)うと、木(き)に絡(から)まったツル状(じょう)の植物(しょくぶつ)が音(おと)をたてて揺(ゆ)れ、大東(だいとう)より二(に)、三歳(さんさい)年上(としうえ)の風貌(ふうぼう)をした艦娘(かんむすめ)が降(お)りてきた。

 帽子(ぼうし)の上(うえ)から防虫(ぼうちゅう)ネットで上半身(じょうはんしん)を覆(おお)った姿(すがた)は、野生(やせい)の動物(どうぶつ)のように見(み)えなくもない。

 

「ここが最後(さいご)っすからね! 全部(ぜんぶ)塗(ぬ)りつけったっしゅ! 」

 

 占守(しむしゅ)はそう言(い)うと、容器状(ようきじょう)の筒(つつ)を腰(こし)につけた袋(ふくろ)に入(い)れた。

 

「よーし、早(はや)く帰(かえ)ろうぜ」

「そうだな……やはり夜(よる)は苦手(にがて)だ」

 

 佐渡(さど)と福江(ふかえ)がそう言(い)ったところで占守(しむしゅ)が、

 

「うふふ……危険(きけん)がいっぱい」

 

 と、口(くち)にしたために、福江(ふかえ)がその場(ば)で硬直(こうちょく)したように動(うご)かなくなった。しばし妙(みょう)な間(ま)があく。

 

「何(なん)でそういうこと言(い)うかな、しむしゅしゅしゅは! 」

「いや、うっかり! うっかりっす!! 」

 

 いきなり突(つ)っかかてきた福江(ふかえ)に、占守(しむしゅ)は慌(あわ)てて言(い)いわけをする。

 

「やっぱり怖(こわ)いっすよねえ、この森(もり)」

「だから、それも言(い)うなッ! 」

「あのさー、早(はや)く帰(かえ)ろうぜ。外(そと)に出(で)てたこと知(し)られたら、怖(こわ)いどころで済(す)まなくなるだろ?」

 

 占守(しむしゅ)と福江(ふかえ)の言(い)い合(あ)いに割(わ)って入(はい)った佐渡(さど)の言葉(ことば)に、

 

「あ、そうだった! 」

 

 二人(ふたり)はそろって声(こえ)をあげた。

 

「うっし。じゃあ、今度(こんど)こそ出発(しゅっぱつ)だな」

 

 佐渡(さど)の言葉(ことば)で木(き)の近(ちか)くに集(あつ)まっていた艦娘(かんむすめ)たちは列(れつ)を作(つく)り、鎮守府(ちんじゅふ)への道(みち)を歩(ある)き始(はじ)めた。先頭(せんとう)が佐渡(さど)でその後(うし)ろは福江(ふかえ)、大東(だいとう)、占守(しむしゅ)の順(じゅん)だ。

 

「目印(めじるし)見落(みお)とすなよー」

 

 大東(だいとう)の言葉(ことば)に佐渡(さど)が生返事(なまへんじ)をした。一番(いちばん)後(うし)ろの占守(しむしゅ)は大東(だいとう)についていきながら、何度(なんど)か後(うし)ろを振(ふ)り返(かえ)っている。

 

「クワガタが捕(と)れるといいっすねえ」

 

 ついついひとり言(ごと)を口(くち)にする。

 

「こればっかりは、やってみないとわからないからなー」

 

 福江(ふかえ)の言葉(ことば)に佐渡(さど)と大東(だいとう)がうなずいた。しばらくすると、大東(だいとう)が、

 

「なあ、建物(たてもの)への入口(いりぐち)はちゃんと鍵(かぎ)を開(あ)けてくれるんだろーな? 」

 

 と、疑問(ぎもん)を口(くち)にする。

 

「んー、まあ……ひ(・)ふ(・)に頼(たの)んだから」

「んなっ、ひ(・)ぶ(・)に!? よく聞(き)いてくれたな!? 」

 

 佐渡(さど)の言葉(ことば)に大東(だいとう)が大声(おおごえ)を出(だ)して驚(おどろ)いた。まさか自分(じぶん)の姉(あね)であり、生真面目(きまじめ)が過(す)ぎる日振(ひぶり)がこの企(たくら)みに加担(かたん)しているとは思(おも)わなかったからだ。

 

「まあ、そこはこう……な? 」

 

 佐渡(さど)は肝心(かんじん)なところの言葉(ことば)を濁(にご)すと、

 

「うん、まあ……大丈夫(だいじょうぶ)だろ、たぶん……」

 

 と、自分(じぶん)に言(い)い聞(き)かせるようにつけ加(くわ)えた。

 




回収し忘れたフラグを本文以外のところで「フラグのつもりだったが、スマンありゃウソだった」と書いておいたら回収したうちに入らないかと期待しているのですけど。そのあたりをゴノレ……の仕業にしてしまうと、うっかり逆襲編が始まったときにマズイことになりそうだからやめておきます。
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