今日も楽しく安価だ!   作:カニ漁船

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スティールボールランがどんな扱いを受けているかが明らかになりますよっと。


安価ウマ娘とプレジデント対談!

 ──時は遡ってマンノウォーステークスの2週間前。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやー久しぶりに来ましたねアメリカ!今回は僕とトレーナーさんとヴィッパーの3人での少人数での遠征だ。チームを組んでからは割と珍しいかな?タキオン達は日本で練習している。

 

 

「それじゃあ早速予約したホテルに行こうか、2人とも」

 

 

「あぁ、早いうちにチェックインを済ませておこう」

 

 

「そうですそうです。荷物は少なめとはいえ、ホテルに置いておくに越したことはないです」

 

 

 それはその通りだ。僕は替えの蹄鉄とか色々持ってきているからヴィッパーよりもさらに重いし。早いとこ荷物を降ろしてゆっくりした「『突然申し訳ございません。アンカデキメルゼ御一行様で間違いありませんね?』」あり?誰でしょう……。

 

 

「あ、『あなた方は?』」

 

 

 声のした方を振り向くと、なんというか……エージェント?みたいなSPみたいな人達が立っていた。え?もしかして僕達御用される!?ま、まだなんもしてないよ!?

 

 

「『失礼しました。我々はアメリカ大統領の側近のものになります。実は……あなた方に是非お話したいことがあると大統領は申しております。ご同行をお願いできますか?』」

 

 

 ……えっ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで僕達はあれよあれよという間にアメリカ大統領のもとに連れて行かれたというわけだ。すげぇな、ホワイトハウスを生で見たの初めてだよ。というか、ここまでどうやって来たか覚えてないよ。隣にいるヴィッパーとトレーナーさんも唖然としているよ。

 現在僕達の目の前には……アメリカ大統領がにこやかな笑顔で僕達を出迎えていた。信じられないって?僕も信じられない。

 

 

「『やぁやぁ待っていたよアンカデキメルゼ御一行!ささ、楽に掛けてくれたまえ』」

 

 

(((できるかっ!?)))

 

 

 僕達の心がシンクロしたような気がした。と、とりあえず座ろ……。あ、めっちゃふかふかだ。

 

 

「『さて……』」

 

 

「ッ!」

 

 

 目の前に座る大統領の圧が増した……!きっと、なにか重大なことを言うに違いない!僕達は固唾を飲む。一瞬の静寂……そして、大統領の口から出た言葉は!

 

 

「『シルバーラビット!是非このシャツにサインを書いてはくれないだろうか!?』」

 

 

 隣に座っているトレーナーさんとヴィッパーがズッコケた。僕はなんとか持ちこたえた。あぶねぇ、身体を鍛えてた甲斐があったってもんだぜ……!

 

 

「あ、『はい。それくらいなら別に……』」

 

 

 僕は大統領が手渡してきたシャツにサインを書く。それを大統領はとても嬉しそうに受け取った。

 

 

「『いや~ありがとう!家族共々君の大ファンでね!あ、もし可能ならば妻子の分も……』」

 

 

「……『いや、それくらいは別に構いませんけど……それだけの理由で僕達を呼んだんですか?』」

 

 

 ぶっちゃけ拍子抜けしそうになったんだけど。僕達の緊張を返してくれよ!

 大統領の家族の分までサインを書き終わると、また大統領が真面目な雰囲気を醸し出した。ぶっちゃけさっきのことがあるからあんまり警戒してないけど……。

 

 

「『それにしても……君の活躍を耳にしない日はないよ、シルバーラビット──アンカデキメルゼ。全てのレースを勝ってきた無敗の女王、あのセクレタリアトの愛弟子、走ったレースで様々な不可能を可能にしてきた夢を作るウマ娘(ドリームメーカー)……数え上げればキリがない』」

 

 

「『ありがとうございます。ですが、そのようなお世辞を聞かせるために僕達を?』」

 

 

「『ちょ、ちょっとアンカ』」

 

 

 僕を咎めようとするトレーナーさんを、大統領が手で制す。僕を真っ直ぐに見据えて……ここからが本題ってことか。

 

 

「『様々な不可能を可能にしてきたウマ娘……そんな君にだからこそ、頼みたいことがある。アンカデキメルゼ──スティール・ボール・ランというレースを知っているかね?』」

 

 

「『名前だけは。確か……アメリカのバラエティ番組でやっている奴ですよね?感動系のバラエティ』」

 

 

 配信されてたりするから知っている。簡単に言えば、複数人のウマ娘で走るリレーレースのようなもの。24時間マラソンみたいな扱いを受けているレースみたいなものだったはずだ。確か……厳密にはレース扱いされていなかったはず。

 

 

「……『そうか。やはり、その程度の認識にまで落ちぶれているのか』」

 

 

「『スティール・ボール・ランが、どうかしたんですか?大統領』」

 

 

 トレーナーさんの問いかけに、大統領は覚悟を決めた表情をする。

 

 

「『アンカデキメルゼ。君に……スティール・ボール・ランに出走して欲しいんだ。我々が失った開拓の心を……取り戻してほしい』」

 

 

 それは、スティール・ボール・ランに出走してくれないか?という要請だった。……僕が?それに、開拓の心を失ったってのはどういうことだ?

 疑問符を浮かべている僕達に大統領が説明に入る。

 

 

「『そもそものスティール・ボール・ランの根底には、開拓の精神というものがあったことを知っているか?』」

 

 

「……『いや、知らないですね』」

 

 

「『だろうな。第1回の開催では……基本的に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』」

 

 

「「はっ!?」」

 

 

 いやいやいや!僕が配信で見たことがあるスティール・ボール・ランはチームを組んで走るのが当たり前だったし、それがルールだったはずだ!それに、確かスティール・ボール・ランって約6,000kmでしょ?それ1人で走るの!?モンゴルダービーよりも過酷じゃねぇか!

 僕とヴィッパーが驚きの声を上げる中、トレーナー君は冷静な反応をしていた。もしかして、知ってたの?

 

 

「……『そうですね。第1回の開催の時は、原則チームを組むことを禁じられていた。ただ、()()()()()()()()()』」

 

 

「『その通りだシルバーラビットのトレーナー。道なき道を進む約6,000kmの大陸横断レース……その後も開催されたが、真っ先に撤廃されたルールがウマ娘が交代で走ることを禁じるというルールだった』」

 

 

「『当時は凄く話題になっていたそうですね。少し調べるだけでルール改変を批判する記事がたくさん出てきますから』」

 

 

「『よく勉強しているみたいだね。その通りだ。その改変によってスティール・ボール・ランは……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』」

 

 

 うわ、言い切ったよ。しかも凄く憎々し気な表情してる……よっぽど気に入らないんだろうな、今のスティール・ボール・ランが。

 

 

「『ウマ娘達がチームを組み、6,000kmという距離を交互に走り続けて横断する……しかも、休んでいるウマ娘達は交代地点まで車で送迎なんておまけ付きでな。あぁ、見ている側からすれば感動するだろうさ。6,000kmという距離を横断するだけでも偉業だ。それは別に否定するつもりはない……だが!』」

 

 

 うわっ!?急に立ち上がったからビックリした!大統領は拳を握っている。

 

 

「『そんなものはスティール・ボール・ランではない!名前を借りただけの贋作だ!開拓の心を忘れ、ただ安全な道だけを進み続ける今のレースをスティール・ボール・ランなどとは……()()()()()()()()()()()』」

 

 

 なんというか……大統領にとって凄く大事なレースなんだなってのが良く分かる。じゃなきゃ、こんな感情のこもった声で言わないもん。

 大統領は我に返ったのか咳払いして椅子に座り直した。

 

 

「『まぁ、つまるところ……私は第1回当時のスティール・ボール・ランに戻したいということだ』」

 

 

「『でも、かなり批判が集中するんじゃないですか?下手したら落選なんて事態に……』」

 

 

「『()()()()』」

 

 

 え?嘘でしょ?

 

 

「『私が見たいのは、誰もが開拓の心を持った第1回当時のスティール・ボール・ランだ!誰もが勝利のために全力を尽くし!気高く飢えていたあの時代に!勝利のためなら道なき荒野すら走ることも厭わず!どんな環境でも走ることを諦めない!誰もが勝利に気高く飢えていたあの時代のスティール・ボール・ランを……私はこの現代に蘇らせたいのだ!』」

 

 

「「「……」」」

 

 

「『すまない。また熱くなってしまったね。私は第1回スティール・ボール・ランを見ていたんだ。だからこそ、あの時の輝きが忘れられなくてね……』」

 

 

「い、『いえ。大統領の熱い思いは伝わりましたから……』」

 

 

 それはもう痛いほどに分かった。この人が、スティール・ボール・ランというレースにどれだけ夢を見ているのかを。

 

 

「『ただ、私の権限をもってしてもルール改変にはかなり難儀することだろう。当たり前だ、危険だからこそ、このルールが設けられたわけだからな』」

 

 

「『え?じゃあどうするんです?』」

 

 

「『簡単な話だシルバーラビット。ルールは変えない……()()()()()()()()()()()()()()()』」

 

 

「『ルールを……』」

 

 

「『追加です?』」

 

 

 その通りだ、と大統領は答える。

 

 

「『チームを組むことを禁じる……このルールに変えるよりも、1人で走ることを認める。このルールを追加する方が手っ取り早い。簡単な話だ、そんな開拓の心を持った奴はいないと決めつけているからな。だからこそ、ルール追加の方がまだ手っ取り早い……それでも、非難の声は上がるだろうがな』」

 

 

「『確かに……そうかもしれませんね』」

 

 

「『正直、無理難題を言っていることは分かっている。だが……どうか出走してはくれないだろうか?』」

 

 

 大統領は頭を下げてっ!?ちょちょちょ!頭を上げてくださいよ!?

 

 

「『君は1人、他の者達はチームを組む可能性が高い……だから、君は圧倒的な不利を背負うことになる。虫のいい話だということは分かっている、私のワガママだというのは重々承知だ。だが!それでも!どうか、スティール・ボール・ランに出走してはくれないだろうか……?』」

 

 

「「「……」」」

 

 

 ぶっちゃけ、大統領のお願いを無下にはしたくない。だけど、スティール・ボール・ランはモンゴルダービー以上に過酷なレースになる。相手はチームなのに、僕は1人で走ることになるんだ。しかも、6,000kmという距離を。

 心は燃えている。人々が失った開拓の心を、僕の夢を魅せる走りで取り戻せるならそうしたい。だけど……ここは1つ!

 

 

「『頭を上げてください大統領』」

 

 

「『シルバーラビット……』」

 

 

「『スティール・ボール・ランの出走の返事……()()()()()()()()()()()()()』」

 

 

「『アンカ!?』」

 

 

「……『分かった。そう簡単に決められるものではないだろう。ゆっくりと考えて、決めて欲しい』」

 

 

 そう答えて、僕達はホワイトハウスを出た。

 その後ホテルに帰ってきて。トレーナーさんに問い詰められた。

 

 

「それで、どうするつもり?アンカ。大統領のお願い……正直、無下にしたくはないけどさ」

 

 

 トレーナーさんとは苦い表情をしている。まぁ当たりまえだ。過酷なんてもんじゃないからね。

 だけど、僕の答えは決まっている。

 

 

「案ずるなトレーナー君。こういう時こそ……うってつけのものがある!」

 

 

「……あぁ!神の啓示だね!」

 

 

「その通りだ!これを使って、大統領のお願いに答えるかどうかを決める!マンノウォーステークスの辺りではもう決まっているだろう!」

 

 

 そう!こういう時こそ安価ですよ!さぁさぁ、どうなりますかね~!ぐふふ~!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁその結果として。僕はスティール・ボール・ランに単独出走することになったんですけどね。しかも賛成多数の反対0で。そんな気はしてた。スレ民はそういうヤツらだからね。

 

 

「『大統領。スティールボールランの単独出走の件……了承しました。開拓の心を忘れたアメリカ国民の心に、火を点けましょう』」

 

 

「『おぉ……!受けてくれるか!シルバーラビット!なら、私もルール改正に尽力しよう!君の協力、感謝する!』」

 

 

 でもまぁ……大統領のすんごい嬉しそうな表情が見れたから満足かな?




この世界のスティール・ボール・ランを簡単に説明しますと。


第1回は大体SBRまんまのルール(スタンドや聖人の遺体はないです)
→しかしあまりの過酷さから問題視。チームを組むことがルールに組み込まれ単独出走は禁止
→リレーレースのようになった
→基本的に安全な道しか通らない。荒野や砂漠も走るが、かなり安全面を考慮されている。危険な最短ルートよりも安全な長距離ルートを通るように
→とにもかくにも感動系バラエティ番組としての側面が強い。勝つことではなく、走破することに意味があるような扱いをされている。


大体こんな感じです。
そんなところに我らが主人公は第1回のルールとほぼ同じ状態(単独出走)で突っ込まれました。是非もないね。
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