今日も楽しく安価だ!   作:カニ漁船

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メディカルチームの到着。


安価ウマ娘とドクター!

 迎えた週末。ミレちゃんと僕はイギリスの街並みを観光していた。

 

 

「『いや~!遊んだ遊んだ!』」

 

 

「『そうだのう。気心の知れた友人と街並みを観光する……これに勝る楽しみなどあるまい。此度は真に良い時間であったぞ、アンちゃん』」

 

 

「『僕もだよミレちゃん。凄い楽しい時間だった。だけど……1つ聞いてもいいかな?』」

 

 

 ミレちゃんは不思議そうな表情をしている。うん、可愛い。

 

 

「『どうした?なんでも申してみよ』」

 

 

 ミレちゃんとの遊び。勿論色んなお店に入って商品とかを買ったりしたわけだ。おそろのアクセとか買ったり、それはもう色んなものを買ったわけですよ。それを踏まえて、僕はミレちゃんに聞きたいことがあった。

 

 

「『ミレちゃんってさ、毎回あんな買い方してるの……?僕初めて見たよ、ここからここまでって買い方する人』」

 

 

「『そうか?さすがに普段からあのような買い方をしておるわけではないが……たまにするぐらいだな』」

 

 

 ヒェッ。現実にいるんだなぁ……でも一番怖いのは僕もやろうと思えばできるってのが一番怖いんだよなぁ……。僕が実際にやるとしたらどんな感じになるんだろう?

 

 

(……一番は、駄菓子のここからここまで全部も良いよね。後は後は、ゲームのカセットとかも!後は後は~ッ!?)

 

 

「うひゃあ!?」

 

 

 な、なに!?急に足を誰かに触られているような感覚がしたんだけど!?

 

 

「『ほほう!素晴らしい筋肉のつき方だ!流石は世界中で話題になっているシルバーラビット!』」

 

 

 声の主は普通に後ろにいた。というか、僕の脚を品評している。隣にいるミレちゃんは、怒り心頭といった様子だ。

 

 

「『狼藉者が!我が友になにをしておるかッ!そっ首、跳ね飛ばしてくれようぞ!』」

 

 

「『あれほどの無茶なトレーニングでもこの筋肉がつくとは……まさにウマ娘の神秘といっても良いだろう!あぁ……いつまでも触っていたい……!』」

 

 

「『褒めるのは良いがとっとと離せ!』」

 

 

「『ぎゃふん!?』」

 

 

 ミレちゃんの警告も聞かないのでもう蹴っ飛ばした。ま、全く……!いくら夕暮れ時とは言えセクハラとは!なんてヤツだ……?

 

 

「『あれ?ウマ娘?』」

 

 

「『らしいな。もっとも、たとえウマ娘であっても許されざる蛮行という他あるまい』」

 

 

 それはそうだが。

 僕の足を触っていたウマ娘さんは、鹿毛のショートカットだ。ウルフカット……といえばいいのかな?ただ、髪質は凄い綺麗だ。直毛ってやつだったか?そんな感じの。

 

 

「『いたたた……っ?ッ!?いや、すまないすまない!いざ実物を前にしたらどうしても触りたくなってしまった!この通りだシルバーラビット!どうか許してほしい!』」

 

 

 うわ、土下座までし始めた。でも、見た目日本のウマ娘じゃなさそうなのに何で土下座知ってるんだ?

 

 

「『黙れ!いくら気になったといえど、ウマ娘の脚を触ろうなどという蛮行、たとえアンちゃんが許しても余が許さぬ!』」

 

 

「み、『ミレちゃん……!まぁいいよ、本人もこうして謝っていることだし』」

 

 

「『しかしアンちゃんよ、この者はおそらく今までも同じようなことを……?待て、そなた……もしや』」

 

 

 え?ミレちゃん心当たりあんの?この変態と?

 

 

「『知っているの、ミレちゃん?』」

 

 

「『知っておる。だが、この方がここにいる目的が分からぬ』」

 

 

 どういうことだ?ということはこのウマ娘さんは……かなりのお偉いさん?ミレちゃんがこの方って言うぐらいだし。

 

 

「『え?ドバイミレニアムさんおれのこと知ってるの?嬉しいな~!この機会に是非……』」

 

 

「『おい、俺の弟子になにしてやがるマッドドクター』」

 

 

 ……すんごい聞き覚えのある声色で、凄くドスの効いた声が聞こえた。聞く人全てが縮み上がるような、そんな底冷えするような声。周りの人達も恐怖している。そのウマ娘さん……僕の師匠、セクレタリアトが放つ怒気に。

 マッドドクター?と呼ばれたウマ娘さんは慌てた様子だ。どうやってここから突破口を切り開こうか?そんな風に考えているのかもしれないけど……無理じゃないかな?師匠ブチ切れだし。

 

 

「『ま、まぁ待てよセっちゃん!これにはちゃんと理由があるんだ!』」

 

 

「『良いだろう。遺言程度に聞いてやる』」

 

 

「『遺言!?おれ死ぬの確定なの!?そもそも呼んだのお前だろう!?せっかく呼んだのに、また休暇をもらうのは勘弁だぜ!?』」

 

 

「『さっさと話せ。俺の気が変わらんうちにな』」

 

 

 マッドドクターさんは話し始める。どうして僕の脚を触ったのか……その経緯を。てかこの人もデカいな……180後半はあるぞ。

 

 

「『おれの性格は知っているだろう?気になったことは調べないとならない性分だ。それはお前も知っているはずだ、ビッグ・レッド』」

 

 

「『だろうな。テメェは俺の脚も許可なく触ったことあるしな』」

 

 

「『命知らずかな?』」

 

 

 思わず口からその言葉が漏れてしまった。いや、師匠の脚を許可なく触るとか……命知らずもいいとこでしょ。

 

 

「『相も変わらず先輩に対して容赦ないなお前!?まぁいい……気になったことは調べないといけない性分。つまり理由は明確だ!』」

 

 

「「「……」」」

 

 

「『そこにおれの興味を刺激する魅惑的な脚があったのがいけない!調べずにはいられなかったんだ!』」

 

 

 ……そんな気はしてた。でもマッドドクターさんは目をキラッキラさせている。というか、この人師匠よりも年上なのか……。

 

 

「『それが遺言でいいな?お前は変態だったと祖国に伝えといてやるよ』」

 

 

「『待て待て待て!?そこは嘘でもいい奴だったっていうべき……多分信じてもらえないな』」

 

 

「『分かってんだったらちょっとは自重しろよ』」

 

 

「『それは無理だな!』」

 

 

 師匠は呆れ気味、マッドドクターさんは楽しそうだ。うん、師匠がこんな表情をする相手は初めて見たかもしれない。

 

 

「『とりあえずアンちゃんよ。余は迎えの者が来た。そろそろ別れの時である』」

 

 

「『あ、そっか。それじゃあまたね、ミレちゃん』」

 

 

「『あぁ。最後に一波乱あったものの……此度は良い時間だった。また機会があれば遊ぼうぞ、アンちゃん』」

 

 

「『勿論!』」

 

 

「『それではドバイミレニアム様、こちらへ』」

 

 

 そのままミレちゃんはSPの人に連れられるまま帰っていった。後は僕達なのだが……。

 

 

「『というわけでとっとと帰るぞ、我が弟子』」

 

 

「『し、師匠。このウマ娘さんはどうするんです?』」

 

 

「『こいつも一緒に帰るよ。目的地は一緒だし……って、そういや紹介がまだだったな』」

 

 

 師匠は淡々と紹介する。

 

 

「『ドクターファーガー……このウマ娘の名前だ』」

 

 

「『気軽にドクターと呼ぶがいい!ドクちゃんでもいいぞ!』」

 

 

 ほわあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『というわけで、セクレタリアトに頼まれてメディカルチームとして参加することになったドクターファーガーだ!よろしくな皆の衆!』」

 

 

「「「……」」」

 

 

「『それにしても……みんなよい筋肉のつき方してるなぁ!』」

 

 

「『言っておくが自重しろよ?下手すりゃ国際問題だぞ』」

 

 

「『安心しろセっちゃん!おれにも自重するだけの心はあるのさ!』」

 

 

「『さっきの我が弟子に対する対応を思い出せテメェは』」

 

 

「『すいませんでした』」

 

 

 え~……師匠が連れてきたメディカルチームのメンバーの1人、ドクターファーガーさん。医師免許もちゃんと持ってるし、実績もちゃんとある方だった。みんな口を開いて呆然としているけど……それも当然だよ。

 アメリカのスプリント界に君臨し続けたスピードキング。世界最強と名高いスプリント・マイル界の王だ。そんな人がメディカルチームに?なんならモンゴルダービーの出走メンバーでもおかしくないよ。そりゃ師匠にこんな口も利けるよ。

 

 

「『えぇ~?ドクター今度はなにしたんすか?』」

 

 

「『我が弟子の脚を無許可で触った』」

 

 

「『怒られて当然ですね。反省してくださいドクター』」

 

 

「『だ、大丈夫だ!ちゃんと反省している!今度は大丈夫だ!』」

 

 

「『その言葉何回目だよオメェは』」

 

 

「し、師匠。ちょっといいですか?」

 

 

「どうした我が弟子?起訴するなら手伝うぞ」

 

 

「『いやいやいや!しないでくれますかね!?』」

 

 

 いや、別に起訴はしないけども。

 

 

「『ドクターはモンゴルダービーに出ないんですか?メンバーとして』」

 

 

「『出ない。というか、出さない』」

 

 

「『おいおいどうしてだい?セっちゃん。おれほどのスピードを持つウマ娘はそうそういないだろう?』」

 

 

 ドクターは得意げだけど、師匠は真面目な態度で一蹴した。

 

 

「『ペース配分考えずにぶっ飛ばすコイツにモンゴルダービーなんて走り切れるはずねぇだろ』」

 

 

「『え?ペース配分を考えない?』」

 

 

「『おいおいおい?随分な言い草じゃないかセっちゃん』」

 

 

 ドクターもさすがに心外だと思っているのか口を挟んできた。けど……。

 

 

「『最初から最後まで全力疾走すればいいんだろう?大丈夫だ!おれはそれで勝ってきたからな!』」

 

 

 あ、ダメだわこれ。間違いなく途中でバテるヤツだ。というか、スプリンターだからこの場にいる誰よりもキツイってことを分かるべきだった。

 

 

「『それに、ドクターとしての腕は確かだ。そこは保証する』」

 

 

「『任せてくれたまえ!当日の君達の体調は、このおれとメディカルチームの全員が責任を持って対処しよう!』」

 

 

「『それじゃ、他に聞きたいことがある奴は?』」

 

 

「少しいいかねぇ、セクレタリアトや」

 

 

「『おう。どうした?シンザン』」

 

 

 なんだろう。松さんの雰囲気が修羅のそれだ。周りにかかっているプレッシャーが半端じゃない。滅茶苦茶怒ってません?周りの空気歪んでない?

 

 

「アンカちゃんに不埒な真似をしたそうじゃないか。芝に埋めても構わないかい?」

 

 

「『や、止めてくれよ!?悪かったって!』」

 

 

「『ダメだシンザン』」

 

 

「『せ、セっちゃん……!おれは信じてた……』」

 

 

「『せめてモンゴルダービーが終わってからにしてくれ』」

 

 

「『いやいやいや!?モンゴルダービーが終わった後も埋めないでくれると助かるんだが!?「……仕方ないねぇ。我慢するよ」埋めないでくれよ!?本当に悪かったって!』」

 

 

「ま、松さん。僕は大丈夫なので。気にしてないので埋めるのは勘弁してあげてください」

 

 

 松さんは……納得してないながらも当事者である僕が気にしてないという以上、これ以上自分が言うのは違うと察したのだろう。

 

 

「……アンカちゃんがそう言うなら仕方ないね。手打ちにしてやるよ」

 

 

「『し、シルバーラビット……!助かったよ!お礼に、全霊でバックアップに勤めさせてもらおう!』」

 

 

「は、はい」

 

 

 ドクターは感激したように僕の手を握ってきた。いや、この人も距離の詰め方えぐいな!?

 解散となった後、ドクターについてアメリカ組に聞いてみることにしたのだが。

 

 

「『ドクターってどういうウマ娘さんなんですか?レースのことなんかは知っているんですけど、性格なんかはよく知らなくて』」

 

 

 師匠達はそうだなぁ、と考え込んだ後。

 

 

「『頭のいいバカだな』」

 

 

「『頭のいいバカっすね』」

 

 

「『腕は確かですが……いささか自制する心を知らない方かと。頭脳明晰ではありますが、それを抑えようとしない、短絡的な行動が目立つ方です』」

 

 

「『酷いなお前ら!?』」

 

 

 つまるところ……頭のいいバカってことか。

 

 

「『まぁお前と一緒だ我が弟子』」

 

 

「『誰が頭のいいバカですか!?』」

 

 

「『お前も似たようなもんだろ』」

 

 

 ぐぬぬ……!な、納得いかない!僕のどこが頭のいいバカなんだよ!*1

 というわけで、メディカルチームの代表?であるドクターファーガーさんが合流することになった。モンゴルダービーも着実に近づいてきている。

*1
自分の普段の行動を省みましょう




モンゴルダービーも近づいてきたなぁ……。
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