今日も楽しく安価だ!   作:カニ漁船

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勘違いタグのためにもう1話だけ投稿。


安価ウマ娘、爆誕!

 実は僕、転生者なんですよね。

 ……ちょっとちょっと?僕を痛い子を見るような目で見るのは止めてください?いやまぁ、言わんとしたいことは分かりますよ?僕だって目の前にこんなこと言うヤツいたら頭湧いてんのか?って思いますから。でも実際そうだから仕方ないんですよ。

 自分が転生者だということに気づいたのは丁度幼稚園の頃だったでしょうか?頭を強くぶつけた拍子に全てを思い出したんですよね。

 

・自分が神様によってこの世界──ウマ娘の世界にウマ娘として転生したということ

 

・とりあえず2つのチートを貰ったということ

 

・前世の死因とか諸々のこと

 

 ……とまぁ。以上のことを思い出しまして。僕は自分が転生者であるということを思い出したというわけです。ちなみにウマ娘とやらに関してはミリしらです。なんかのアプリですか?

 最初は滅茶苦茶ビックリしましたね。自分の知らない記憶がポンポーンと出てきたわけですから。驚かない方が無理です。ただ、神様との会話とかも思い出したんで意外とすんなり受け入れることができました。人間って案外慣れるものですね。ウマ娘ですけど。

 前世を思い出したからといって何かが劇的に変わることもなく。強いていうなら今まで違和感なく受け入れていたウマ娘の存在を受け入れるのに少し時間がかかったぐらい?まぁ僕自身ウマ娘だからそんなに時間はかからなかったか。そのまま僕はスクスクと成長していきました。親からは良く

 

 

「大人しい子ねぇ。でもそこが可愛いわ!」

 

 

「そうだ!そういうところも良いぞ!流石は俺達の自慢の娘だ!」

 

 

 なんて言われてました。両親との仲は良好……というよりも、両親めっちゃ僕を甘やかしてくるので最近はウザくなってきたこの頃です。思春期って複雑。

 そうそう、前世の記憶が蘇った時に僕は重要なことを思い出しました。それは……。

 

 

 

 

僕は、安価が大好きであったということです!

 

 

 

 

 良いですよね安価!見ている側も笑顔になれますし、やっている側も笑顔になれます(時と場合による)!前世では僕も自分で安価を開催したりしてましたよ!最高の時間でしたね!

 そしてなんと!僕の今世での名前はアンカデキメルゼ!安価で決めるぜ、ですよ!これはもう運命という他ないでしょう!とても気に入りました!ありがとう両親!ウマソウル?なんですかソレ?

 今世でも早速安価をしよう!……と、思ったまでは良いのですが。

 

 

「ダメよネットなんて!可愛い可愛いアンちゃんが傷ついちゃうわ!」

 

 

「そうだそうだ!怪しいおじさんに可愛いアンが傷つけられると思うと……絶対にネットには触れさせん!」

 

 

 ウチの両親、まさかのネットを許してくれず。てか怪しいおじさんて。あ、ちなみに僕の容姿ですが銀髪のロングヘアと翡翠色の目をしています。前世の記憶を思い出して改めて見た時は我ながら美少女だなぁと思いました。……ロリコンって言ったヤツ?表に出なさい。

 そんなわけでネットも使えず他の子とは精神年齢の違いから遊ぶ機会も少なく……。僕はせっかくなので身体を鍛えることにしました。神様から貰ったチートもあることですしね。

 神様から貰ったチートは以下の2つです。

 

・絶対に怪我しない身体

 

・鍛えた分だけ強くなる

 

 単純ですけどクッソ強いですねこの2つ。特に鍛えた分だけ強くなるの方。こっちは上がり幅は微々たるものですけど言うなれば限界がないってことですからね。なんだこのチート。いやチートなんですけども。

 絶対に怪我しない身体ってのも良いですね。どんだけ無茶しても怪我しないってことですから。というわけで両親の目を盗んで鍛えに鍛えたわけですよ。その結果……

 

 

「やったわあなた!アンちゃんが中央に合格したわよ!」

 

 

「やったなアン!でも……アンが寮に入るからもうアンの姿がたまにしか見れないじゃないかぁぁぁぁ!?」

 

 

 なんか絶叫してる父親は放っておいて。祝、僕はトレセン学園に入学することになりました。筆記は上から数えた方が早いくらい、実技に関しては今年入学するウマ娘の中でもトップだったらしい。コレ、噂で聞いた話。

 でもそんなことはどうでもいいんですよ。重要なことじゃない。僕にとって重要なこと……それは!

 

 

「ついに、ネットが使えるぞぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 

「……うるさいですアンちゃん」

 

 

 ついにネットが使えるということです!あの両親の目もない、寮ではネットが使い放題!これはもう……安価をやるっきゃない!

 そこから僕のトレセン学園での日々は最高に幸せでしたね。安価で今日食べるご飯を決めたり、安価でその日の練習メニューを決めたり、安価でその日やらなくちゃいけないことを決めたり……とても充実した日々を過ごしていました。

 

 

「安価最高!ビバッ!素敵な安価ライフ!」

 

 

 今日はどんな安価をしましょうか?ぐふふ、楽しみですね~。でも、僕の練習風景を見る度にみんな青い顔をしていたけどなんだったんでしょうね?ただバカでかいタイヤを引きながらトラックを周回していただけなのですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして月日は流れて。ついに僕も選抜レースに出る日がやってきました。選抜レースがきた……ならばやるべきことは1つ!安価です!

 

 

「とりあえずスレ立てして……っと。よしっ、これでOK。後は気長に待ちますか」

 

 

 そうやって待っているとすぐにレスがつきました。おぉ、早いですね。

 

 

「趣旨を説明して……スペックも書いていって……いや、おばあちゃん危篤ならお見舞い行きなよ。まぁ単なる冗談だろうけど」

 

 

 安価を開催することしばらく。着々と安価が決定していきましたよっと。

 

 

「お、纏めてくれる人がいる。ありがたやありがたや~……それにしても中々カオスですねコレ」

 

 

 決まった安価を順に並べていくと

 

・戦法は追い込み

 

・コースは芝の1200m

 

・パドックでバク宙&ブレイクダンス

 

・ウォーミングアップでバク転

 

・ゲート入る時大声で気合を入れる

 

ですね。上2つはともかく後の方は中々ですね。ですが、これでこそ安価!

 

 

「最後にもう一つ決めちゃお~っと。さてさて、どんな安価になるかな~……はっ?」

 

 

 僕は自分の行動を後悔しました。最後の安価は……。

 

 

「ゲートで2秒以上出遅れてから走ることぉ!?ふざけてんですか!?」

 

 

 学園で勉強しているからヤバいってことは分かりますよ!何考えてんですかこいつら!後誰が低身長貧乳ケツデカだ!人が気にしてること言いやがって!

 

 

「ぐぬぬ……ッ!で、でも、安価は絶対……ッ!」

 

 

 安価をやらない、それは大罪です。やらなければなりません。ちっくしょー!やりますよ!やってやりますよコンチクショー!末代まで恨んでやるからなこの安価したヤツ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして迎えた選抜レースの日。僕は早速安価で決まったことを実行していきます!

 

 

「イエェェェェェイ!」

 

 

 まずはパドックでバク宙しながらブレイクダンス!

 

 

「イヤッホォォォォォォウ!」

 

 

 お次はウォーミングアップ中にバク転でアピール!最後に!

 

 

「ッシャアオラァ!絶対勝つぞ!後アイツら覚えてろよマジで!絶対許さねぇからな!」

 

 

「君、ゲートは静かに入りなさい。他の子が委縮しているでしょう」

 

 

「はい、すいませんでした」

 

 

 ゲートに入る前に大声で気合を入れる!これで安価3つ分完遂です!……まぁゲート係の人に怒られて土下座しましたけど。次からはこの安価は受け付けないようにしましょう。出走停止は洒落にならないんで。ちなみに他の子からは白い目で見られていました。まぁ、うん、仕方ないよね。でもやらなきゃいけないんだ。安価は絶対だから。あ、ちなみに僕は運動するときは髪をポニーテールにしてます。

 

 

(とは言っても……問題はここからなんだよなぁ……。なんだ2秒出遅れてスタートって)

 

 

 とりあえずゲートが開いても待っときましょうか。そんなこと考えてたらゲートが開きましたけど。とりあえずいーち、にーぃ……っと。さて、走り始めますかね。

 

 

「ふんふふ~ん……お、ようやく2秒か。アイツらめ、マジでふざけんじゃねぇぞ!でもやったらぁ!」

 

 

 アイツら(スレ民)に怒りを込めて!アンカデキメルゼ突っ走ります!ごちゃごちゃ考える必要はねぇ!全力疾走すりゃ追いつけるでしょう!

 観客席からはもうダメだ、追いつけないなんて言われてますけど……。甘いですねぇ、蜂蜜よりも甘い考えですよそれは。

 

 

「アッハッハ!意外と何とかなるもんだねぇ!」

 

 

「うえぇぇ!?う、嘘!?」

 

 

 早速1人抜いた!後何人だっけ!?まぁいいや、前に誰もいなくなったら僕が1着でしょ!

 でも、さすがに全力で走りすぎたせいで疲れてきた……!でも、生憎と僕は!

 

 

「スタミナに自信があるんだよねぇぇぇぇ!」

 

 

「ちょ!?は、早っ!?」

 

 

「む、む~り~!」

 

 

 次々と抜かしていきますよ!さぁさぁさぁ!残りは……1人です!

 

 

「こ、こんなふざけたヤツに負けたくない!こないでよ!」

 

 

 ふざけたヤツとは失礼な!僕はただ一生懸命にやっているだけですよ!

 

 

「僕の……かぁぁぁぁぁちぃぃぃぃぃ!」

 

 

「う、嘘でしょ……ッ!」

 

 

 何とか全員抜いて、僕は選抜レースを見事1着で飾りました!

 

 

 

 

《……ゴォォォォォルイン!選抜レースを制したのは何と2秒の出遅れをかました4番!これは見事な後方一気でレースを制した!》

 

 

 

 

 いやー!無事に勝つことができましたねぇ。良かった良かった!安価民も大喜びしてることでしょう。今日のスレを見るのが楽しみです!

 そう考えていると、トレーナー達が僕のところによってきました。

 

 

「あなた凄い脚ね!私のところで走ってみない!?」

 

 

「君なら3冠も夢じゃない!どうだ?俺のとこで走らないか!?」

 

 

「いやいや俺のとこで!」

 

 

「彼女をスカウトするのは私よ!」

 

 

「いーや俺だ!」

 

 

 どうやら全員僕のスカウトみたいで。さっきまで色々言ってた割には現金というかなんというか。別にいいんですけどね。

 とは言っても、今日は疲れているのでお引き取り願いましょう。すいません、今日は疲れてるんですよ~。また後日スカウトのお声掛けお願いしますね~?と優しい口調で!

 

 

「すまない。さすがに僕も疲れているんでね。スカウトの話ならまた後日受けようじゃないか」

 

 

 ……なんか素っ気ない?仕方ないでしょう?僕の本質はコミュ障なんですよ。前世でも友人との付き合いは最低限にして安価に没頭してましたし、今世でも友人と呼べるような子は同室にして幼馴染のあの子しかいませんし。後なんか敬遠されてますし僕。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 選抜レースも終わって早速スレを開いてみると……おぉ、いい感じに盛り上がっていますね。

 

 

「あ、なんか呼ばれてますね。なんぞ……っと。うん?コレは……あ!今日の選抜レースの記事!もうネットに上がってたんだ!いや~やっぱ嬉しいね~こういうの見ると。あ、色んなレスついてる。ふざけた名前……そうかなぁ?僕は良い名前だと思うんだけど……」

 

 

 ブツブツ呟きながら歩いていると。

 

 

「あ」

 

 

 そんな声が聞こえた。声のした方へと振り向くと。

 

 

「……うん?誰だ君は?」

 

 

 知らない男の人が立っていました。……マジで誰です?見覚えがないんですけど?

 その男の人は慌てた様子で私に話しかけてきました。あ、てかトレーナーバッジついてますね。ということはトレーナーさんかこの人。

 

 

「な、なぁ君!今日の選抜レース、走ってたよな!?」

 

 

「うん?もしかして君はトレーナーか?あぁ、確かに僕は今日の選抜レースを走っていたよ」

 

 

「じ、じゃあ教えてくれ!君は……なんでわざと出遅れたんだ!?」

 

 

 あ~やっぱ突っ込まれますかソレ。確かに他の人からすれば気になりますよねぇ。うんうん、分かる分かる。

 でも正直に安価で決まったから、なんて言ってもアレだしな~絶対白い目で見られるしな~……。

 ま、素直にわざと出遅れたって答えますか。ちょっとオリジナリティを加えて。

 

 

「それが神(スレ民)の定めたことだからだ。あの出遅れも、神(スレ民)からの啓示(安価)でわざと出遅れた」

 

 

 なんか違う気がしますけどまぁ大体合ってるのでいいでしょう。目の前のトレーナーさんは大層驚いています。信じられないとばかりに目を見開いていますね。そんな意外なことですか?安価。

 

 

「神の定めたことって……。じ、じゃあ君は本当にわざと出遅れたのか!?」

 

 

「そう言ってるだろう?」

 

 

「なんで、自分から不利になるようなことを……」

 

 

「決まってるだろう」

 

 

 僕は仰々しく手を広げます。ここは1つ、安価のすばらしさを伝えましょう!

 

 

「神(スレ民)が定めた摂理(安価)は絶対。破ることは決して許されない。神々(スレ民たち)の戯れ(悪ふざけ)のために踊る哀れな道化(安価廚)……それこそが僕だからだ」

 

 

 目の前のトレーナーはさらに目を見開いてます。なして?

 

 

「ッ!き、君は……それで満足しているのか!?」

 

 

「ふむ。どういうことかな?」

 

 

 大満足ですけど。最高に楽しいウマ娘兼安価ライフを謳歌してますよ!

 

 

「神とやらが決めたことに生きて……レースを支配されて!君はそれで満足しているのか!?」

 

 

「満足しているとも」

 

 

 僕はトレーナーさんの疑問に間髪入れずに答えて続けます。

 

 

「僕は神々(スレ民たち)の戯れ(悪ふざけ)を望んで受けている。それこそが、僕の生き甲斐だからね。余計な口出しは厳禁だ」

 

 

 人差し指を口に当て、僕はそう締めた。

 そう!安価こそが僕の生き甲斐!僕が今世でやりたいこと!素敵な安価ライフを過ごすために、僕は安価をやり続ける!ゆくゆくは安価の力で、トゥインクル・シリーズを熱狂の渦に巻き込む!それが僕……アンカデキメルゼの生き方だ!

 目の前のトレーナーさんはボクの説得を諦めたようだ。うんうん、安価の素晴らしさを分かってもらえたようで何よりだ。

 

 

「なぁ君。名前は……なんて言うんだ?」

 

 

 え?あの選抜レース見てたのに僕の名前知らないんです?

 

 

「僕の名前かい?選抜レースを見ていたのであれば、僕の名前は分かると思うが?」

 

 

「そ、それが……レースの興奮で名前が飛んじゃって」

 

 

 トレーナーさんは恥ずかしそうに頬を掻いています。おやおや、僕の姿に釘付けになっていたんですか?それは少し嬉しいですね。

 

 

「……ップ!アハハハ!それはそれは!僕の走りにそれだけの価値を見出してくれて嬉しいよ!やはり神々の戯れ(安価スレ)は最高だ!いいとも、答えようじゃないか」

 

 

 僕は息を吸い込んで、僕の名前を教えます。

 

 

「僕の名前はアンカデキメルゼ。機会があればまた会おうじゃないか、トレーナー君?」

 

 

──それが、僕とトレーナーの出会いだった。とりあえず帰ったらまた安価やろーっと。




続かないです。多分。
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