スティール・ボール・ランの2nd.STAGE。配信の様子は。
《グッドモーニング!配信を見ているお前ら!よく眠れたか?スティール・ボール・ランの配信が今日も始まるぜ!すでに走っているウマ娘がチラホラと散見されているな。そんな中、大注目のシルバーラビットはというと!早速中継を繋いでみよう!》
大盛況のようである。配信が始まった瞬間から雪崩のように人が入り込み、あっという間に同接者が40万を超えた。しかも、さらに伸び続けている。この調子でいけばまた100万は優に超えるだろう。コメントもちらほらと見えている。それなりの盛り上がりを見せていた。
実況がシルバーラビット──アンカデキメルゼに中継を繋ごうとすると、コメントはさらに盛り上がっていた。
トップチャット∨ ︙ |
・今朝の楽しみ ・アンカちゃんどこまでいったんだろうか? ・wktk ・他もそこそこ早い時間から出走してるのね ・例年以上に面白いわ今回 ・早くアンカを映してくれ! ・どうせ変なことやってる ・wktk ・さ~て何をやらかしてくれるのか ・この区間からアンカちゃんの不利が出始めるのかな? |
ドローンを通してアンカデキメルゼの様子が中継される。その瞬間、困惑の声が上がり始めた。実況も困惑するが、急いで現在の状況を伝えようとする。
《し、シルバーラビットに中継がつながったが!なんとシルバーラビットは
アンカデキメルゼにカメラが寄せられていって。踊っている様子が生中継されていた。ちなみに何を歌っていたのかというと。
「~~~♪……あっちぃんだよ!暑いに決まってんだろうがボケが!僕が今どこにいると思ってんだよ!?燃えるように熱いわド畜生が!」
アーチーチーで有名なあの曲だった*1。コメント欄も大盛り上がりである。主にアンカデキメルゼの奇行によって。
トップチャット∨ ︙ |
・wwwwww ・w ・www ・ホンマコイツwww ・wwwwwwww ・砂漠のど真ん中で何やってんねんwww ・案の定変なことやってるwww ・日本という国が誤解されるだろ! ・www ・もう手遅れ定期 ・めっちゃ悪態ついとるwww ・そら(砂漠のど真ん中だから)そう(暑いに決まってる)よ |
実況も歌詞が聞こえてきて、曲の内容を知って噴き出していた。ツボに入ったのか実況も忘れて笑い声が入りっぱなしである。
《ちょ、ちょっと待ってくれ!?は、腹が……!ヒィー、ヒィー!?》
待つことしばらく。なんとか調子を戻した実況の声が咳払いとともに入った。
《ん、ンン!すまなかったなお前ら!そ、それにしても……ッ!プクク!相変わらず話題に事欠かねぇウマ娘だぜアンカデキメルゼ!さぁ2nd.STAGEはまだまだ始まったばかり!ここからどういった展開を迎えるのか見ものだ!配信の様子はウマ娘達を交互に映していくからな?見逃さないでおけよ!》
こうして今日もスティール・ボール・ランが始まる。
砂漠のど真ん中で踊っていたウマ娘がいたらしいんですよ~。ま、僕のことなんですけどね。
「クソが!」
悪態つきながら砂漠を走り続ける僕。いや、まぁ自業自得だけどさぁ!でも虚無感がやべぇんだよ!だーれもいない砂漠で1人歌って踊ってさぁ!終わった後の虚脱感!分かるか?この気持ち!何やってんだろう僕……みたいな感じで虚無いんだよ終わった後!
悪態ついたところで状況は好転しないわけで。僕は気持ちを切り替えて走ることに専念する。うん、1日目で分かっていたことだけど。
(じりじりと照りつける太陽の光。その日差しによって温度を上げる砂漠の砂と岩。遮蔽物もないから熱はどんどん上がっていく。今はもう地面で触れるのも難しいぐらいだ。日本みたいに湿度があるわけじゃないから日陰に隠れれば多少はやり過ごせるとはいえ、それでもキツいことには変わりない)
砂漠の熱は僕の体力を着実に奪っていくし、何より少しでも気を抜くと日射病の危険性だって出てくる。こんな砂漠でミイラになるなんて御免だ。
2日目の午後にしてようやく水場へと着く。急いで水を補給しつつ現在地の確認。
「……うん!やっぱりルートは合っていたな!この調子で次の水場まで頑張ろう!」
後は、この2nd.STAGEにはチェックポイントがある。スタート地点からゴールであるモニュメントバレーのちょうど半分の位置にチェックポイントの町があり、そこで休憩を取ることも可能だ。物資の補給なんかもできる。このペースなら6日目には着くだろう。
(それに、そろそろ単独出走の不利なところが出てくるだろうしね)
考えれば当たり前のことだけど、このレースにおいて僕は圧倒的な不利を背負っている。まず数的不利。あっちは大体25人で1チームを組んでいるのに対して僕はぼっち。この時点でもうかなりの不利だ。これが普通のレースならともかく、超長距離レースともなると話は別。向こうは変わりばんこで走れるからスタミナの有無なんて関係ないに等しいし、休むことだってできる。今のところ最短ルートを取らないウマ娘しかいないから助かっているけど、もし僕と同じルートを取り始めるウマ娘が出始めたらかな~り厄介だ。
(あの時の様子を見る限り躊躇しているみたいだけど)
煽りこそしているけど実際結構ギリギリなのだ僕も。体力も一晩休んだおかげで
「おっと、目薬も差すか。そろそろ目がシパシパしてきた」
後は糖分だな。この辺もしっかり取っておかないとヤバいことになる。こうして数日走り続けて……。
「『おめでとうございます!ここは2nd.STAGEのチェックポイント、1,200kmの旅路の丁度半分となります!』」
「『僕以外にここに辿り着いたウマ娘は?』」
内心ビクビクしながら聞いてみる。運営の人は、それはそれはもう嬉しそうな声で。
「『シルバーラビット、アンカデキメルゼ様が最初のチェックポイント通過者です!なので、アンカデキメルゼ様が暫定1位となっております!』」
そう告げて。思わずガッツポーズをした!
「ッシ!」
「『ここでは物資の補給ができます。またここで疲れを癒すことも勿論可能です。どうなさいますか……と言いたいところですが』」
「『ひとまずは疲れを癒そう。もうすぐ日没だしな』」
日も傾き始めている。ここから物資の補給やらなんやらを済ませたらいい時間になるだろう。なら、このチェックポイントで休んでおくのが得策だ。
物資の補給をしている間に日も落ちた。今日はこのチェックポイントで休むことになるだろう。
「さてさて。他の出走者はどんな感じかな~?」
ウマホをつけて配信を確認する。
《さぁここでスティール・ボール・ラン2nd.STAGEの6日目が終了だ!そしてなんとなんとぉ!トップは残り半分のチェックポイントに着いたみたいだぜぇ!誰か気になるか……と、言いたいとこだが!お前らはもう察しがついているだろう!そう!シルバーラビットぉ、アンカデキメルゼだぁぁぁぁ!》
おぉ!コメントめっちゃ盛り上がってるじゃん!僕を褒め称えるコメントがたくさん上がっている……おい待て!聞き捨てならねぇコメントがあったぞ!
「毎朝変なことやってるウマ娘だと!?……その通りだよ!」
冷静に考えたら別に変なことじゃなかったよAHAHA!そりゃ毎朝歌って踊ったりどっかの玩具みたいに奇声を発しながら手を叩いていたらそりゃ気が触れたと言われてもおかしくねぇよ!でも安価だからね仕方ないね。
他の出走者達の位置も確認するが……そんな遠くない位置にいるな。明日の午前中には向こうのトップチームはチェックポイントに着くだろう。差にして30分もないぐらいか?ショートカットが効いているのかもしれない。
ま、色々考えたけど。
「明日に備えてさっさと寝ますかね」
久しぶりにベッドで眠れるぞわーい!後お風呂にも入れた!久しぶりのお風呂サイコー!
砂漠で何やってるんだコイツは(困惑)。