今日も楽しく安価だ!   作:カニ漁船

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お久しぶりですねぇ!


5th.STAGEの決着

 アイルランド、とある敷地にて。

 

 

「あぁ……!やはりあなたは美しい!我が愛しのプリンセス、アンカ!」

 

 

「おっと、もうスティール・ボール・ランの配信が始まっている時間でしたか。私も見たいので見せてください姉上」

 

 

「無論構わないさダラカニ。さぁ、一緒に見よう」

 

 

 私はダラカニと一緒にアメリカで開催されているスティール・ボール・ランの配信を見る。それにしても……やはり彼女は美しい!出走しているウマ娘の中でも、一際すさまじい輝きを放っている!あぁ、モンゴルダービー以来会っていないからね。モンゴルダービーのお礼としてまた今度デートをしようという約束を取り付けたものの*1、会えないというのは寂しい。やはり焦がれてしまうものだ。

 

 

「それにしても……やはりアンカデキメルゼさんは凄いですね。普通は考えつかないことかと」

 

 

「だろう?常人には理解しえぬ挑戦の数々、そして積み立ててきた偉業!そして何よりその容姿が!私の目に焼き付いて「あ、分かりましたので姉上。それよりもそろそろアンカデキメルゼさんのカメラに替わりますよ」おっと、見逃すわけにはいかないね。早速スパチャの準備だダラカニ!」

 

 

「心得ています姉上」

 

 

 アンカの勇姿を一挙手一投足見逃すわけにはいかない!配信にかじりつくように見て……!来たッ!

 

 

「~~~ッ!」

 

 

「さて、今回はなにをやっているのでしょうか?」

 

 

 我々の目に飛び込んできた光景。それはッ!

 

 

《日本の未来は♪WowWowWowWow!世界がうらやむ、YeahYeahYeahYeah!恋をしようじゃないか!》

 

 

「アンカぁぁぁぁ!私は君に恋い焦がれているよー!アンカぁぁぁぁ!」

 

 

 良く分からないが、とても可憐に歌って踊っているアンカだ!それよりもこの曲はなんだ!?

 

 

「ダラカニ!」

 

 

「はい。……どうやら、コメント欄を見るにこの曲は日本の曲らしいです。タイトルは……これかと」

 

 

「ほほう……良い、とても良い!早速スパチャだ!」

 

 

「準備は済ませております」

 

 

 さてさて、投げ銭投げ銭っと。正直この限度額というのが煩わしいな。この限度額さえなければもっとスパチャを送るというのに。

 

 

「相変わらずアンカデキメルゼさんがお好きなようですね、姉上」

 

 

「無論だともダラカニ!あぁ、いつ見ても美しい……ッ!」

 

 

「キスされただけで狼狽えるのに」

 

 

「い、言うんじゃない!私とて、不意打ちでなければ!」

 

 

「はいはい」

 

 

 ぐ、ぐぬぬ……!ダラカニめ、姉の恥ずかしい姿を見てこれ幸いと弄りおってからに!

 

 

「それよりも!早くアンカを応援するぞ!もうそろそろ走り始めるだろうからな!」

 

 

「分かっておりますとも姉上」

 

 

 ダラカニと並んで配信を見る。無論、機器を繋いで大画面のスクリーンで!

 アンカは……変わらず1人で走っている。孤独な行進、他が集団での踊りを魅せる中ただ1人舞台で踊り続けることを定められた妖精。それはこのスティール・ボール・ランが始まった時から何も変わらない。人は彼女を心配するだろう。

 本当に大丈夫なのか?本当に無事なのか?本当に完走できるのか?と。だが、私は何の心配もしていない。何故ならば、彼女は()()()()()()()()()()()

 

 

「相変わらず、凄まじいですねアンカデキメルゼさんは。モンゴルダービーも単独走破出来たんじゃないか?とも思えます」

 

 

「ハハ、実際彼女ならできるだろうさ。だが、それは規定によりできないからね。仕方ないと言えば仕方がないさ」

 

 

「そうですね。それにしても……雰囲気が違いますね」

 

 

 怪訝な表情で画面を見つめるダラカニ。現在の映像はアンカではなく、他チームのウマ娘達が走っている映像が流れていた。ふむ……美しいな!だが、彼女達はもっと輝けるだろう。もっともっと、美しい輝きを見せてくれる!

 もっとも、最初からそうだったわけじゃないが。

 

 

「なにがだい?ダラカニ」

 

 

「お戯れを、姉上。姉上とて分かっているのでしょう?」

 

 

「それでも、だ。お前の口から直接聞かせてくれ、ダラカニ」

 

 

「それでは、僭越ながら」

 

 

 ダラカニは1つ咳払いをする。

 

 

「アンカデキメルゼさん以外の参加者は1st.STAGEや2nd、3rd.STAGEはどこか浮ついた雰囲気がありました。本気ではない、順位など関係ない、ただ走り切ることに意義がある。そのような考えのもと走っていたのでしょう。もっとも、それを悪とは思いません。スティール・ボール・ランはただでさえ過酷なレースですので」

 

 

「そうだな。6,000kmという道のりに加えて基本悪路だ。完走するだけでも意義があるものだろう」

 

 

「はい。ですが……1つの例外が生じた。それがアンカデキメルゼさんです。彼女の挑戦的な姿勢が、他の参加者達を動かしつつあります」

 

 

 アンカ以外の参加者はスティール・ボール・ランを()()()()()()に重きを置いていた。だが私はそれを悪とは思わない。確かに見る側からすれば退屈かもしれないが怪我や故障にもつながるレース、慎重になるのは悪いことではない。

 だが、そこにとある因子が紛れ込んだ。それが……アンカ。

 

 

「他の参加者達の意識は、徐々に完走することではなくアンカデキメルゼさんに一泡吹かせようという意識に変わりつつあります。彼女達の考えならば、すでに走るのを諦めていてもおかしくない状況ですから」

 

 

「そうだね。総合優勝はもうアンカでほぼ確という状況、完走に重きを置くなら無理をする必要はない。だが……彼女達は」

 

 

「はい。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 タイムが縮まってきているのがその証拠。1時間はあった差が徐々に縮まって、この5th.STAGEでは20分ほどに縮まってきている。向こうはそれなりの安全なルートを取っていたが……それもこの5th.STAGEで変わり始めてきた。

 あぁ……!相変わらず君は凄いよアンカ!流石は我が愛しのプリンセスだ!

 

 

「誰もが彼女に魅了される!彼女の挑戦的な姿勢に、困難に立ち向かう姿に!あらゆる無茶無謀の道を切り開くその姿勢に!私達は魅了されているのさ!分かるだろう!?ダラカニ!」

 

 

「えぇ。姉上がアンカデキメルゼさんに執心する理由が、良く分かりますよ。彼女の姿勢は──()()()()()()()()()()()

 

 

 誰であっても壁にぶち当たる時はあるものだ。私にも経験がある。

 無理だという諦め、常識という壁、過去の経験則から分かってしまう絶望。その壁にぶち当たって諦める者が多い。そうなると人はより低い壁を探し始める。そして、高い壁には見向きもしなくなるのだ。

 できなくても仕方ない。自分には無理なことだったんだ。諦めるのが正解──そう思うようになる。ま、それを悪とはしない。それもまた自分が選んだ道、私に否定する権利はないのだから。

 

 

(だが、アンカは違う)

 

 

 アンカはどんな時だって困難に立ち向かう。どんな時だって挑戦することを止めない。誰に咎められても、誰に後ろ指を指されても、誰に嘲笑(わら)われても──彼女は一度たりとも諦めたりしなかった。模索し続けて、挑戦し続けて。その気高さがあるからこそ、今のアンカデキメルゼというウマ娘を形成している。

 だからこそ人は彼女に夢を見る。夢を見て、彼女の挑戦する姿勢に心動かされる。そして立ち上がるのだ。一度は諦めてしまったことを、もう一度挑戦してみようと!

 

 

「彼女達の心を、アンカデキメルゼさんは動かしつつある。ですが、()()()()()()()()

 

 

 おっと、アンカがいかに素晴らしいかを考えすぎたか。それにしてもまだ完全ではない、か。

 

 

「お前の目にもそう映るか?ダラカニ」

 

 

「はい。彼女達の挑戦的な姿勢は徐々に増えつつあります。ですが……まだ余地がある」

 

 

 彼女達はまだ余地を残している。だが……それが爆発するのも時間の問題かもしれないね。

 

 

「だがダラカニ。それも時間の問題だと私は考えているがね」

 

 

「どういう意味です?姉上」

 

 

「単純だ、ダラカニ」

 

 

 ダラカニにウインクして。私は答える。

 

 

()()()()()()()()()()。本能には抗えないさ」

 

 

「……あぁ、そういうことですか。確かにそうですね」

 

 

 頑張れアンカ。君の姿勢は……確実に参加者達を動かしつつある。それはそれとして!

 

 

「クソ!何故スパチャには限度額というものがあるのだ!?これさえなければもっと支援するものを!」

 

 

「姉上のような方が一定数居るからかと」

 

 

 ぐうの音も出ないね!アハハ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5th.STAGEも最終局面。ゴールであるシカゴを先頭で通過するのは──。

 

 

《最初の通過者が見えてきたぞ!最初の通過者は──やはりシルバーラビット、アンカデキメルゼ!アンカデキメルゼが先頭だ!残り100!50!そして今、ゴォォォォルイン!シルバーラビットが5th.STAGEもトップで通過した!これはもう単独優勝間違いなし!だが!それでもシルバーラビットは手を緩めない!シルバーラビットはそのまま6th.STAGEに突入だぁぁぁぁ!いや、手を緩めないのではなく!手を緩めることができないというべきか!》

 

 

 やはりというかアンカデキメルゼ。だが、アンカデキメルゼはそのまま6th.STAGEへと突入する。その理由はただ1つ。後方から追い上げてきているからだ。

 

 

《そう遠くない位置に他のチームのウマ娘が続々と雪崩れ込んできている!149チーム、149人のウマ娘が!15分ほど遅れてこの6th.STAGEへと突入しようとして来ている!その表情はかなり必死だぜ!さぁさぁ頑張れ頑張れ!シルバーラビットの背中はもうすぐ見えそうだぜ!》

 

 

 他のウマ娘もゴールへと突入し。そのまま6th.STAGEへと突入していった。その表情は1st.STAGEの時のような表情ではない。

 

 

「……クソ!まだ、まだ遠い……ッ!」

 

 

「けど、だけど……!」

 

 

「……ッ!っ」

 

 

 ただひたすらに前を。前だけを見据えていた。

 スティール・ボール・ラン6th.STAGE、ミシガン湖をぐるりと回るコースが幕を開ける。ゴールはマッキーノシティ、ヒューロン湖。

*1
その内短編で書きます




おや?他のウマ娘達の様子が。
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