147話と148話についですが、今までの話の整合性的にかなり無理のある描写になっており、このままずっと引きずりかねないと思ったので一旦削除させていただきました。こちらの勝手な判断で削除してしまい申し訳ございません。話を少し修正してまたアップします。
また感想を下さった読者の方々は言い訳がましい返信を書いてしまい本当に申し訳ございませんでした。
6th.STAGEも半分の行程を過ぎた。先頭のシルバーラビットとの差は結構縮まっている。
(だけど、油断はしない。アイツはまだ力を隠しているかもしれないから)
そうじゃなきゃ、レースであれだけの実績を叩き出すことなんてできるわけがないから。今更ながらに3rd.STAGEの失態を後悔している……もう、遅いってのにさ。本当、私ってばいつもそう。
(気づいた時にはもう遅くて、手遅れになったから諦めて。本当アレだよね~)
なんにしてもシルバーラビットに一泡吹かすためにはこの6th.STAGE以降で勝つしかないわけだ。ぶっちゃけ一番確率が高いのは次の7th.STAGE。総距離約1,300kmの長い旅。これが終われば後は8th.STAGEとFinal.STAGEを残すのみだ。なんていうか、アレだ。
「気づいたらもう6th.STAGEまで来たんだな~」
「どうしたんです?リーダー。改まって」
「んにゃ。気づいたらもうこんなに走ってたんだ~って思っただけ」
「あ~そうですねぇ。最初は途方無い道のりだと思いましたけど、案外何とかなるもんですね」
チームメイトのウマ娘は笑っている。私も愛想笑いを浮かべる。
(私達はアイツに比べれば、シルバーラビットに比べればはるかにマシだ)
シルバーラビットはここまでの距離を単独で走っている。アイツ本当に私達と同じウマ娘?とでも言いたくなるようなことやってるのがアイツ。でもまぁ……その強さは途方もない努力の果てに成り立っているんだなってのが良く分かる。よくよく考えれば、才能だけでこのスティール・ボール・ランを走破するのは不可能だ。例え私が世界中の有名なタイトルを総なめして、ステイヤーとして結果を残したところでさ、このスティール・ボール・ランを走り切れる?って言われたら無理って断言できる。だって距離が違い過ぎるし。
普通なら不可能だって考える。無理だって思う。だけど、アイツは違う。諦める前に手と足を動かす。無理だって思う前にまずは挑戦する。目的のためにどこまでもまっすぐで、人のために頑張れるような奴なんだな~ってのが良く分かる。
(私とは大違いだよ本当)
どこまでも眩しく見える奴。太陽みたいに輝いてて
(……だけど)
本当はとっくに気づいてる。私が何に苛ついているのか?私がどうしてシルバーラビットに苛つくのか。
だけど、それは表に出さない。表に出したが最後、
(迷惑にはなりたくないからね)
「ところで体調は大丈夫?今のシカゴは寒いからね~、しかも湖の側だから尚更だ」
「は、はい!大丈夫です!これぐらいへっちゃら……クシュン!」
可愛いくしゃみだ。恥ずかしそうに顔を赤くしている。
「ほら、あんまり無理しないで。マフラーもあるし、待機の車の中はあったかいから入っときな?」
「そ、そうします……リーダーは?」
「私はもうちょっと外を見とくよ。明日の天気も気になるしね」
「そうですか。リーダーも気をつけて!」
「ういう~い」
その子は車の中に戻っていった。さて、と。明日の天気も思わしくないね。きっと雪の中の行進になる。
(吹雪じゃないだけマシだけど、それでもキツいもんはキツい。現に、他のチームもペースが落ちてきている)
それはシルバーラビットも例外じゃないけど。ひとまず明日はどんな風に立ち回ろう?と考えていると──マグカップが手渡された。
「ほら、リーダー。ただでさえ冷えるだろう?飲んで体を温めておけ」
「お、気が利きますねトレーナーさん」
トレーナーさんだ。どうやら私の方に来たみたいだね。マグカップは湯気が立っていて、中身はコーヒー。
コーヒーに口をつけると、冷えていた私の身体が奥底からあったまっていくような感じがする。うん、やっぱり良いね。こういう寒い日にあったかい飲み物を飲むのは。
「それで、なにを黄昏ていたんだ?」
「ん~?明日以降のレースどうするかな~って考えてた」
嘘は言ってない。嘘は。だけどトレーナーさんは訝し気。そんな目をされる謂れはちょっとしかないんだけどな。
トレーナーさんは溜息。うん、何を言いたいかは分かる。
「……さすがにこれ以上ペースを上げるのは危険だ。ただでさえ危険な道だし、この雪で思った以上にスタミナ消費が激しい」
「だよね~」
おっと、言い訳しておくとペースを上げるってのはみんなの判断ね?みんなで話し合って決めて、満場一致でペースを上げるって決まったから上げてるわけ。私の一存だけで決まるわけないって。
「……メンバーの体調は?」
「誰一人として問題ない。だが、さすがに疲労の色が濃く出てきたメンバーがいるな」
成程ねぇ。ならその子達はゆっくりと休ませておくとして。
「お前にはこれ以上無理はさせんぞ」
「まだ何も言ってないんだけど」
心外だ心外。確かにそんなこと考えてたけど。トレーナーさんは溜息。
「リーダー、3rd.STAGE以降ずっと様子がおかしいぞ?」
「あり、そうですかね?普通ですよ普通」
「普通じゃない。他のメンバーよりも明らかに距離を走るようになったし、なにより気合の入りようが違う」
「あ~……ちょっち焦ってたかもしんないね。シルバーラビットに一泡吹かせよう!って頑張り過ぎちゃってたか!」
とりあえず、おとぼけた様子で答えておこう。私は問題ない、大丈夫だ~って感じで。あれ?でも……。
「でも気合の入りようが違うって
特に気合入れてた覚えはないんだけどな。いつも通り走ってたはずだ。トレーナーさんはそうは思ってないのか目を丸くしているけど。
「お前、気づいてないのか?いつものお前の走りとは明らかに違うぞ?」
「あ、あ~……そう、なんだ」
なんてことだ。それはよろしくない。それは、
「そりゃ悪かったねトレーナーさん。次からは気をつけるよ」
「あぁ。他も、大分無茶な行進をするようになってきた。このままだと怪我人が出るかもしれない。細心の注意を払っておけよ」
「それは良くないね」
他メンバーの怪我だけは避けないと。絶対にうるさいことになるし。
「ただ、シルバーラビットはそう遠くない位置にいる。ここで追いつけなくても7th、あるいは8thなら」
「
「は?」
「え?」
……待て待て。私は今何を口走った?トレーナーさんの言うとおりでしょ。ここで無理しなくても7thや8th.STAGEで勝てばいい。私はそうしてきたはずだ。うん、風邪でも引いたかもしれないね。考えがおかしくなってら。
「とりまシルバーラビットには追いつける。アイツに……一泡吹かせられる」
「お前は本当に変わったなリーダー。そこまで意識するか?シルバーラビットを」
変わった?私が?しかもシルバーラビットのせいで?……なんとなく苛つくな。
「……俺が悪かった。俺が悪かったからそんな不機嫌そうに耳を絞るな」
「……別に」
「だが、事実ではある。お前は──完走するだけでよかったんじゃないのか?」
ぶっちゃけその気持ちは変わらない。完走できればそれでいい。だけど、その過程でシルバーラビットに一泡吹かせられればいいってだけ。で、シルバーラビットを一泡吹かせるんだったら、アイツが目標にしていた全区間トップって目標を達成できなくすればいいって思っただけだ。
「なーに言ってるのさトレーナーさん。今でもその気持ちは変わらないよ。完走できれば……それで満足」
「そうか。なんにせよ、6th.STAGEも残り半分!完走目指して頑張るぞ!」
とりあえず拳を上げて答える。心はモヤモヤしたまんま。だって仕方ない、嘘ついてるようなもんだし。
(嘘?どんな嘘を吐いてるっての?私が)
いやいやいや、完走すれば満足だって。それは嘘じゃない。じゃあ何が嘘?……我が事ながら分かんねぇ。
考えるのめんどくさ。とりあえずもう寝よ。
それからも彼女達は走り続ける。時に吹雪に見舞われ脚を止めながらも、彼女達は6th.STAGEのゴールを目指して走り続けた。
時に身を寄せ合って体を温めながら、時にくじけそうになる心を励まし合いながら、時に体調が芳しくない子の代わりに走りながら。彼女達はこの6th.STAGEを走り続ける。
走行距離約690km。マッキーノシティのヒューロン湖をゴールとするそのステージが。いよいよ終わろうとしていた。
《ドローンがその姿を捉える6th.STAGE!ブリザードが止んだから出走しているウマ娘達の姿が良く見えるぜ!現在先頭を走っているのはシルバーラビット、アンカデキメルゼ!だが!後続との差は僅か10バ身あまり!ステージ開始前は20分はあったであろう差が!ついに10バ身にまで収まったぁ!これはシルバーラビット危うしか!?》
アンカデキメルゼと後続との差はかなり縮まっている。一時は1時間以上の差があったというのに、今はもう10バ身以内に収まり──その差はぐんぐん縮まってきていた。
後続のウマ娘達も疲れは溜まっているだろう。だが、そんなことお構いなしにペースを上げる。全てはアンカデキメルゼを追い越すために。
「貰った!」
「年貢の納め時よシルバーラビット!」
他のチームがアンカデキメルゼに襲い掛かる。絶体絶命のピンチ、だが……それはアンカデキメルゼにとっての極上の餌だ。
「……アハっ」
アンカデキメルゼの脚色は衰えるどころかさらに鋭さを増した。大荷物を背負っているため、他のウマ娘よりもハンデを負っている。だが、それでもアンカデキメルゼは後続を引き離しにかかり、その勢いのままに駆け抜ける。他チームのウマ娘達も必死に追いすがるが、差が縮まらない。
《荷物を背負っていようが関係ねぇ!ここにきて脚色が衰えないどころかさらに鋭さが増しているぜシルバーラビット!そしてシルバーラビットが今ゴォォォォォォォォルイン!恐ろしい強さだ!このスティール・ボール・ラン唯一の単独出走であるにもかかわらず!現在全ステージをトップ通過しているシルバーラビット!あまりにも強い!あまりにも強すぎる!》
6th.STAGEもまた、アンカデキメルゼがトップ通過を果たした。その勢いのままにアンカデキメルゼは7th.STAGEへと突入する。
そんなアンカデキメルゼの姿を後ろから見ているウマ娘がいた。いや、ウマ娘達が見ていた。
「……クソッ!」
「もうちょっとだったのに……ッ!」
多くは語らない。ただ、全員が悔しそうに歯を食いしばり唇を噛む。
その中でも一際悔しそうにしているウマ娘がいた。彼女の耳には、他者の声が聞こえていないようである。
「おいリーダー!早く交代しろ!寒さで凍えちまうぞ!?」
「クソ……クソ……クソッ!」
「リーダー!」
「ッ!」
リーダーと呼ばれたウマ娘は、我に返ったように辺りを見渡す。そして、自分の置かれている状況を理解し。
「……ゴメン」
ただ一言謝って、車へと乗り込んだ。
6th.STAGE勝者、アンカデキメルゼ。勝負は7th.STAGEへと突入する。
以下謝罪の言葉。
まずは今回の修正の件についてですが……誠に申し訳ございませんでした。あの後感想でのご指摘をしっかりと受け止めて今一度見直した結果、修正前の今話と次話は擁護のしようがないくらい酷い展開でした。感想でもみっともなく言い訳の言葉を並べており、本当にお恥ずかしい限りです……。いくらSBRが挑戦の物語だったとしてもさすがにクレバスの飛び越えは挑戦でも何でもなく無謀なことだと判断しクレバス自体をなかったことに。そもそも安全なルートを確立しているのに何でクレバスがあるの?という矛盾もできてしまうのでクレバスはなかった子にしました。
改めて謝罪を。修正前の今話と次話は本当に申し訳ございませんでした。