「というわけで!アルナイルのみんなでパーティをしたいの!」
「なにがというわけなのか分からないなぁ……」
部室で仕事をしていると開口一番ファインからそんな申し出があった。当のファインは頬を膨らませて怒ってますアピールだ。
「だって!チームを設立してからそれらしいこと一度もしてないんだもの!年末に鍋を囲ったっきりじゃない!」
「確かにそうだけど……そう言えばジャーニーの加入記念みたいなものもしてないね」
「そう!だから私、考えました!」
パンパン、とファインが手を叩くといつものSPの方々が垂れ幕を用意してきた。いつからスタンバってたんだろう。そして垂れ幕には……【アルナイル設立記念!メンバー同士の懇親会withゲームパーティ!】?
「みんなでゲームをしようと思うの!名案だと思わない?」
「う~ん……」
「何か不都合でも?トレーナー殿」
「あ、あぁいや。そう言うわけじゃないです。ただ空いている日程を考えてただけで」
SPの人から凄まれた。ちょっと怖い。
「こういう催しは俺としても賛成なので是非って感じです。メンバー同士の仲が良いのに越したことはありませんから」
「左様ですか。賛成のようで何よりです」
「じゃあ決まりね!いつにしようかしら?」
「丁度明日がみんな空いてるし、その日に昼から集まってやろうか。今日のミーティング終わりにでも声をかけるよ」
「はーい!」
ファインは機嫌良さそうに去っていき、SPの人達はその後ろをついていった。最後に俺に一礼をして。それにしても懇親会か。
「アンカは海外のレースに出走することが多いし、この機会を逃したくはないな。それに、みんなの結束力を高めるいい機会だ」
特にアンカは絶対に参加させよう。ヴィッパーからこの日は何もないことを確認済み、どうせトレーニングするだろうという話を聞いているからね。アドマイヤベガやナリタトップロードのおかげで改善しつつあるとはいえ、アンカはあまり他人と関わろうとしないから。
そんなわけで練習後のミーティングで。
「それじゃあ明日はチームの休みの日だけど……せっかくだから懇親会のようなものをしようか」
「「「懇親会?」」」
「そう。思えば一度もやったことないし、チーム同士の仲を深めるためにもここらで懇親会でもどうかなって思って。発案者はファインだよ」
「はーい!私でーす!」
「懇親会ですか……面白そうですね!」
「──interesting。楽しみだ」
「……まぁ実験ぐらいしかすることもないし、私は構わないよ参加しなかった場合何されるか分からないからねぇ」
「えー?めんどくせぇな「参加すればこちらの券を進呈しましょう」よっしゃあ!やろうぜやろうぜ!」
なんかジャーニーは賄賂を渡されているような気がするけどまぁいいか。セクレタリアトさんとニジンスキーさんも参加するらしい。
そして──やはりというか。アンカは難色を示していた。
「……」
「やっぱりアンカは嫌?」
「嫌、というわけではないが……」
うんうん唸って。最終的にアンカが出した結論は。
「……思えば僕のせいでできなかったようなものだしな。参加させてもらう」
参加だった。これは、アンカも成長しているということだね。良いことだ。
「それじゃあ明日、ゲームパーティをしようか。それぞれお菓子を持ち寄ったりして、トレーニングやレースのことを忘れて楽しもう!」
「「「おー!」」」
俺の方はジュースやお菓子をたくさん用意しておこう。みんなが楽しめるように、ね。
というわけでやってまいりましたアルナイルのゲームパーティの日。みんな私服で部室に集まるのってなんか新鮮。そう言えばやるゲームに関してはファインさんがチョイスしたらしいけど、何を持ってきたんだろう?
「それじゃあ最初はこれ!桃〇!」
初っ端から友情崩壊ゲームじゃねぇか!良いのかそれで!?
「これみんなでやってみたかったんだ~!シャカールやグルーヴさんはやってくれないだもん!」
「あの2人はゲームとは無縁の世界で生きていそうだものねぇ。頼み込めばやってくれそうではあるが。特にシャカール君」
「アハハ、まぁシャカールさんはファインさんが頼めばやってくれそうですよね」
「オルフェ相手によくやったなこのゲーム」
人数が人数なので2人一組でやることに。ファインさん・クリスエスさんチーム、タキオン・タルマエさんチーム、僕とジャーニー、師匠とコーチのチームだ。ヴィッパーは基本的に外野でわいわいする方針らしい。
「で、ケツデカ葦毛。オメェこのゲームどれくらいよ?」
「うん?最高難易度を片手間で遊ぶぐらいには熟知してるよ」
「ほうほう……ちなみにアタシはそれなりの腕前だって自負がある。他のメンツはまぁたかが知れてるだろ」
「つまりこの勝負……」
「「僕(アタシ)達の勝ち確!」」
ふっふ~ん!ファインさん達には悪いけど、僕達が蹂躙しますよ!グヘヘ、涙目になる姿が目に浮かびますねぇ!
「……なんか、アンカさん達良からぬこと考えてない?」
「変わらず無表情だけどね、アンカ君」
「じゃあ早速始めましょう!」
「──start」
「日本のゲーム……興味深いわね」
「操作方法ねぇ。やってりゃ慣れるだろ」
よっしゃあ!勝負だ!僕達の栄光のロードが今始まる!
──小一時間後。
「やったやったー!私達の勝ちだよクリス!」
「──おめでとう、ファイン。mission complete」
ファインさん達のチームが1位。
「まーこんなもんだろ」
「結構運が絡むのね。それでもいい方かしら?」
師匠達のチームが2位。
「……いっそ哀れですねあの2人」
「勝負は時の運とは良く言うが……あそこまで運の女神に見放されていると逆に可愛そうになってくるねぇ」
タキオン達のチームが3位。じゃあ僕達のチームは?
「「なんでだぁぁぁぁぁ!?」」
最下位だよこん畜生が!おかしいだろオイ!
「なんでさいころの出目があそこまで死んでるんだよ!?6なんて一度も出なかったぞ!?」
「しかもさいころ増やすカード手に入れるのに滅茶苦茶時間かかったし!しかも手に入れた側からスられるし!なんなんだよ!」
「挙句の果てにはゴールした次のターンには全額スられるおまけ付きだ!最早呪われてんだろ!システム弄られてんだろこれ!」
「大声出さないでみっともない。敗北を認めなさい」
「はー!愉悦です!勝ち確だと思っていたのに無様に敗北しているアンちゃん……愉悦です!」
「うるせぇ!」
クッソ!こうなったら次だ次!次は絶対に勝ってやる!手加減とかするもんか!ハメ技とか遠慮なく使ってやるよ!
「じゃあじゃあ~次はこっちで遊ぼう!」
うん?ファインさんが取り出したのは……ほほう、マ〇パですか。大したものですね。こちらも先程の桃〇に負けず劣らずの友情崩壊ゲーム……腕が鳴りますよ!
「チームはさっきのままで良いのかしら?特に最下位だった2名」
「良いですよ別に!次は勝ちますから!」
「そうだそうだ!足引っ張んじゃねぇぞケツデカ葦毛!」
「こっちの台詞だクソチビ!」
「……とのことらしいから、そのままで行きましょうか」
「大丈夫かなぁ?」
「本人達が良いと言っているんだ。彼女達の意見を尊重してあげようじゃあないかタルマエ君」
次こそは勝ってやるってんだよ!
そんなこんなのゲーム終了後。
「あら、ワタシ達が1位ね」
「なんだかんだツキに恵まれてたな」
「……さっきより酷くなってません?あの2人」
「いうなタルマエ君。これも時の運ってヤツさ」
「惜しかったねークリス」
「──3位。最下位じゃないだけ、マシ」
「「なんでだぁぁぁぁぁ!?」」
どぉぉぉぉしてなんだよぉぉぉぉ!?さっきより運が悪くなってるじゃねぇか!どうなってんだよマジで!後ヴィッパーは笑ってんじゃねぇよ!
「テメェケツデカ葦毛!テメェの不運のせいでまた最下位じゃねぇか!」
「うるせぇクソチビ!そっちの運が悪いんだろうが!」
「は~~~~あ!?バトルゲームで毎回運任せのゲームに負けてたのはどこのどいつだよ!?」
「ミニゲームで勝ったそばからマイナスマスに止まってコイン消費してたヤツに言われたくねーよ!」
「「グギギギギギギギッ……!」」
「醜い争いね」
「ゲームでマジになってんじゃねぇよみっともない」
「あれはマジになっているというか、あまりの不運で壊れてるというか……」
「みっともないことには変わりないねぇ」
「2人とも仲が良いね!ゲームパーティ企画して大正解!」
「──喧嘩するほど、仲が、良い」
畜生!この手のパーティゲームと相性が悪すぎる!次だ次!
そんなわけで、アルナイルのゲームパーティは続いていく。
続く。