今日も楽しく安価だ!   作:カニ漁船

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実家にご挨拶


安価ウマ娘とパスポート

 クソ野郎どものせいでトンデモローテで走らされることになりました!アンちゃんですよ!クソが!マジで覚えてろよアイツら!僕をなんだと思ってんだよ!

 

 

「でも頑張るしかないんだよなぁ……安価は絶対だしなぁ……」

 

 

 そんなことをぼやきながらトレーナー室に到着っと。ノックしてもしも~し。

 

 

「あぁ来たんだねアンカ」

 

 

「おはようですアンちゃん。今日も練習頑張るです」

 

 

「あぁ、おはようトレーナー君、ヴィッパー」

 

 

 今日は安価をお休みしてますからね。上半身を主に鍛えていくことになるかな?……これ以上下半身を強化したらまたお尻が大きくなってしまう。それだけは阻止しないと!というかなんで脚とか胸にいかずに全部尻にいくんだよ!おかしいだろ!?

 

 

「そうだアンカ。海外のレースを走るんだから、パスポートのことは考えてあるよね?」

 

 

「勿論考えてある。取得するために申請を……」

 

 

「あれ保護者の同意が必要だから。親御さんにもちゃんと話は通しておいてね」

 

 

「……」

 

 

「滅茶苦茶渋い表情するね……そんな嫌そうな君の表情初めて見たよ」

 

 

 だぁって!本当に嫌ですもん!あの両親に会うだなんて!絶対なんか言われるって!そして拒否されるのが目に見えてるよ!

 

 

「……トレーナー君が僕の保護者として」

 

 

「無茶言わないでよ血縁関係もないのに」

 

 

「……どうにかして、どうにかしてあの両親に会わずにパスポートを発行する手段はないだろうか?いっそ違法な手段に手を染めるのもありか?」

 

 

「ご両親に会うのがそんなに嫌!?というか、そんなパスポート通るわけないしさせるわけないでしょ!?」

 

 

 クソ……!どうあがいても会わなきゃいけないってことか。おのれぇ!

 

 

「諦めるですアンちゃん。大人しくご両親に会うです」

 

 

「嫌だなぁ……行きたくないなぁ……。どうせ断られるの目に見えてるしなぁ……」

 

 

「……なら、トレーナーさんが一緒に行くのはどうです?」

 

 

「え?」

 

 

 トレーナーさんが一緒に?なして?

 

 

「……あぁ!俺が説得を手伝えばいいのかな?」

 

 

「そう言うことです。アンちゃんの両親は基本的にアンちゃんの言うこと聞かないです。なので、トレーナーさんがアンちゃんのご両親を説得すればいいです。そうすれば、アンちゃんはご両親と話さずに済むです。加えてアンちゃんのトレーナーさんのことを紹介できるです。メリットしかないです」

 

 

「おぉ!驚くほど完璧な作戦だ!」

 

 

「そうかな……?俺の責任重大過ぎない?アンカの両親説得できる気がしないんだけど」

 

 

「出来なかったら、海外のレースに出走できなくなるだけです。そしたらアンちゃんの神託も達成できなくなるだけです」

 

 

 その方が嬉しいんだけど。あのクソローテ見せられたら。

 

 

「……まぁ、頑張ってみるよ。とりあえず週末にいこうか」

 

 

「分かったです。ヴィッパーの方で連絡入れておくです。任せておいてほしいです」

 

 

 というわけで週末。実家に帰ることになりました。……帰りたくねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして迎えた週末。不本意ながら、真に不本意ながら!僕の実家に帰ってきたわけだけど……。

 

 

「これは……凄いね」

 

 

「何してんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!あのクソ両親ンンンンン!?」

 

 

「アンちゃんの等身大パネルです。売られてないのできっと自作です」

 

 

 なんであの人達自分の娘の等身大パネルを自作して玄関に置いてあるんだよ!しかもご丁寧に傷まないように加工してあるし!

 

 

「とりあえず呼び鈴鳴らすです」

 

 

 ヴィッパーが呼び鈴を鳴らして、僕の母親の方が出た。

 

 

《はいは~い。どなたですか~?》

 

 

「ヴィッパーです。連絡を入れた通り来た……」

 

 

 ヴィッパーが言い切る前に、玄関の扉が勢いよく開いた。そして、母親が僕に勢いよく抱き着いてくる。

 

 

「きゃ~!久しぶり、アンちゃん!」

 

 

「……」

 

 

「レースは録画してあるのを見たわよ~!カッコ可愛くて私痺れちゃった!」

 

 

「……」

 

 

「もう!毎週帰ってきてって言ってるのに全然帰ってこないんだから!お母さん心配で心配で……!でもアンちゃん元気そうで良かったわ~!」

 

 

「アンカの表情がさっきから虚無なんだけど」

 

 

「まぁこれがアンちゃんが帰省したくない理由です」

 

 

 うん、これはまだ序の口なんだよトレーナーさん。これで驚いてたらこの先まだビックリするよ?

 

 

「……あら?あなたは?」

 

 

「申し遅れました。私、アンカデキメルゼさんのトレーナーを務めております……」

 

 

「あなたがトレーナーさん?……いっておきますけど、アンちゃんがあまりにも可愛いからって手を出さないでくださいね!」

 

 

「何言ってんだアンタ」

 

 

「あ、アハハ……」

 

 

 僕のトレーナーさんに向かって失礼極まりないこと言ってんじゃねーですよ!?トレーナーさんも苦笑いしてないでなんか言ってください!

 

 

「ま、冗談はともかく……」

 

 

 冗談?ぜってー本気だったでしょ?

 

 

「どうぞ上がっていってください。大したおもてなしもできませんが……」

 

 

「いえいえ、お構いなく」

 

 

 そうして僕達は家へと足を踏み入れて……絶句する。家の中を見て思わず僕は叫んだ。

 

 

「なんじゃこりゃあああああああぁぁぁぁぁ!?」

 

 

「凄いね、至る所にアンカのグッズがあるよ」

 

 

「前回よりもさらにグレードアップしてるです……お、アンちゃんの最新のぱかプチです」

 

 

「そうなの!おばさん頑張って取っちゃったわ~」

 

 

「僕の気持ち考えてよ!?こんなんだから帰りづらいんだよ!」

 

 

 自分のグッズが至る所にあるような家になんて帰りたくないよ!恥ずかしいじゃんか!

 

 

「でも……アンちゃんの可愛さをもっともっと広めないと……」

 

 

「じゃあせめて他の人に勧める時だけグッズを出してよ!玄関とかに出さないでよ!?なんなのさあの等身大パネル!?」

 

 

「凄いでしょう!あれお父さんの手作りなのよ!」

 

 

「あのクソ親父ィィィィィィィィ!」

 

 

「アンカが帰りたくない理由、何となく分かってきたよ」

 

 

「……まぁ、ここまでされたらヴィッパーも恥ずかしくて帰りづらいです」

 

 

 クソ、クソ!だから帰りたくなかったんだよ!

 もうできる限り周りを見ないようにして客間へと入る。そこにはすでにクソ親父が鎮座していた。

 

 

「……お前に娘はやらん!」

 

 

「何言ってんだクソジジィ」

 

 

「ひ、酷くないかアン!?お父さんアンのためを思って……」

 

 

「僕のためを思ってるなら今すぐ玄関に飾ってある等身大パネルを捨ててこいクソ親父」

 

 

「あ、アンカ。そんなにご両親を邪険に扱うものじゃないよ」

 

 

「トレーナー君は黙っておいてくれ。これは僕の沽券に関わる」

 

 

「あんまり長く話をするのもあれです。さっさと本題に入るです」

 

 

 座ることを促されて僕達は座る。トレーナー君と僕とヴィッパー、向かい合って僕の両親が座るような形だ。

 

 

「あ、アン!こっちに来なさい!」

 

 

「お断りだ」

 

 

「アンちゃんが冷たい……よよよ……」

 

 

「さっさと話しを進めるぞトレーナー君。いつまでたっても話が始まらんからな」

 

 

「アハハ……」

 

 

 苦笑いを浮かべた後、トレーナー君は1つ咳払いをして話を始める。

 

 

「実は今回ご両親にお願いがありまして……」

 

 

「あら?私たちに?」

 

 

「ふむ。聞かせてもらいましょう」

 

 

 へぇ。真面目な表情や受け答えもできるんですね。ちょっとは見直して……

 

 

「アンカさんの海外遠征の件で少し……」

 

 

「「嫌です」」

 

 

「か、海外だなんて……!可愛いアンちゃんが海外になんていったら、きっと誘拐されちゃうわ!」

 

 

「そうだそうだ!アンが傷物になったらどうしてくれる!?」

 

 

「それに、海外に行ったらアンちゃんに会えなくなるじゃないですか!?そんなの私……耐えられない!」

 

 

「うぅアン……!海外で羽目を外しすぎて遊び人になるなんて……!お父さん許さんぞ!」

 

 

 おい、ちょっとでも見直そうと思った僕の気持ちを返せ。大体なんだ遊び人って。アンタら僕のことなんだと思ってんだよ。

 

 

「悪い大人に騙されないように、ウマホの使用も制限しているのに……!」

 

 

「海外でもGPSって届くんだろうか……?」

 

 

「アンタら実の娘のウマホになんてもん仕込もうとしてんだよおい」

 

 

「お、落ち着いてアンカ」

 

 

 トレーナーさんに宥められるも、正直もう立ち去りたい。でも、トレーナーさんの表情は極めて真面目だ。何か策があるのだろうか?

 

 

「ご両親の心配する気持ちも分かります。可愛いお子さんが海外に行く……たとえ我々トレーナーがついていくにしても、やはり心配になりますよね?」

 

 

「おぉ……!分かってくれますか!」

 

 

「あなた、良いトレーナーさんですね!」

 

 

 チョロすぎんだろ。

 

 

「ですが、これはチャンスなんです」

 

 

「「「チャンス?」」」

 

 

 一体何の話です?

 

 

「これだけのアンカさんへの愛……並大抵のものではありません。それを他の人にも広げようとしているその姿勢……とても共感できます。私も、彼女の輝きを多くの人に知ってもらいたいですから」

 

 

「分かりますか!そうです!アンの輝きは、もっと知られるべきだ!」

 

 

「だからこそ!世界へと目を向けてもいいんじゃないでしょうか!」

 

 

「せ、世界に?」

 

 

「そう!時代はグローバルです。アンカさんの輝きを世界中に広げるためにも、彼女が海外遠征するのはとても良い選択だと私は思います!」

 

 

「アンの可愛さを……世界に?」

 

 

 何言ってんですかねトレーナーさん?

 

 

「彼女の輝きを……世界中に広めたくはありませんか?」

 

 

「う、う~ん……。でも、やっぱり海外は危ないし……」

 

 

「その点はご安心を。私もついていくのはもちろんのこと、スミニンヴィッパーさんもついていきます。加えて、私の方でアンカさんの様子を報告するというのはいかがでしょう?」

 

 

「し、しかし……。やはりアンに会えないというのは……」

 

 

「それも問題ありません。今の時代はネットでビデオ通話ができる時代ですから。海外でも問題なくできます」

 

 

「まぁ!本当ですか!?」

 

 

「えぇ。お望みとあらば、私の方でPCをセッティングをしておきましょう。毎日決まった時間に、アンカさんにビデオ通話することを約束させます。勿論、PCはビデオ通話以外では使わせないことも約束します。これで……いかがでしょうか?」

 

 

「「是非よろしくお願いします!」」

 

 

「本当ですか!ではパスポートの保護者同意のところに……」

 

 

「えぇ……」

 

 

「思ったより楽に決着です。つまんねーです。もっと修羅場ってほしいです」

 

 

 ……まぁ別にいいけどさ。でもネットの使用制限されるのかぁ。それはちょっと嫌だなぁって思った帰り道。

 

 

「ネットの使用を制限するのはビデオ通話に使用するPCだけだよ。俺はあくまでPC”は”ビデオ通話でしか使わせないって言っただけだからね。それ以外では別にネットを使っても問題ないから」

 

 

「……詐欺師でも向いてるんじゃないか?君」

 

 

「人聞きが悪いな!?」

 

 

 まぁいいや。これでパスポート問題はクリアですよひゃっほい!




ウマ娘の検疫ってどうなってんだろう……やっぱり現実と同じようにした方が良いのか?なんて考えてましたが考えるのめんどくさくなったのでこのまま突っ切ることにしました。
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