〈中央でデビューすることになったワイを安価で導くスレpart5〉
54:名無しのウマ娘 ID:vVuRrY85w
皐月賞安価まとめ
・戦法は追い込み
・1000mのロングスパート
・ピッチ走法縛り
・バク転、バク宙決めながら登場
《さぁ今年もこの日がやってまいりました。クラシック3冠レースの緒戦皐月賞。本日は生憎の雨模様、ですが熱気は例年よりも増しております中山レース場です》
《いやぁ、待ちに待ったって感じですよね》
《そうですねぇ。今回のレースで注目されているのは弥生賞を制した3番人気ナリタトップロードと弥生賞では惜しくも敗れましたが人気と期待は衰えず、2番人気のアドマイヤベガ。そしてなんといっても……!前代未聞の挑戦を掲げている1番人気アンカデキメルゼの3人でしょう!》
《アンカデキメルゼは先週行われた桜花賞を見事な脚で制しました。その剛脚はここでも響くか?疲労が気になるところです》
「アヤベさん」
「……トップロードさん」
入場するために地下バ道を通っていると、偶然トップロードさんに出会った。トップロードさんは笑みを浮かべている。でも、特に話すこともないからそのまま入場しようとすると「ハーッハッハッハッハ!」……この高笑い。アイツね。
「やぁやぁ!ようこそアヤベさん、トップロードさん!世紀末覇王伝説の第一のショーの舞台の幕開けに。歓迎するよ2人とも!」
「オペラオーちゃん!」
「……ハァ。相変わらず、あなたの自信はどこから来るのよオペラオー」
それがオペラオーのいいところなのは分かってるけど、少しは自重して欲しいものね。
「どうやらアンカ君はまだいないようだが……今回の皐月賞はボクが貰うよ!」
「……そう。私も、譲らないわ」
「私だって!この日のためにいっぱいいっぱい特訓しましたから!」
私達の言葉を受けても尚、オペラオーは尊大に言い放つ。
「クラシック3冠の冠はこのボク、テイエムオペラオーにこそふさわしい……そうは思わないかい?」
「思わないわね。勝つのは……私よ」
「いいえ!私が勝ちます!私を応援してくれる、みんなの期待に応えるためにも!」
「ハーッハッハッハッハ!それでこそボクのライバル達だ!」
オペラオーは踵を返して入場する。それに倣うように、私達も入場した。
入場した後は、それぞれウォーミングアップをする。レース中に怪我でもしたら、洒落にならない。だから入念にストレッチを行っている……そんな時だった。レース場を、大歓声が支配する。……そう、あの子が来たのね。
私は自分が入場してきた場所へと目を向ける。そこで私が目にしたのは……。
「よっ!ほっ!はっ!」
バク転とバク宙をしながら入場を決める、アンカさんの姿だった。……あの子、また神の啓示に従った行動をしているのね。いっそ尊敬すら覚えるわ。
《そして最後にド派手な登場を決めたのは8枠18番のアンカデキメルゼ!バク宙とバク転を決めながらのド派手な登場だぁぁぁぁぁぁ!》
《いやぁ鮮やかな入場ですね。果たして今日はどのようなレースを見せてくれるのか?》
ただ、バク転とバク宙を決めてもあの子の表情は仏頂面のまま。あの子も緊張しているのかもしれないわね。
(……ま、関係ないわね。私はあの子をマークして走る。あの子を自由に走らせたら……まず勝てないもの)
それは認めなければならない。あの子の実力は相当なもの。あの子を自由に走らたら……不味い。それを頭に入れておかなければならない。
入念なストレッチを終えて、私はゲートへと向かう。ゲートインの準備は着々と進んでいた。
《クラシック3冠レースの緒戦皐月賞。彼女達にとって一生に一度しか挑戦できない舞台です》
《さぁ各ウマ娘がゲートに入ります。続々とゲートインが完了して……今最後のウマ娘、1番人気アンカデキメルゼがゲートに入りました。しかし上位人気3人は非常に落ち着いていますね。好走が期待できそうです》
ゲートが開くその時を待つ。
(負けるわけにはいかない。あの子のためにも……私は勝利してみせる。例え誰が相手であっても)
《クラシック3冠レースの第一関門を突破するのはどのウマ娘か?それとも……史上初となる桜花賞からの皐月賞を制するのか?アンカデキメルゼ。まさに注目の一戦が今始まろうとしています!》
そしてゲートが開く。瞬間……私たちは駆け出した。
《スタートしました!各ウマ娘まずまずといった様子のスタート……いえ、大外18番のアンカデキメルゼがわずかに出遅れました。これはおそらく……》
《大外からの大捲り。追い込み戦法でしょう。彼女が最も得意とする展開です》
《さぁこの皐月賞は追い込みで走ることを決めたアンカデキメルゼ!後方控える形になる!それを受けてアドマイヤベガも外に進路を取ります。ナリタトップロードは好位置につけている中団やや後ろにつけています。そして今先頭アドマイヤラックが第1コーナーのカーブを走ります。先頭は3番のアドマイヤラックだ》
やっぱり、アンカさんは大外で走るみたいね。なら……私はそれに合わせるように走るわ。
(あなたの自由にはさせない!)
「……うわ、やっぱり来た。でもなぁ……アヤベさんだしなぁ……大丈夫大丈夫……いや、だいじょばない。どうしようどうしようどうすればいいんだろう?どうしたらいいかなぁ?内走る?でも内走ったら知らない子沢山いるしその方がもっと嫌だしアヤベさんと走る方がいいうんその方が良いアヤベさん友達だし気が楽だから大丈夫大丈夫……やっぱだいじょばない」
いやこの子結構ぼやくわね。集中力削がれそうだわ。それにしても……私1人だけだっていうのに挙動不審になっている。やっぱり他の子がいると途端に集中力が乱れるわねこの子。
第1コーナーを曲がって第2コーナーに入る。少しだけ展開が落ち着いてきた。展開としては私達は後方集団の3バ身程後ろ……最後方に位置している。
《先頭は第2コーナーの中ほどに来た。2番人気ナリタトップロードは後方集団につけている。先頭は3番アドマイヤラックトウカイダンディーが2番手に控えている3番手にマイネルシアター4番手は外からマイネルタンゴだ。どうでしょうか?この展開》
《アンカデキメルゼは最後方でアドマイヤベガの徹底マークを受けていますね。そのせいかアンカデキメルゼはどこか集中しきれていない様子》
《やはり最重要で警戒されているぞ1番人気アンカデキメルゼ。果たしてアドマイヤベガからの徹底マークを躱すことができるか?先頭集団は向こう正面へと入ります》
先頭は向こう正面。私達も少し遅れて向こう正面へと入る。考えることは……どうすれば勝利を掴むことができるか。その一点。
(あんまりアンカさんに集中しすぎて、私自身が負けることになるのはダメ。アンカさんをマークしたうえでどのように動けば勝てるか……仕掛けどころ、誤るわけにはいかないわ)
特にアンカさんにはあの加速がある。今回もどうやらピッチ走法で走っているみたいだし、桜花賞で見せたあの末脚が光るだろう。でも……末脚勝負なら私も負けない。
「そこそこ慣れてきたけどやっぱ辛いなぁピッチ走法。でもなぁ僕のやりたいことのためにも頑張るしかないんだよねぇ。それにピッチ走法も安価で決まったことだし……ま、頑張りまっしょい」
相変わらずアンカさんはぼやいている。このままマークをしておけば問題ないだろう。そんな考えは……突如として吹き飛んだ。
「そろそろ1000mか……なら、ここいらで仕掛けようか」
(ッ!?な、なに!?き、急にアンカさんの雰囲気が……ッ!)
突如としてアンカさんの雰囲気が一変した。集中し切れていない状態から脱却して……は、ないわね。うん。相変わらず挙動不審気味に忙しなく視線を動かしている。
でも……明確に違う点がある。それは、挙動不審になりながらも仕掛けを始めたということだ。アンカさんが……どんどん加速していくっ!?
「嘘でしょ!?まだ1000mを通過したばかりよ!?」
まさか、ロングスパートでも仕掛けるつもり!?でも、ピッチ走法じゃロングスパートには向かない!あの子の走りは……ピッチ走法のまま!
「ここで逃がすわけにはいかない……ッ!私もっ!」
私もアンカさんに倣うようにロングスパートを仕掛ける。虚を突かれたために2バ身程開いてしまったけど……関係ないわ!絶対に追いついてみせる!
さて、アヤベさんとアンカ君は最後方で走っている。ボクはアンカ君をマークしようと考えていたが……ボクの脚じゃあ最後方からの追い込みはすこーし厳しいからね。トップロードさんをマークする作戦に切り替えた。トップロードさんは好位置につけている。
「あなたの開けた進路をボクも使わせてもらうよ、トップロードさん」
さぁて。後は最後の直線に向けて脚を溜めるだけ……っ!?
(な、何だこの悪寒は……!?大外から、何かが来る!?)
ボクは思わず外へと目を向ける。そこにいたのは……とんでもないスピードで上がっていく、アンカ君とアヤベさんの姿だった。
「……は?」
《な、何と!?向こう正面で早々にアンカデキメルゼがスパートを仕掛けた!アンカデキメルゼがものすごい勢いで上がっていく!凄まじい脚の回転数だ負担が半端じゃないぞ!?果たして最後まで持つのかアンカデキメルゼ!?》
《追走するようにアドマイヤベガも上がっていってますが……!このままでは共倒れです!》
《ストライド走法ならいざ知らず!なんとアンカデキメルゼはピッチ走法で上がっていっている!ロングスパートをピッチ走法で駆け抜けるアンカデキメルゼ!一体どういう意図があるのか全く分からない!彼女は何を考えているのか!?第3コーナーをすでに回り終わって第4コーナーを駆け抜けている!アンカデキメルゼとアドマイヤベガはすでに先頭集団に食らいつきそうだぞ!?》
……いやいやいや!ちょっと待て!?まさかこんなとこで仕掛けるなんて思わないぞ!?だが、それでこそボクの最大のライバル、アンカ君だ!
周りのペースも上がってきている。それに合わせるように、ボクとトップロードさんも上がっていく。
「負けるわけにはいかない……!最後に勝って、高らかに凱歌を響かせるのはこのボク!テイエムオペラオーだ!」
ボクは勝つ!勝って、クラシック3冠の冠をこの手に掴んでみせる!
いくらアンカ君といえども、あんなペースをピッチ走法で飛ばして持つわけがない!最後に差し切ってみせる!
《さぁ最後の直線に入った!中山の直線は短いぞ!果たして勝利の栄光を掴むのはどのウマ娘か!?現在先頭は……アンカデキメルゼ!アンカデキメルゼだ!アンカデキメルゼが大外ぶん回して上がっていっている!しかしさすがにキツくなってきているのではないでしょうか!?》
《彼女が仕掛けたのは向こう正面を半分過ぎる前!推定1000mのロングスパートです!そんなスパートで、ましてやピッチ走法で持つわけありません!》
アンカ君は落ちてくる。そのはずだ。だが……彼女は一向に落ちてこない!?
「ど、どんなスタミナしてるのよあの子……!」
誰かのそんな呟きが聞こえてきた。ボクも必死に追走しているが……アンカ君との差は全くと言っていいほど縮まらない!
(お、おかしい……!どんなスタミナしてるんだ彼女は!?)
そのままの勢いで坂を上るアンカ君。もう追いつけないかもしれない……常人なら、そう思うかもしれないね!だが……!
「ボクは世紀末覇王テイエムオペラオー!諦めという言葉は……ボクの舞台にはない!」
アンカ君を追走する。ボクは現在2番手!アンカ君の後ろだ!
《さすがに持つわけがありません!アンカデキメルゼ2冠ならずか!?……え?え、え。え?ええええぇぇぇぇぇぇぇ!?お、落ちない落ちない!アンカデキメルゼは落ちてこない!アドマイヤベガはさすがにキツくなったのかズルズルと後退していっている!だが、だが……アンカデキメルゼは止まらない止まらない!》
《いやいやいや!?どういうスタミナしてるんですか彼女は!?》
《の、残り100mになってもアンカデキメルゼは止まらない!ピッチ走法で上がっていく!これはもう決まった!2番手との差は2バ身はついている!これはもうウイニングランだ!》
だが、ボクの追走は届かなかった。ボクはただ……アンカ君が1着でゴールするところを見ているだけだった。
《そして今アンカデキメルゼが1着でゴォォォォォォルイン!な、何と!?前代未聞のレースを見せてくれました!向こう正面中ほどからのロングスパート!しかもそのロングスパートをピッチ走法で行ったアンカデキメルゼ!脚への負担は半端じゃないが果たして大丈夫でしょうか!?い、いえ!それもそうですが……!アンカデキメルゼが皐月賞を勝利したことで!凄まじい大記録が1つ刻まれました!桜花賞から皐月賞を制した史上初のウマ娘の誕生です!アンカデキメルゼ2冠達成!》
《2着のテイエムオペラオーと3着のナリタトップロードも良い末脚だったんですけどね……。これはさすがに、相手が悪かったと言わざるを得ないでしょう》
……ハーッハッハッハッハ!まさか、こんな常識外れの戦法を取ってくるなんてね!相変わらず、君のやることは読めないよ!アンカ君!
「ハーッハッハッハッハ!おめでとうアンカ君!この覇王から祝福の言葉を贈ろうじゃないか!」
「カヒュー……カヒュー……ヴォエ……。は、吐きそう……」
「おっと。さすがに疲れているようだねアンカ君」
まぁ、これで疲れてなかったらそれはそれで問題だが。
「……あぁ。オペラオーか」
「改めて君に賛辞を!見事な走りだったよアンカ君!だが……次はこのボクが勝つ!そのことを覚えておきたまえ!」
「……ふん。次も勝つのは僕だ……クソが!なんだよ1000mのロングスパートって!しかもご丁寧にピッチ走法を指定してきやがって……!ドチャクソ疲れたわ!」
「それでは!日本ダービーでまた会おうアンカ君!ハーッハッハッハッハ!」
……次の日本ダービーこそは取る。そのためにも、ボクも精進しないといけないね!観客席へと目を向ける。そこには心配そうにボクを見るドトウの姿があった。
「お、オペラオーさぁん……」
……いけないね。彼女を心配させてしまっている。覇王として、それはいただけない!
「あぁ!そんなに悲しそうな表情をしないでくれドトウ!」
「お、オペラオーさん?」
「ボクならば心配ないさ!次こそは勝利を掴んでみせる!……だから、これからもボクと共に頑張ってくれるかい?」
「……ももも、勿論ですぅ!一緒に頑張りましょうオペラオーさぁん!」
さて、世紀末覇王伝説は仕切り直しだ!首を洗って待っていたまえよ、アンカ君!
アンちゃん2冠達成