〈中央でデビューすることになったワイを安価で導くスレpart9〉
332:名無しのウマ娘 ID:vVuRrY85w
凱旋門賞安価まとめ
・戦法は追い込み
・パドックでジョジョ立ち(ポーズは自由)
・レース終了後にアクロバット
・1着指定
・最後の直線でごぼう抜き
333:名無しのウマ娘 ID:U6gjue5lC
何気に安価で1着指定されるのって初じゃね?
334:名無しのウマ娘 ID:D289XA7xR
1着指定とはまた珍しい。クラシック5冠は別として
335:名無しのウマ娘 ID:VFpSJ2DA+
果たしてセントレジャーの呪いは解けるのか?
336:名無しのウマ娘 ID:0SLJaA2YA
1着指定じゃなくてもなんか勝ててるからな…いや、何で勝ててるんだ?
凱旋門賞──ついにこの日がやってきた。ウマ娘にとって世界最高峰のレースの1つ。日本のウマ娘もこのレースに出走しているが……今まで優勝したことは一度もない。バ場の違いとか遠征の問題とか色々とあるけれど、勝てなかったというのは事実。ゆえに、この凱旋門賞を勝つことは、日本のウマ娘とトレーナーにとっての悲願と言ってもいいだろう。それほどまでに格式の高いレースに、俺の担当ウマ娘……アンカは挑戦しようとしている。
そんなアンカは……パドックで変なポーズを取っているけど。
「あれは……何のポーズかしら?3部?」
「あれは4部のキラー〇イーンのポーズです。アンちゃんあのスタンドが一番好きです」
「えぇ~?結構エグくありませんでした?キラークイ〇ンの能力」
「その辺は個人の趣味嗜好だからねぇ。我々が介入できる問題じゃないさ」
まぁいつも通りということでみんなも気にしていない。……なんだろう、これでいいのだろうかという気持ちといつものことだから別にいいかという気持ちがせめぎ合っている。まぁこれで良いかもしれない。変に緊張するよりはよっぽど。
凱旋門賞が行われるレース場、パリロンシャンレース場は超満員状態だった。毎年凄い豪華なメンバーが揃っているけれど、その中でも特に目を惹くのは……やっぱりアンカだろう。
「『聞いたか?日本のウマ娘がニジンスキーの呪いを解いてやるって宣言したらしいぞ!』」
「『聞いた聞いた!しかもそれ、ビッグ・レッドの弟子って話じゃねぇか!こりゃもしかするかもしれねぇな!』」
「『でも……あのニジンスキーですらダメだったんでしょ?じゃあ厳しくないかしら?』」
「『果たして歴史を塗り替える勇者となるか、呪いの前に沈む道化となるか……どっちに転んでも面白いな!』」
まぁこんな感じで。アンカ目当ての人が凄く多い。このレースでも1番人気だ。
「そういえば、今日のレースのバ場はどうなのかしら?前の日は大雨だったけど」
「前情報では不良バ場だね。それもかなりの」
「アンカさんの他にも、エルコンドルパサーさんが出走するんですよね?」
「そうだね。後はキングジョージでも一緒に走ったデイラミとか、新進気鋭のモンジューとか……強いウマ娘はたくさんいるよ」
レース場に向かいながら他愛もない話をする。なんとか見やすい位置を確保して、待っていると……。
「『いや、すまねぇな!連れと合流してたら遅くなった!』」
セクレタリアトさんが来た。連れって誰のこと……って!?
「『に、ニジンスキーさん!?』」
「『久しぶりね。クレイジーラビットのトレーナーさん』」
「『なんだかんだ結局気になってくるんだな!まぁそれも当然か!なんてったって、今日は俺の弟子が呪いを打ち破る日だからな!』」
セクレタリアトさんの言葉にニジンスキーさんは溜息を吐く。まぁ、毎回こんな調子なのかもしれない。
「『あなたがしつこくレースを見に来いというからでしょう?……まぁ、興味があったのは本当のことだけど』」
「『期待しないんじゃなかったのか?』」
「『……今でも期待はしてないわ。ただ、呪いは呪いのままで終わる様を見に来ただけ』」
ニジンスキーさんはセクレタリアトさんから目を逸らす。
「『HAHAHA!素直じゃねぇな!ま、いいけどな』」
「『……なんというか、あなた方の周りはいつも豪華ですね。ニジンスキー様までいらっしゃるとは』」
言いながら現れたのは、デイラミの妹、ダラカニだ。目を見開いて驚いている。ニジンスキーさんに驚いているのだろう。
「『アハハ……アンカの縁、ってやつかな?』」
苦笑いしながらそう答えるしかない。ダラカニもここで見るつもりなのか、近くに居座った。ただ、ニジンスキーさんに委縮してるみたいだけど。
《パドックを後にしたウマ娘達が続々と入場してきています!世界最高峰、最強を決める戦い凱旋門賞!今年も例年に洩れず世界から選ばれた精鋭達がここフランス、パリロンシャンレース場に集いました!バ場の状態は tres lourd*1!この2400m、タフなレースになることは間違いないでしょう!果たしてどのウマ娘が凱旋門の栄光を手にすることができるのか?今入場してきたのは……》
馬場の状態は過去最悪レベルの不良バ場らしい。けど……アンカなら問題ない。後はまぁ……
「絶対に悲鳴が上がるんだろうなぁ……」
「え?どうしてですか?」
「いや、なんでもないよカレンチャン……」
アンカが取ろうとしている作戦のせいなんて口が裂けても言えない。いや、問題はないし勝てるとは思ってる。だけど……この大一番でそれやるかな?普通。
アンカの枠番は丁度真ん中……つまるところ、アンカにとっては超絶不利な状況というわけだ。でも、勝てる自信はある。応援の言葉もちゃんと送ったし、やり残したことはない。後は、アンカが全力を出せるようにこの応援席で精一杯応援するだけだ。
《続いて入場してきたのはエルコンドルパサー!日本からのチャレンジャーの1人、サンクルー大賞を制してこの凱旋門賞の舞台にやってきました!果たして日本の怪鳥はこの凱旋門賞でその翼を広げることができるか!?本レース3番人気です!そして次に入場してきたのは本レースの2番人気モンジュー!7戦6勝、2着1回という好成績!フランス最強と名高いモンジューが姿を現しました!そしてそして!さらにはアイリッシュチャンピオンステークスの覇者デイラミ!欧州最強デイラミが入場してきた!アイリッシュチャンピオンステークスで圧巻の11バ身差勝ちを収めたデイラミの入場!会場は盛り上がっているぞ!》
パリロンシャンレース場に歓声が湧き上がる。このレースでも特に注目を集めている3人が一気に入場してきた。会場のボルテージは上がり続けている。そして、モンジューとデイラミが向かい合っていた。
「『こうして会うのは初めてかな?モンジュー』」
「『あなたのお噂はかねがね、欧州最強……デイラミさん』」
デイラミはまじまじとモンジューを見つめて……笑みを浮かべた。
「『……成程!君もまた美しいな!髪を長くした鹿毛の髪も、その立ち居振る舞いも、全てが美しい!そして何より……瞳の奥底にある、この私を、欧州最強の座を虎視眈々と狙っているその姿勢!フランス最強は伊達ではないようだ』」
「『お褒めいただきありがとうございます。そのお礼は……レースの結果を持って証明しましょう』」
お互いににらみ合う。先に視線を外したのは……デイラミの方だった。
「『君の先輩として、このレースで1つアドバイスをしてあげよう』」
デイラミはモンジューの肩を叩き、こう告げる。
「『クレイジーラビットに気を付けろ……この凱旋門賞で勝つなら、この言葉を覚えておきたまえ』」
「『……どういう』」
意味か。そう聞こうとモンジューは振り返るが、デイラミは手をひらひらとさせて去っていく。その姿を見てモンジューは嘆息する。そして、自分をじっと見つめている視線に気づいた。その視線を辿ると……エルコンドルパサーがモンジューを見つめていた。
モンジューはフッと笑い、エルコンドルパサーにゆっくりと近づく。
「初めまして、エルコンドルパサー。あなたの噂と活躍も聞いている。長期遠征をしてまで、このレースに勝ちに来ているということを」
そしてモンジューは、エルコンドルパサーに宣戦布告をする。
「日本のウマ娘の実力を、是非とも見させていただきたい。きっと、素晴らしいレースになるだろう」
「……言われなくても!たっぷりとお見せします!」
その宣戦布告に、エルコンドルパサーも自信に満ちた瞳で答えた。モンジューは笑みを浮かべ……
「『お互いに、良いレースを』」
フランス語で、そう答えた。
モンジューが踵を返し、自分も準備をしよう……そう考えた、その時だった。
「「「ワァァァァァァァァァァァァァ!」」」
パリロンシャンレース場を、今日一番の歓声が支配する。そちらに視線を向けると、彼女が現れた。
「クレイジーラビット……Anka De Kimeruze……」
銀色の長髪をポニーテールにした葦毛のウマ娘が、パリロンシャンレース場に姿を見せた。
《この凱旋門賞1番人気!アンカデキメルゼがパリロンシャンレース場に姿を現しました!エクリプスステークス、キングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス、そしてセントレジャーステークスを制した無敗のウマ娘が姿を現した!直前のインタビューではニジンスキーの呪いなんてない、自分が制してその呪いを祓ってやると堂々と宣言した彼女!果たして今回はどのようなレースを見せてくれるのか!?非常に楽しみなウマ娘です!》
セントレジャーステークスから凱旋門賞の同一年制覇は不可能……そんなジンクスを塗り替えると宣言した彼女。モンジューは彼女をじっと見つめる。
(小柄な身体だが……下半身がしっかりとしている。見た目に騙されては痛い目を見るだろう。勝ってきたレースにも一通り目を通したが……かなり過酷なローテを積んできたようだ。それに、あのデイラミさんとの対決も制している。最優先で警戒に当たる必要があるだろう)
モンジューに見つめられるアンカデキメルゼ。彼女の胸中は……
(なになになに!?なんか知らんウマ娘にめっちゃ見られてんだけど!?あ、あれトレーナーさんが言ってた新進気鋭のモンジュー……って子だっけ?ちょっとちょっと!僕何かした覚えないんだけど!?なんか知らない間にやらかした!?やだやだー!僕なんもしてないよ!僕美味しくないよ!というか他の子からもめっちゃ注目されてるじゃん僕!やだー!)
初対面のウマ娘にジッと見られている上に、周りからも凄い注目を集めているということでかなり焦っていた。というか、不安が渦巻いていた。その場から逃げ出したいくらいには。無論、彼女の表情は一切変わっていないので周りのウマ娘達はアンカデキメルゼがそんなことを思っているとは露も知らないのだが。
そんなアンカデキメルゼに、デイラミが近づいて……彼女に傅く。
「『あぁ、久しぶりだねアンカ!相変わらず、そのシルクのような銀色の長い髪も美しい……ッ!あまり見つめすぎると、私の双眸が焼かれてしまいそうだ!』」
アンカデキメルゼは相変わらず無表情でいる。だが、デイラミはそんなことお構いなしに言葉を続けた。
「『どんな宝石よりも輝いて見えるその翡翠の瞳も、まるでお伽噺の世界に迷い込んでしまったと錯覚してしまうほどの可憐さも!前会った時以上に美しく感じるよ!』」
「はぁ……」
「『それゆえに、このようなバ場となってしまったのがとても残念だ……。生憎と、私の本領を発揮できそうにない』」
「『……まぁ、よろしくお願いします?』」
観客席ではスミニンヴィッパーがぎゃあぎゃあ騒いでいたが隣にいるアドマイヤベガとカレンチャンに押さえつけらえていた。それから一言二言交わして2人は別れる。
《各ウマ娘がウォーミングアップを済ませて続々とゲートに入っていきます。世界から集まってきた実力者達がこのパリロンシャンレース場で発走の瞬間を今か今かと待ちわびています。3番人気はエルコンドルパサー!サンクルー大賞で羽ばたいたその翼をこの凱旋門賞でも広げることができるか?2番人気はモンジュー!フランス最強、欧州の新進気鋭のウマ娘!ジョッケクルブ賞とアイリッシュダービー、そして凱旋門賞の前哨戦ニエル賞でその強さをいかんなく発揮しました。凱旋門賞でもその強さを見せつけるか!そして1番人気はこちらも日本から来たウマ娘アンカデキメルゼ!ここまで無敗、日本のクラシック4冠を手中に収め、エクリプスステークスとキングジョージ、そしてセントレジャーステークスを制しました!イギリスのファンには苦い思い出がよみがえるでしょう、ニジンスキーの呪い!その呪いを乗り越えて、見事凱旋門賞を制することができるか!?注目の一戦が間もなく始まろうとしています!》
15人のウマ娘が全員ゲートに収まる。パリロンシャンレース場が静寂に包まれて──ゲートの音が鳴り響いた、と同時。
「きゃああああああああああ!?」
「『おいおい、嘘だろ!?』」
「『そんなのってありかよ……!』」
「『これも、セントレジャーの呪いだっていうの……!?』」
観客席からは悲鳴が上がる。実況も、驚きを隠せないようだった。それでも、必死に現在の状況を報せようとする。
《ゲートが開いてウマ娘達が一斉にスタートしました!まず先頭を取ったのはアンカ……いや!エルコンドルパサー!エルコンドルパサーだ!日本のエルコンドルパサーが好スタートから一気に上がっていた!果敢に飛ばして先頭を取る!しかしアンカデキメルゼはどこに……ッ!?な、なんとアンカデキメルゼは最後方にいる!?
今まで数々のレースで好スタートを決めてきたアンカデキメルゼは……この大舞台で出遅れた。
全日本ジュニア優駿・皐月賞「お、そうだな」