今日も楽しく安価だ!   作:カニ漁船

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史実よりヤベーイ!ことになったジャパンカップ。そして前回のエリザベス女王杯の安価です。


・戦法は先行
・レース前にゼログラビティ披露
・レース後にジャズダンス
・スパートは最後の直線


ジャパンカップのメンバー

 ──ジャパンカップ。日本の国際招待レースの中では最も有名なレースであり、世界に通用する強いウマ娘づくりをモットーに創設された。そのジャパンカップが、近づいてきている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エリザベス女王杯が終わって、日が経った。空港は、多くの報道関係者で賑わっていた。

 

 

「どっひゃ~!こら、どえらい人やな!ま、それも当たり前っちゅう話やけど」

 

 

「そうなんすか?藤井先輩」

 

 

 テンションの低い後輩記者とは違い、藤井と呼ばれた記者のテンションは上がりっぱなしだ。まだジャパンカップに出走するウマ娘は姿を見せていない、というのにだ。

 

 

「そらそうやろ!なんてったって……今回のジャパンカップは魑魅魍魎!まさしく世界でも最強クラスのウマ娘達が集まってきとるんやからな!」

 

 

「……それ毎年言ってません?」

 

 

「そん中でも!今年は特に別格ってことや!……いや、それは他のウマ娘に失礼やな。訂正しとく」

 

 

「で、今年はどんなウマ娘が集まってきたんです?」

 

 

「よくぞ聞いてくれた!そうやな……」

 

 

 藤井は紙を広げながら楽しそうに紹介していく。後輩記者はいつものことなので慣れていた。

 

 

「まずはなんといってもデイラミ!良バ場の鬼、BCターフとアイリッシュチャンピオンステークスの覇者がジャパンカップに堂々参戦や!BCターフではサイレンススズカの大逃げを捉えてまさしく欧州最強の走りを見せおったからな!海外勢ではダントツの1番人気や!」

 

 

「あ、良くも悪くも有名な人」

 

 

「次いではモンジュー!フランス最強はいまだ健在!ジョッケクルブ賞とアイリッシュダービーの2つのダービーを制した若武者!凱旋門賞は2着やったけどそれでも強いレースをしとった!日本のエルコンドルパサーも負けおったからな、普通やったら勝っとるレースやった!」

 

 

 藤井は続々と紹介していく。

 

 

「さらには香港の英雄インディジェナス!まさしく古豪っちゅう言葉が似あうウマ娘やな。前走が前走だけに低評価やけど、なめとったら痛い目見るで!」

 

 

「へぇ~」

 

 

「有名どころやったらここも抑えておきたいところや!イギリスのチャンピオンステークス覇者アルボラーダ!今年負けたとあるウマ娘に雪辱を果たすために気合十分ってとこやな!この子は気合入っとるで~!」

 

 

「気合入りすぎて怪我しなきゃいいですけどね」

 

 

「さらにはイギリスダービーウマ娘とかドイツのダービー、バーテン大賞覇者とか他にもおるんやけど……次は迎え撃つ日本勢の紹介と行こか」

 

 

 藤井は饒舌に紹介していく。

 

 

「なんといっても天皇賞・秋で復活を遂げた日本総大将スペシャルウィーク!日本の代表として、海外勢を迎え撃つで~!」

 

 

「なんというか、応援したくなるような子ですよね」

 

 

「続いては黄金世代からこの子も参戦、エルコンドルパサー!前回のジャパンカップの覇者、世界に羽ばたいた怪鳥が今年もジャパンカップに出走や!凱旋門賞3着は伊達やないってことや!」

 

 

「凄いテンション高いじゃないですか。いっそうざいです」

 

 

「辛辣過ぎひん!?……まぁええわ。お次はアーリントンミリオンを制しBCターフはデイラミの2着、その大逃げはみんなの記憶に焼き付いとる!サイレンススズカや!今回もきっと、逃げに逃げてくれるはずやで~!楽しみやな!」

 

 

「あぁ……なんか凄い逃げてる子だ」

 

 

「後はシルバーコレクター、ステイゴールドに菊花賞でステイヤーとしての片鱗を見せつつあるラスカルスズカ!日本も日本でかなり豪華なメンバーが揃っとるで~!今年のジャパンカップはホンマに豪華や!」

 

 

 そんな時、後輩記者の頭にあることがよぎった。日本勢の中で、紹介されてしかるべきウマ娘がいないんじゃないか?そう思ったのだ。

 

 

「あれ?藤井先輩、日本勢の中にかなり有名な子いませんでしたっけ?ホラ、この前エリザベス女王杯を勝った……」

 

 

「遊佐ちゃん、誰のこと言いたいんかよう分かるで」

 

 

 藤井はうんうん頷いている。若干うざいと感じながらも後輩記者は疑問をぶつけた。

 

 

「じゃあなんで紹介しないんです?彼女強いじゃないですか……いや、あれ強いで済ませていいのか分からないんですけど」

 

 

「その答えは簡単や」

 

 

 藤井は淡々と告げる。

 

 

「海外からきたほとんどのウマ娘は、彼女に勝つためにやってきたっちゅうウマ娘が多いねん。それこそデイラミなんかがええ例やな。多分、アンカデキメルゼがおらんかったら出走してないと思うで」

 

 

「まぁ……そうですね。モンジューなんかもそう言ってたらしいですし」

 

 

「やからな、今回のジャパンカップの図式は……海外VS日本やない。海外VS日本VSアンカデキメルゼやねん。最早あれ単独なんや……そんぐらい、アンカデキメルゼっちゅうウマ娘がバケモンってことやけどな」

 

 

「はぁ~……」

 

 

 藤井の言葉に後輩記者は気の抜けたような返事をする。

 その時、記者の一団がざわめいた。空港を喧騒が支配する。どうやら……お目当てのウマ娘がやってきたようだ。

 

 

「来た来た来た!さぁ、ボチボチ取材の準備するで!」

 

 

「そういや今回誰が来たんです?デイラミですか?モンジューですか?」

 

 

「それ知らんでついて来とったの!?」

 

 

 藤井は愕然とするが特に気にすることなく報道陣と同じ方向へと視線を向ける。その視線の先には……。

 

 

「『やぁやぁ!待たせてしまったかな?』」

 

 

 葦毛のショートカット、隣には妹である葦毛のロングヘアのウマ娘を携えて。欧州最強──デイラミが日本に到着した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日本に着いた私は、日本の報道陣からのインタビューを受けていた。ジャパンカップ出走の目的、調子はどうかとか、まぁ無難な質問をされていった。

 

 

「あ~……『ジャパンカップ出走の目的は?』」

 

 

 英語で投げかけられたその質問に、日本語で返す。

 

 

「決まっているだろう?我が愛しのプリンセス、アンカデキメルゼの輝きを!余すことなくこの目に焼き付けるために来たのさ!」

 

 

 私の言葉に報道陣はざわつく。もっとも……ざわついているのは。

 

 

「に、日本語……?」

 

 

「デイラミって、日本語話せたのか?」

 

 

「そんな話は一度も……」

 

 

 疑問符を浮かべている報道陣にウインクしながら、私は笑顔で答える。

 

 

「これでもたくさん勉強したからね。全てはそう!白銀の妖精……アンカに会うために!彼女の故郷であるこの国の言葉を勉強するのは当然のことさ!」

 

 

「『……姉上、ご自重なさってください。報道陣の方々が困惑しておられます』」

 

 

 おっと、ダラカニに窘められてしまった。この辺にしておくとしよう。

 

 

「後はそうだね……アンカデキメルゼ、彼女に負けて以降日本という国に興味が湧いたのさ。彼女の強さはまさしく圧倒的だった……そして、この地にはまだ見ぬ猛者がいるんじゃないだろうか?海外には出てこない、日本の猛者が」

 

 

 誰かがごくりと喉を鳴らす。私は……笑みを隠し切れずに続けた。

 

 

「そんな彼女達の輝きを、余すことなく堪能したい……そして!その輝きを越えて、私の強さを不動のものとする!BCターフを制しただけじゃ満足できない、アイリッシュチャンピオンステークスを勝ってもまだまだ満足しちゃいない!欧州最強で……私は満足していない!……そんなところかな?」

 

 

 最後にウインクを忘れずに。私はそう答える。報道陣からは……どうやらウケが良かったようだ。とても楽しそうに誰かに連絡しているのが分かるよ。

 

 

「早速記事をするぞ!明日の朝刊には絶対に間に合わせろ!夕刊は……間に合うか知らんが間に合わせろ!」

 

 

「まだまだ聞きてぇけど……さすがに時間がねぇな!クッソ~!惜しいぜ!」

 

 

「で、デイラミさん!まだ時間は……」

 

 

「すまないね、今日のところはホテルにいかせてもらうよ。この続きは、合同インタビューでじっくりと……ね?」

 

 

 まだ取材を続けたい。そんな報道陣を制するために私は静かにするように促す。報道陣が静かになったのを確認してから……私は歩き出す。

 

 

「『さぁ行こうダラカニ。早いところホテルに荷物を置いて……日本のトレセン学園に行くぞ!』」

 

 

「『ダメです姉上。今日はこの後予定が入っておりますので』」

 

 

「『……どうしてもダメか?』」

 

 

「『ダメです。せめて明日になさってください。明日は一日オフの予定ですので』」

 

 

「『……仕方があるまい。これもまた、神が与えたもうた試練なのだから!あぁ、アンカ……!君に会える日が待ち遠しいよ!』」

 

 

 ダラカニと会話をしながら用意された車に乗り込むために空港を出る。去り際。

 

 

「威圧感半端ねぇ……!流石は欧州最強!」

 

 

「歩いているだけでも様になるもんなぁ……!まさに葦毛の王子様!」

 

 

「ファンがメロメロになるのも分かるわ~」

 

 

 その言葉に気分を良くしながら、私は空港を後にした。

 車の中、ダラカニと確認をする。

 

 

「ダラカニ。今回のジャパンカップの出走メンバーは?」

 

 

「海外勢は省略します。日本では凱旋門賞でともに走ったエルコンドルパサーさん、BCターフで姉上の2着に入ったサイレンススズカさん、日本の天皇賞を制したスペシャルウィークさんなどが対抗に上げられています。他にも油断ならない相手はいるかと。そして……アンカデキメルゼさんも出走予定です」

 

 

 ダラカニの言葉に、思わず笑みがこぼれる。あぁ、ダメだね。出走するというのは分かっていても、どうしても楽しいという気持ちが抑えきれない!

 

 

「キングジョージでは負けてしまった……凱旋門賞は舞台にすら上がれなかった。でも!このジャパンカップでは!」

 

 

 手を大きく広げる!車内は広いからこれぐらい余裕だ。

 

 

「私の全力を!私の美学を!私の輝きを!君に見せてあげようアンカ!だから君も……最高の輝きを見せてくれ!」

 

 

「……姉上、後悔のないように」

 

 

「無論さ!全力でことにあたらせてもらう!」

 

 

 後はジャパンカップ当日が良バ場になるのを祈るだけだね!あ、大事なことを忘れていた!

 

 

「後は君とのデートの約束もあったなアンカ!それも楽しみだ!ひっっっっっじょーに楽しみだ!」

 

 

「左様ですか」

 

 

 ダラカニはいつものことだからとスルーしている。だが、興奮は抑えきれない!あぁ、早くオフの日にならないだろうか?楽しみ過ぎる!

 おっと、こちらに現を抜かしすぎて本番で凡走しないように気を付けないとね。それだけはゴメンだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本気……なんだな?」

 

 

 とある国。褐色の肌に、鹿毛のセミロングヘアのウマ娘と彼女のトレーナーと思しき男性が向かい合っている。

 ウマ娘は、決意の籠った表情で頷いた。

 

 

「余はいずれ時代を象徴するウマ娘になる……そう言ってくれたな?」

 

 

「……あぁ。今でも、その気持ちに変わりはない」

 

 

「なればこそ、余の威光を示す必要がある……それがたとえ、余に向いていない距離であったとしても」

 

 

 このウマ娘の適性距離はもって2000m。彼女が出走しようとしているジャパンカップは2400m。そして、一度走ったその2400mのレースで……彼女は大敗した経験がある。

 

 

「負けるつもりはない。だが、これほどの強者と相まみえる経験は……何ものにも代え難い。ゆえに、余は学ばせもらう……いずれ、時代を象徴するウマ娘となるために」

 

 

「……分かった。なら、出走手続きは済ませておこう。すぐに出発の準備だ」

 

 

「相分かった。頼りにしておるぞ、我が指導者よ」

 

 

 トレーナーは退出する。退出した後、ウマ娘は息を吐いた。

 

 

「デイラミ……モンジュー……それだけではない。日本でも有数のウマ娘達が出走する。そして、その中でも最上の輝きを放つウマ娘……アンカデキメルゼ。彼女とのレース経験は、間違いなく余の糧となる」

 

 

 拳を強く握り、決意を固めるように掲げる。

 

 

「学ばせてもらおう──いずれ、余が時代を象徴するウマ娘となるために」

 

 

 そう宣言したウマ娘──ドバイミレニアム。ジャパンカップ出走。




デイラミさん大興奮。そしてエルとスズカさんも出走するジャパンカップ。なんだこれは?魔境か?

どの短編が見たいか?

  • アンカのお試しトレーナー変更
  • トレーナーの仕事事情
  • コーチとサブトレの仕事事情
  • アンカとヴィッパーの日常
  • スズカ姉妹の関係
  • アンカの前世話
  • アンカとデイラミのデート回
  • アンカとゼニヤッタ回
  • アンカデキメルゼってどんなウマ娘?
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