今日も楽しく安価だ!   作:カニ漁船

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超豪華メンバーになったジャパンカップ。


ジャパンカップ開幕

〈中央でデビューすることになったワイを安価で導くスレpart10〉

 

891:名無しのウマ娘 ID:vVuRrY85w

ジャパンカップ安価まとめ

・戦法は差し

・大外からの追い上げ禁止

・バク転しながらレース場に登場

・レース後に恒例となった人差し指を天に掲げるポーズ

 

892:名無しのウマ娘 ID:0SLJaA2YA

今までで一番キツいねんな…

 

893:名無しのウマ娘 ID:ac4ZhXH+n

ま、今回も夢を見させてもらおうじゃねぇの

 

894:名無しのウマ娘 ID:ivVe4/3Hu

アンちゃんがんばえ~

 

895:名無しのウマ娘 ID:m9Vi4GzoO

>>891しかし、これでアンちゃん本当に大丈夫なんかね?負けたりしないだろうか?

 

896:名無しのウマ娘 ID:D289XA7xR

アンちゃんがんばえ~

 

897:名無しのウマ娘 ID:KxAfoYsYq

うーんこの安価。さすがに不可能だろ。お疲れ様でした

 

898:名無しのウマ娘 ID:ac4ZhXH+n

>>895アンちゃんスレ初心者か?力抜けよ

 

899:名無しのウマ娘 ID:VFpSJ2DA+

>>895ワイらは黙ってレースを見守っていればええねん。後は……アンちゃんが夢を見せてくれる

 

900:名無しのウマ娘 ID:GKQuU0oc0

逆境であればあるほど燃え上がる……そして、俺達に夢を見せてくれる。それが、アンカデキメルゼってウマ娘よ

 

901:名無しのウマ娘 ID:vVuRrY85w

アンちゃんは追い込まれれば追い込まれるほど強くなるからな

 

902:名無しのウマ娘 ID:G4ZpgE8HI

けどさすがに無理だろ。メンバー超豪華だし、不得意な戦法で特異な戦法を封じられてんだぞ?夢見れないだろ

 

903:名無しのウマ娘 ID:Rn5clkYM5

流石に今回は無理かな?

 

904:名無しのウマ娘 ID:rNj29DSz7

今までだってどんな無理難題もこなしてきたんだよなぁ

 

905:名無しのウマ娘 ID:U6gjue5lC

>>902黙ってジャパンカップみとけ。アンちゃんが……夢を見せてくれるからよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャパンカップ当日──。テレビや動画サイトなどを介して、世界中にレースの中継が行われている。動画サイトの同接数は100万をゆうに超え、東京レース場に詰めかけたファンの人数は、実に20万人を越える。アンカデキメルゼの日本ダービー以来となる20万人超えである。会場の中も外も、観客で溢れかえっていた。

 歴代最高クラスのドリームメンバー。後にも先にも、これほど豪華なメンバーは集まらないだろうとまで称されている。

 

 

「……さて、アンカ。キミはどういう風にファン(アタシ達)を楽しませてくれるのかな?」

 

 

「楽しそうね、シービーちゃん」

 

 

「そりゃあね、マルゼン。BCクラシックの走りを見たら、ますますファンになっちゃったよ」

 

 

「……同じチームの後輩も出走するんだから、そっちも応援なさい」

 

 

「ハイハーイ」

 

 

 観衆が見守る中、パドックでのパフォーマンスを終えたウマ娘達が入場してくる。

 

 

《20万人を超えるファンが詰め寄りました東京レース場!動画サイトの視聴者は100万人をゆうに超えていると発表がありました!世界中のレースファンが!この世紀の一戦をこの目で見届けようと!大注目しております!》

 

 

《それも仕方がないでしょう。なんてったって、歴代最高どころかこれから先も、これほど豪華なメンバーが揃うかも分からないようなメンバーが揃っていますからね!》

 

 

《天候は雲1つない快晴!東京レース場芝2400m!良バ場の発表!ウマ娘達が続々と入場してきています!果たして、この世紀の一戦を制するのはどのウマ娘か!?まだ入場が始まったばかりだというのに、出走の時が待ち遠しいです!》

 

 

 レースに出走するウマ娘が入場する度に、歓声が湧き起こる。その様子を見ながら、リギルの東条トレーナーは呟いた。

 

 

「さて……アンカデキメルゼはどんな走りを見せるのかしらね?」

 

 

「なんだ、おハナさんも気になってるじゃん」

 

 

 茶化すように言うシービーに東条トレーナーは溜息を吐く。

 

 

「当たり前でしょう。このレース、デイラミと並んで優勝最有力候補よ?逃げか追い込み……どっちで来るのかしら?ま、どっちで来ても問題ないように対策はしてあるけど」

 

 

「エルコンドルパサーも、海外遠征を経て強くなった。後は展開次第だろう」

 

 

 シンボリルドルフの言葉にシービーは思うところがあるのか思案する。

 

 

(う~ん、そんな簡単に行くかな?こういう時こそ、アンカは奇策をぶつけてくる……どっちにしても……)

 

 

「楽しみ、かな?」

 

 

「何がだ?シービー」

 

 

「ん~?レースがってこと」

 

 

 そう締めくくった。

 会場の別の場所では、海外からきたファンが一団となっていた。その中には、かつてBCクラシックでアンカデキメルゼと話したウマ娘、ゼニヤッタの姿もある。

 

 

「『競争率激高だったけど、無事に取れてよかった~!シルバーラビットさまー!頑張れー!』」

 

 

 そしてまた別の場所。アンカデキメルゼのトレーナーと、そのチームメンバーがいる。セクレタリアトとニジンスキーも同じ場所にいた。

 

 

「……さて、我が弟子は大丈夫なのかねぇ?」

 

 

「ただでさえ不利なのに、茨の道に進むのが好きね、本当」

 

 

「まぁそれがアンカ君だからねぇニジンスキーコーチ。それに、アンカ君の領域(ゾーン)が拝めるかもしれないよ?」

 

 

 アグネスタキオンの言葉に、ニジンスキーは僅かに胸を高鳴らせる。

 続々と入場してきているが、アンカデキメルゼはまだ入場してきていない。

 

 

「アンカさんはいつ入場してくるのかしら?」

 

 

「いつも最後の方に入場してくるから、気長に待とうか」

 

 

「みなさ~ん!ハスカップはいかがですか~?とっても美味しいですよ~!」

 

 

「商魂たくましいねタルマエ」

 

 

「──たくましい。私も、見習う必要があるだろう」

 

 

 デイラミ、ボルジア、スペシャルウィーク……世界でもトップレベルのウマ娘達が入場してくる。そして、そのウマ娘が入場してきた時──東京レース場はその日一番の盛り上がりを見せた。

 

 

「「「ウオオオオオォォォォォォォォォォォ!」」」

 

 

「フッ!ハッ!トウッ!」

 

 

 バク転しながら入場してきたウマ娘、アンカデキメルゼである。アンカデキメルゼは出走する全員の注目を集めていた。全員の視線がアンカデキメルゼに集中する。

 注目されているアンカデキメルゼは……涼しい表情をしていた。相変わらずの無表情である。

 

 

「すげぇな……あれだけの視線を受けてるってのに、涼しい顔してやがる」

 

 

「さすがは負けなしの絶対女王ってとこか」

 

 

 そんな声を聞いて、スミニンヴィッパーはトレーナーに耳打ちをする。

 

 

「実際のとこどう思うです?」

 

 

「う~ん……今すぐこの場から立ち去りたい、かな?」

 

 

「ま、どうせそんなこと思ってるです。アンちゃんビビりです。その辺な~んも成長してないです」

 

 

 スミニンヴィッパーは辛辣なことを言いながらゲートに入っていくウマ娘達を見る。順調に枠入りが進んでいた。

 

 

《各ウマ娘がゲートに入っていきます。それにしても今回のレースは先程も申し上げた通り、まさにドリームレース!欧州最強のデイラミを筆頭に、豪華なメンバーが揃っております!3番人気は7枠13番スペシャルウィーク!日本の総大将として海外勢を迎え撃ちます!頑張れスペシャルウィーク!2番人気は6枠11番デイラミ!BCターフで異次元の逃亡者に縄をかけた王者はいまだ健在!果たしてどのようなレースを見せてくれるのか!そして1番人気は勿論このウマ娘!5枠8番のアンカデキメルゼ!いまだ無敗の絶対女王!果たして今日はどのようなレースを見せてくれるのか!?》

 

 

 会場にいる人々が考えるのは……アンカデキメルゼはどんな戦法を取ってくるか?それが頭によぎった。

 

 

「さて……逃げだろうが追い込みだろうが、対策を積んできた。どう出てくる?アンカデキメルゼ!」

 

 

 スピカの沖野トレーナー。

 

 

「『クレイジーラビットの戦法は本当に読めない。逃げか?それとも追い込みか?どちらにせよ……勝たせてもらう』」

 

 

 海外のトレーナー達。

 

 

「アンカデキメルゼ……今日はどんなレースを見せてくれるんだ?」

 

 

「このメンバーだったら、逃げじゃね?サイレンススズカとの大逃げ対決見てみてーよ!」

 

 

「だったら追い込みも見てぇな。大外一気のごぼう抜き!凱旋門賞のアレは何度見ても痺れるぜ!」

 

 

 ファンも、アンカデキメルゼの動向に注目していた。

 最後のウマ娘がゲートに入った。先程まで騒がしかった東京レース場が静まり返る。一瞬の静寂の後──ゲートが開き、ウマ娘達が一斉に駆け出した。

 

 

《最後のウマ娘がゲートに入って……スタートしました!世界中から猛者達が集まってきたジャパンカップ!史上最高メンバーと名高いジャパンカップが幕を開けます!各ウマ娘綺麗なスタートを切りました!まずハナを切ったのは……やはりこのウマ娘だサイレンススズカ!1枠1番サイレンススズカと2枠2番のドバイミレニアムが内から飛ばしていく!サイレンススズカが快調に飛ばしていくぞ!ドバイミレニアムは、と無理に付き合わない様子。サイレンススズカの後ろに控えますドバイミレニアム!ここから熾烈な位置取り争いが繰り広げられます!果たしてそれぞれのベストポジションにつくことはできるでしょうか!?そしてアンカデキメルゼはどこで走るのか!》

 

 

 ジャパンカップが幕を開ける。まず先陣を切ったのは大逃げウマ娘サイレンススズカ。そのスピードは……かつてのBCターフよりも早い。次いでドバイミレニアムが上がっていく。ただドバイミレニアムはサイレンススズカの大逃げには付き合わない。彼女の後ろ……逃げの位置で走るようだ。

 ドバイミレニアムの位置で走るのは彼女だけではない。エルコンドルパサー、インディジェナスも走る。

 

 

《各ウマ娘が第1コーナーのカーブへ入ります。先頭で入ったのはやはりこのウマ娘かサイレンススズカ!大逃げウマ娘のサイレンススズカが快調に飛ばして走っている2番手ドバイミレニアムとの差は2から3バ身程ついています!しかし楽には逃げさせないぞと2番手ドバイミレニアムも飛ばしている!2400の距離では苦い思い出がよみがえる彼女、果たしてスタミナは持つのでしょうか?そしてドバイミレニアムを最内にその外エルコンドルパサー、そしてインディジェナスもこの位置。ドバイミレニアム、エルコンドルパサー、インディジェナスの3人が先行集団を形成しています》

 

 

《ここは大方の予想通りですね。さて、アンカデキメルゼは……っ!?》

 

 

《どうされましたか?ひとまず5番手の位置にスティンガー、6番手にオースミブライトが控える形。内にタイガーヒルとデイラミ、その外にステイゴールド。中団を形成しています。モンジューはどうやら後方に待機しています最後方の位置にモンジューがっとぉ!?アンカデキメルゼの姿は見えない最後方に控えていると思っていたがどうやら違ったようだ!ということは……!いましたいました!後方集団の真ん中にアンカデキメルゼの姿を確認しました!これは最悪の位置だアンカデキメルゼ!視線が忙しなく動いている!落ち着きがないぞ大丈夫か!?》

 

 

《真ん中の枠番というのが響きましたね。スタートもまずまずでしたし、最後方に控えることはできません!後ろはウメノファイバー、内にはラスカルスズカ外にはスペシャルウィークとボルジアが控えています!》

 

 

《これは囲まれてしまったアンカデキメルゼ!最後方にも移動できない様子!これは序盤から大波乱!しかし、しかし!もしかしたらこれも道化のトリックなのか!?相変わらず視線を忙しなく動かしているぞ!》

 

 

 レース場からは歓声に悲鳴が入り混じっている。

 

 

「うわ、マジかよ!あの位置ってヤバいじゃん!」

 

 

「全然レースに集中できてない!」

 

 

「真ん中の枠番ってのが響いたな~」

 

 

 観客は口々にそう呟く。だけど……ファンの胸にあるのは、少しの期待。もしかしたら、これもアンカデキメルゼの策なんじゃないだろうか?そんな一縷の望みがファンの間にはあった。

 アンカデキメルゼの師匠、セクレタリアトとサブトレーナーであるニジンスキーは嘆息する。落ち着いている、というよりは呆れている様子だが。

 

 

「……で?お前は我が弟子から事前にどう走るか知らされているんだろ?なんで止めなかったんだ?」

 

 

 セクレタリアトの疑問はもっともだ。アンカデキメルゼがウマ込みを激しく嫌っているということは周知の事実。事前にどう走るかを知らされているのに何故、トレーナーは止めなかったのか?そう問いかける。

 アンカデキメルゼのトレーナーは、涼しい表情で答えた。

 

 

「あの子ができるって言ったんだ。じゃあ、それを信じてあげるのがトレーナーじゃないかなって」

 

 

「……ふぅ、負けたら間違いなくあなたが非難されるわよ。良いの?」

 

 

「別にいいよ。だって」

 

 

 アンカデキメルゼのトレーナーは、確信に満ちた表情で答えた。

 

 

「アンカは負けないからね。あの子はみんなに夢を見せてあげられるウマ娘になるんだ。どんな苦境に立たされたって負けないよ」

 

 

「……HAHAHA!違いねぇ!さぁて、我が弟子よ……今度はどんなレースを俺達に見せてくれるんだ?」

 

 

 セクレタリアトは楽し気な笑みを浮かべながらレースを見守る。

 

 

「アンカもアンカだけど、あなたもあなたでイカれているわね」

 

 

「ひ、酷くないですか?」

 

 

 トレーナーは苦笑い気味に答える。ただ、ニジンスキーは微笑みながら告げた。

 

 

「褒めてるのよ。それじゃ、見させてもらおうかしら……ワタシの呪いを払った、あの子の走りを」

 

 

 第1コーナーを回って第2コーナーへと入る。ペースとしてはハイペース、ここからどういった展開を迎えるか?




相変わらず視線をチラチラ動かすアンちゃん。
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