Another Days-case of Shizuku-   作:瑠和

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こないだ彼方の近衛更新してそのときOVAに対して虹ヶ咲の輝きは、終わらねぇ!!って言ったけど本当に終わらないとは思わないじゃん。

終わりの始まりのつもりで見に行ったOVAが始まりの始まりだった。

そして、彼方さんのセブン限定フィギュアクレカ再発行したこと忘れてたから自動キャンセルになってた。バカス


第七話 かすみと、同好会と

「俺は…………桜坂しずくのことが……」

 

月明かりが照らすとある部屋の中、少女は走らせていた筆を止める。書いていたのは少女が考えた演劇の台本だ。

 

「……言ってくれるのかな、こんなこと」

 

少女は少しばかり悩んだ後、筆を再度走らせる。迷いを振り切るように。

 

「これは、私の始めた物語だから………」

 

 

 

◆◆◆◆

 

 

 

「瑠和さん、今日、瑠和さんのお宅にお泊りしてもいいですか?」

 

ある日、しずくは瑠和の家に泊まってもいいかを尋ねた。

 

「ああ、いいよ」

 

断る理由はない。瑠和にとってしずくは恩人だ。

 

瑠和はいつも通り許可をした。二人は璃奈を待ってそのまま家に向かおうとした。しかし、その道中で瑠和は忘れ物に気づく。

 

「あ、ごめん。忘れ物だ。璃奈、しずく、先帰っててくれ」

 

「うん」

 

瑠和は教室に戻り、忘れ物を鞄に入れて学校から帰ろうとする。まもなく校門にたどり着こうというとき、前を見覚えのある後ろ姿が見えた。

 

「かすみちゃん…?」

 

「…瑠和先輩」

 

 

 

―カフェ―

 

 

 

二人は、東京テレポート駅に隣接してるカフェにきた。

 

「で、話って?」

 

かすみは瑠和に話がしたいといってここに誘ったのだった。かすみは少し考えたあと、口を開く。

 

「この間、しず子がライブしてたの見ました」

 

「……来てたのか」

 

かすみはサングラスにマスクをしてしずくのライブを見に来ていた。しずくが言った言葉の意味を確かめに来ていたのだ。

 

「………あの曲、きっと瑠和先輩が書いたんですよね」

 

「ああ」

 

「………瑠和先輩は……どうしてしず子と一緒に?」

 

(せつ菜さんじゃなく、私のステージを………見てくれませんか?もうせつ菜先輩のために手伝う理由がないなら、私のために…………私を手伝ってくれませんか!?)

 

あの夜のしずくの言葉が瑠和の中に木霊する。だが、それを直接かすみに伝えるわけにもいかない。瑠和は適当に濁した。

 

「しずくが俺に協力してほしいって言ったから……それだけだよ」

 

実際その通りだ。

 

「じゃあ、かすみんが手伝ってほしいって言ったら、瑠和先輩は手伝ってくれますか?」

 

「え………」

 

 

 

―天王寺家―

 

 

 

「ただいま」

 

家にはすでにしずくと璃奈の二人が帰っていた。

 

「おかえり」

 

「おかえりなさい」

 

「………しずく、ちょっといいか?」

 

しずくと璃奈は一緒に居間でアニメを見ていた。瑠和はその情景に頬が緩む。しかし、少し申し訳なさそうにしずくに対して手招きをした。

 

しずくは首をかしげながら自らを指さし、瑠和と一緒に居間の外の廊下に出る。

 

瑠和は廊下で璃奈に聞こえないように今日かすみに話されたことを伝えた。

 

「そうですか、かすみさんがそんなことを……」

 

「ライブが成功して、つい忘れてたけど…………まだあの問題は終わってないんだよな………どうかな、しずく。またかすみちゃんたちを誘って…」

 

「………それも悪くないとは思いますけど、また同じことの繰り返しになりかねません。かすみさんにかすみさんのこだわりを捨ててもらうか、私たちがこだわりを捨てるか………その二択ですが、後者の場合………」

 

しずくは何も言わずに居間の方を見る。しずくの言わんとしてることはなんとなく理解できた。かすみの先導するスクールアイドル同好会に所属した場合、璃奈がついていけない可能性がある。

 

いや、ついていけないことはないだろうが璃奈の望むスクールアイドルになれないの可能性もゼロではない。

 

「………」

 

そうなれば、前者でなければならないことになるが、かすみを説得するのは至難の業のように思われる。しかし、やるしかなかった。

 

同じ同好会が二つ存在することはできない。かすみが自分で同好会を作ろうとすれば遅かれ早かれこの問題には出会うのだ。

 

 

 

―翌日―

 

 

 

翌日、瑠和はかすみを呼び出した。

 

理由はもちろんかすみを説得するためだ。果たしてそれが説得と呼べる代物なのか、瑠和には疑念が残っていたがやるしかなかった。

 

「瑠和先輩、それでどうですか?かすみんをサポートしてくれる気にはなりました?」

 

「それなんだけどさ………どうかな、しばらくはしずくをリーダーにして、部がそれなりに実力を得てから改めてかすみちゃんのやりたいことをやるっていうのは……」

 

我ながら勝手な意見だ。自分のわがままでかすみに我慢しろと言っているのだ。しかし、瑠和にも璃奈の幸せという譲れないものがある。

 

いまはこれでどうにかかすみに納得してもらえないかを頼み込む。

 

「別にかすみちゃんのやりたいことが悪いって言ってるわけじゃない。でも、また前の繰り返しになるのはかすみちゃんも望むところじゃないだろ?」

 

「それってかすみんに………しず子以外の全員にやりたいことを諦めろってことですか?」

 

やはり、いい反応ではない。瑠和に譲れないものがあるように、かすみにも譲れないものがあるのだ。しかしそれでも押し通すしかない。かすみに譲ったとて結果は同じだからだ。

 

「そうはいっていない。一時的にだ。いつか絶対かすみちゃんのやりたいステージができる日が…」

 

根拠も確証もない話だ。だが、せつ菜に戻る気はなさそうだったし、かすみさえどうにかできればこの先へつながる。

 

そう思い込んでいた。

 

「でも、だけど………かすみんがよくっても、いつかぜったい…だれかが思うはずです!あの日のかすみんと同じことを!」

 

「……」

 

その言葉を、かすみから聞くとは思ってなかった。眼から鱗が出る思いだった。

 

瑠和たちと離れた後、かすみはかすみなりにあの日のことで思っていたところがあったのだ。そして、あの日のせつ菜のやり方でも、かすみのやり方でも駄目であることに気づいていた。

 

だから、瑠和の意見は受け入れられなかった。それではまた同じことが起こることが分かっていたからだ。

 

「かすみんが手伝ってほしいのはそういうことじゃないんです!そうじゃない方法が欲しくて………だから、みんなのことちゃんと見ててくれてた瑠和先輩に……」

 

かすみの瞳に、涙がわずかに見えた。

 

 

 

―天王寺家―

 

 

 

気づくと瑠和は一人部屋でうずくまっていた。

 

かすみの瞳に涙が見えた後のことはよく覚えていない。

 

うずくまって落ち込んでいるのはかすみをうまく取り込めなかったことにではない。何とか今だけでもかすみをうまく丸め込もうとしたことに対する自己嫌悪だ。

 

あれだけ持論を押し付けておいて、そのことに後悔するなど、我ながら吐き気のする行為だった。

 

「俺は………」

 

瑠和に比べればまだ結論を出せてはいないが、以前の自分の悪い部分を受け入れ、新しい方法を模索しているかすみの方が大人だと言える。

 

そして何より、かすみは瑠和を頼ってくれた。それをまるで、あしらうように、面倒ごとのようにうまく丸め込もうとしたことに対する罪悪感もあった。

 

前向きだったかすみに比べて自分はどうだと自問自答を帰ってから何度も何度も繰り返していた。

 

「瑠和先輩?」

 

そこに、今日も泊まりに来たしずくが来た。靴はあるのに帰宅しても一切音沙汰のない瑠和を心配して部屋を訪れたのだ。

 

「しずく……」

 

しずくが現れたことで瑠和は顔を上げる。だが、しずくの顔を見た瞬間瑠和の眼から涙が零れ落ちた。

 

「あ………あぁ…」

 

今回の瑠和の行動は最終的にしずくとかすみの対立を作りかねないものだった。己の身勝手で、彼女の輝く舞台をまた台無しにするところだった。その罪悪感も同時に出てきたのだ。

 

「瑠和先輩!?どうしたんですか!?大丈夫ですか!?」

 

しずくがすぐに駆け寄り、肩を掴んだ。

 

「しずくっ!!」

 

瑠和はしずくに思いっきり抱き着いた。しずくに甘える資格なんてないことはわかっている。だが、そうせずにはいられなかった。

 

「俺は…………俺は……」

 

「…………大丈夫ですよ、瑠和先輩。私がついてます」

 

しずくは少しの間驚いた表情をしていたが、すぐに瑠和を抱き返す。

 

事情は何も聞かなかった。それが瑠和に必要なことだとしずくは自然と理解していた。

 

「大丈夫、大丈夫ですよ」

 

子供をあやすように、「大丈夫」「私がついています」と繰り返し伝えながら頭を撫でる。

 

「どんなにつらくても、瑠和先輩は一人じゃありません。私がいます。璃奈さんだっています。大丈夫ですよ」

 

その言葉に、涙があふれる。しずくの優しさと、己の情けなさに対する涙が。いまは事情がどうとかよりもただそのやさしさに甘えた。

 

それから、少ししてから璃奈が帰ってきた。

 

「ただいま………」

 

帰宅すると玄関に瑠和としずくの靴があるのを確認したが家の中から音がしない。居間にも誰もいないことを不思議に思った璃奈は瑠和の部屋に行く。

 

瑠和の部屋の扉を開けると、そこにはしずくの胸に抱かれて眠っている瑠和がいた。

 

「お兄……ちゃん?」

 

「璃奈さん…しーっですよ」

 

璃奈は静かに部屋に入り、瑠和の隣に座る。

 

「どうしたの?」

 

「泣き疲れちゃったみたい…………」

 

それだけ聞くと、璃奈は瑠和の頭を撫でた

 

「……お兄ちゃんが泣いてるところ、今まで見たことない」

 

「璃奈さんの前では、お兄ちゃんでいたかったんだろうね…」

 

「……」

 

 

 

―2時間後―

 

 

 

「ん…………」

 

時間が経ち、瑠和は自然と目を覚ました。

 

「おはようございます」

 

「………しずく」

 

少しして眠ってしまう前の記憶を思い出し、現状を理解する。瑠和はすぐにしずくから離れようとしたが、しずくは瑠和を抱きしめてそれを止めた。

 

「私は大丈夫ですから、しばらくそのままでいてください」

 

しずくの言葉に再び涙があふれそうになる。瑠和はその涙を隠すようにしずくの胸を借りた。

 

「………ごめん、情けない姿を見せた」

 

「瑠和先輩の可愛い姿を見れたから大丈夫です………それより、何があったんですか?」

 

瑠和は何があったかを話した。かすみの説得に失敗したこと、かすみの期待を裏切ってしまったこと。

 

「………………そうですか」

 

「ごめん……同好会を復活させようと…俺なりに頑張ったんだけど」

 

「いえ…………かすみさんをどうにかしないとって言ったのは私ですから私に責任があります」

 

「顔色が分かるのに、かすみちゃんの涙を見るまでかすみちゃんの気持ちに気づけなかった俺の責任だ」

 

少しだけ、沈黙が流れた。これからどうしようかという悩みの中で、最初に口を開いたのはしずくだった。

 

「…………………無理に、同好会にいる必要があるんでしょうか」

 

「……え?」

 

しずくの言葉に瑠和は驚いた。

 

「別に同好会にいなくても、スクールアイドルはやれます。ラブライブに出るなら話は別ですけど、そうでないなら………個人でやっても問題はありませんよね?」

 

確かに、スクールアイドルというのは部活でなければならない理由はない。大会に出るなら部としての申請は必要だが、個人でライブをやるのであれば無理に部に所属している理由はないのだ。

 

「別にいいじゃないですか。部活じゃなくたって。私と、瑠和先輩と、璃奈さんでやりましょう。璃奈さんはどうかわかりませんが、私は瑠和先輩にステージをみてもらいたいんですから」

 

「………」

 

「瑠和先輩は、いやですか?」

 

自分に、誰かを変える力はない。であれば、せめてしずくを支えることくらいはできるのではないかと思い、瑠和はぐっと強くしずくを抱きしめた。

 

「そう………だな。ずっと…俺たちだけで」

 

「……はい」

 

月明かりに照らされるしずくの顔は、笑顔だった。同好会が復活しなかったことに対する憂いなど感じさせないどころか、これ以上ないほどの笑顔だった。

 

「ずっと一緒にいましょうね?ずっと、ずっと」

 

 

続く

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