魔法科高校の改造人間《オーグメント》   作:ジョン・ニセシアンテ

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シン・仮面ライダーを見てきて衝動書きです。拙い小説ですがどうか応援してくれると嬉しいです。


追憶編
Gettin’ born in the state of California(カリフォルニア生まれの彼女)


 

 

もう3月だと言うのに、その日の大湊(おおみなと)では雪が降っていた。

 

「うぅ……ニホンの冬は意外と暖かいと聞いていたのですが」

「それは太平洋側だけですよ、リーナ」

 

ひときわ強い風が吹けば、陸奥湾を航行する巨大な空母、「ジョン・A・マクドナルド」の艦橋に、厚手のコートを着ているというのに震える少女─アンジェリーナ・クドウ・シールズ─の悲鳴が木霊する。

 

カナダ初代首相、ジョン・A・マクドナルドの名を冠するこの空母が率いるUSNA海軍第7空母打撃群は、先日まで青森とは真逆の気候のアフリカ大陸頭部にて展開されている「砂漠の自由」作戦に「スターズ(USNA魔法軍)」と共に参加していた。

 

そしていまは本国への帰路の途中に、補給と休息がてら同盟国・日本の海軍との共同基地に寄港しようとしているところだった。

 

「そ、そういえばシルヴィ!聞くところによると、オオミナトには美味しいご飯屋さんがたくさんあるそうです!」

 

震えるリーナは、寒さを紛らわせようと端末を操作して「食べたい店リスト」なる票を隣に立っていた副官、シルヴィアに見せた。

 

「…リーナ。もしかして、2日間の滞在で周るおつもりですか?」

「そのつもりですけど?」

「どう見ても10軒以上リストアップされているように見えますよ?」

「えぇ、そうだけど?」

 

”この量を2日で食べ切れるわけないだろう”という表情になったシルヴィアを横目に、リーナは久々の上陸にウキウキなご様子だった。

 

「戦略級魔法師」としてもう少し自覚と責任を感じて欲しいものだ、と小言を言おうとしたシルヴィアだったが、年相応にはしゃぐリーナの姿にハッとする。

 

(少佐もまだ、15歳ですもんね)

 

卓越した魔法技能の持ち主であるリーナだが、その年齢は15歳。幼い頃より国家安寧のため厳しい訓練を積んできたとは言え、おいしいご飯やオシャレにときめくのが普通の年齢である。

 

「ちょっとくらいならいいですけど、あんまりハメを外しすぎないでくださいね、リーナ」

 

たまには自由にさせてやるか、と言う気持ちでシルヴィアはリーナに軽く釘を刺す。

 

「分かってるわ、シルヴィ」

「分かってるなら大丈夫です」

「……いつもみたいにお小言言わないの?」

 

いつもなら「分かってないからいつも面倒なことになるんでしょう!」とか言ってリーナにくどくど言うような性格のシルヴィアが何にも言ってこないことに困惑した様子のリーナ。

 

「たまには、リーナも羽を伸ばしたいでしょう?」

 

そう言って微笑むシルヴィアに、感動したリーナが抱きつく。

 

「大好きよシルヴィ!!愛してる!」

「現金ですね、リーナ……」

 

姉妹のように2人がじゃれあっているうちに、船は大湊軍港に停泊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リーナ、ホントにこっちであってるんですか?」

「で、でも!地図はこっちを示してるのよ!?だから合ってるはずよ!」

 

艦橋での会話から数時間後、2人の姿は大湊の町を大分外れたところにあった。リーナが食べたいという中華料理屋に向かっていたはずだったが、どれだけ歩いても暖簾すら見えてこず、2人はどんどん奥の道へと入り込んでいた。

 

「その端末、壊れていたりしませんか?」

「そんなわけ…ないわよ、ね?」

「…はぁ、ちょっと見せてください」

 

リーナから端末を借りたシルヴィアは地図アプリを再起動し、目的の店名を入力する。が、出てきた座標は以前と変わらない。他の写真では街中にある感じの建物だったが、マップ上では更に山奥に位置が表示されていた。

 

「どうするシルヴィ?引き返す?」

「…せっかくここまで来ましたし、行くだけ行ってみましょう」

「そ、そうね!そうしま……」

 

すると突然、前方から物凄い勢いでトラックがカーブを曲がって来る。タイヤが地面と激しく擦れ、火花がチラチラと散り、トラックの荷台の一部はガードレールに激突し、ガードレールが歪んでいく。

 

トラックは、けたたましい音を立てながら2人の前で停車した。

 

「……事故、かしら」

「そうだとしたら、すぐにでも救助すべきですが…」

 

2人とも、良くない予感がしていた。

 

リーナたちが身動きを取れずにいると、トラックの荷台から「カマキリ」のような怪人と、黒い服の怪人が10名近く、降りてくる。

 

「いきなり失礼、私の名はカマキリオーグ。あなたを捕まえに来た、”ショッカー”のオーグメントです」

 

ピシッと整えられた真っ黒のスーツに身を包んだ怪人は、一礼した後自身をそう名乗った。カマキリオーグから発せられる只者ならぬ雰囲気を察知したリーナとシルヴィアは、それぞれのCADを構える。

 

「あまり警戒なさらないでください。出来るなら、私も穏便に済ませたい」

「済ませるって、何を?」

「私の名を名乗った時に、申し上げたはずですが」

 

もしかして、聞いていませんでした?とカマキリオーグは再度襟元を整えると両腕から「鎌」を出現させてから再度、2人に対して一礼する。

 

「私の名前ははカマキリオーグ。アンジェリーナ・クドウ・シールズ…いえ、アンジー・シリウス(・・・・ ・・・・)組織(SHOCKER)の命令で、貴方を捕まえに来ました」

 

その化け物としか言いようのない風貌に似つかず、礼儀正しく彼は自身の名を名乗った。

 

「ショッカー?知らない組織ね。日本の諜報機関かしら?」

 

リーナはその見た目と言うよりは、自身がアンジー・シリウス(・・・・・・・ ・・・・)だと知られていること(・・・・・・・・・・)に恐怖を覚えながらも、目の前の相手から情報を引き出そうと舌戦を仕掛ける。

 

「Sustainable Happiness Organization with Computational Knowledge Embedded Remodeling…ゆえに、ショッカー。深い絶望を覚えた人間を救済する、秘密結社です」

「”計量的な知能の埋め込み改造により持続可能な幸福を目指す組織”…胡散臭いカルト宗教みたいね」

「そこら辺のカルト宗教とは違い、我々は本当に人類を救うことの出来る存在ですよ。シルヴィア・ヴァン・シュテッティン」

 

カマキリオーグは自身の鎌を撫でながら、シルヴィアの本名をさらりと言い当てる。

 

「ッ……それにしても、いいのかしら。そう簡単に自分たちのことを話しても」

「もちろん、問題はありません。シリウスは生け捕り、あなたにはここで死んでもらいますから」

 

直後、カマキリオーグと彼を取り巻く戦闘員たちを炎が包む。

 

シルヴィアはすぐに、リーナが得意とする高難易度の発散・収束系魔法「ムスパルスヘイム」を発動したと気付く。カマキリオーグらが動くより早く強力な魔法で彼らの動きを封じ殲滅。

 

「……死んだわよね」

 

自分に言い聞かせるようにリーナが呟く。

 

「残念ながら、私はこの程度では死にません」

 

刹那、炎の中から現れたカマキリオーグの斬撃がリーナを掠める。シルヴィは即座にエア・ブリットを放ちカマキリオーグを吹き飛ばす。

 

「シルヴィ!ここから離脱しますよ!」

 

リーナとシルヴィは自己加速術式で一気に加速し、その場から離れていく。

 

「ふむ、シリウスの方はあらかじめ自己加速術式をかけていましたか。タイミングとしては、先程の問答の際か…」

 

起き上がったカマキリオーグは、リーナの技量を称賛した後、山道を降っていく2人の姿を視界に納めると──飛んだ。

 

「私はカマキリと人を掛け合わせて作られた人外合成型オーグメント!自己加速術式の加速程度、埋めるのに造作もない!」

 

2人の近くに追いついたカマキリオーグは、後ろを走っていたシルヴィアの両肩に鎌を突き刺す。

 

「はぐっっっ!?」

「ッシルヴィ!!」

 

両肩を貫かれたシルヴィアはそのまま側壁へと叩きつけられ、ズルリと落ちて地面を転がり、リーナのもとで止まった。

 

「シルヴィ!シルヴィ!」

「他人の心配をしている場合ですか?」

 

叫ぶリーナに1歩1歩詰め寄るカマキリオーグの言葉に、彼女は歯ぎしりしながらも後方に飛んで彼との距離を開ける。

 

「十五歳ながらこの状況で冷静な判断が下せるその思考…やはり、貴方はショッカーに相応しい人材だ。アンジー・シリウス」

「黙りなさい!」

 

再びリーナは「ムスパルスヘイム」を放つが、先程と同じようにカマキリオーグは炎を意に介さずにリーナとの距離を一気に詰め、リーナの足を蹴飛ばし彼女の体勢を崩した。

 

「いい加減あなたでは私に敵わないと気付いたでしょう。どうです?大人しく投降する気になりましたか?」

「そんなわけ……ないでしょう…!」

「嫌いじゃありませんよ、その反抗心。ですが組織に連れ帰ってもその様子だと色々困ることもあるでしょう…ここで少し、躾ておきましょうか?」

 

そう言ってカマキリオーグが鎌を振り上げると、遠くの方からバイクのエンジン音が聴こえてきた。

 

「…予定より時間がかかってしまったのは誤算ですね。躾けるにも人目があると面倒です。場所を変えましょう」

「髪…やめなさ…っ」

 

カマキリオーグはリーナの髪を掴み、道路下の森の中へと姿を消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、どうです?ショッカーに服従する気になりましたか?」

「はぁっ…はあっ…なるわけ、ないでしょう…アンタなんか倒して…基地に…」

「基地に逃げようと何処に逃げようと、この国からは簡単に逃がしませんよ」

 

開けているとは言え、道路下ということもあって人目につかない森の中で、リーナはカマキリオーグにいたぶられていた。片目は腫れており、服も幾ばくか切り裂かれ血が流れていた。

 

「しかし、ここまで痛めつけても屈しないとは…感心します」

 

頼みの綱のCADを奪われ、発信機や通信機も破壊されたかジャミングで使い物にならず。副官を殺され、自身も嬲られているというのに全く屈しないリーナの精神力に、カマキリオーグは心の底から感動していた。

 

 

「ダテや酔狂で…スターズの総隊長、やってな──」

「とてもいいですね、あなた。きっと優秀なオーグメントになれますよ」

 

カマキリオーグはリーナの腹を蹴って彼女の言葉を遮り、にこやかに彼女のこれからを想像する。

 

「躾を終えショッカーへと連れられたあなたは、優秀な生化学者たちによって昆虫と融合した人外合成型オーグメントとして生まれ変わり、自身の絶望を乗り越えるべく、そして組織の一員として私と同じように奉仕することになるだろう」

 

──それのなんと、素晴らしいことか。

 

「なにが絶望よ…ワタシは、絶望なんてしてないわ…!」

「ならばあなたは、学校にも通わず兵隊として鍛えられた己の半生に、絶望していないのですか?」

 

カマキリオーグの言葉に、リーナは即座に反論することが出来なかった。

 

「それは……」

 

───その時だった。

 

グシャッという、何かが潰れたような音と硬くて重いモノが落ちてきたような音が鳴り、リーナの顔を生暖かい液体が覆った。

 

「な、なに!?」

「……これはこれは」

 

混乱するリーナとは対象的に、カマキリオーグは冷静に、しかし目の前の「脅威」に対する生存本能を燃やしていた。

 

「久しぶりですね、裏切り者のバッタオーグ。組織に戻る気になったのですか?」

「……僕は組織に戻るつもりもないし、バッタオーグでもない」

「なら、自分を何者だと言うのですか?」

 

ようやく目を開けられたリーナの視界に飛び込んできたのは、頭の潰れた先程の戦闘員の死体に、カマキリオーグと彼に向かい合うのもう1人の怪人。

 

バッタを模したヘルメットに、濃紺の強化装甲服。そして首元には、赤いスカーフ。たしかに、カマキリオーグが言うように「バッタ」がモチーフという印象を受ける。

 

他にカマキリオーグと違う点と言えば、”ずっと震えている”点だろうか。そのせいなのか、どうしてもリーナにはもう1人のオーグがカマキリオーグと同類には思えなかった。

 

バッタオーグは、リーナを庇うように彼女の前に立つと、拳をギュッと握り締めてカマキリオーグに叫んだ。

 

「僕はライダー…仮面ライダーと名乗らせてもらう!」

 

と同時に纏っていたコートを投げ捨て、”仮面ライダー”がカマキリオーグに殴り掛かる。カマキリオーグは彼の拳を一旦、鎌で受け止めるものの勢いに負け鎌をへし折られ数メートル後ろに吹き飛ばされる。

 

「ガッ……」

 

呻き声をあげるカマキリオーグ。仮面ライダーは前に跳び、彼に対して追撃を加える。

 

拳。拳。拳。木に激突してふらつくカマキリオーグに足をひっかけて体勢を崩すと、馬乗りになって更に殴り続ける。

 

戦略級魔法師であるはずの自分でさえ手も足も出なかったオーグメントを、一方的に嬲り殺していく仮面ライダーの姿に恐怖しながら、リーナは仮面ライダーを見つめていた。

 

「…ハァッ…ハアッ!」

 

馬乗りで殴られ続けていたカマキリオーグだったが、流れの中で仮面ライダーに対して口から溶解液を吐き出す。仮面ライダーは避けきれず、右肩の装甲から火花が散る。

 

その隙を逃さず、カマキリオーグは仮面ライダーがよろけた方へと体重を傾けマウンティングに成功する。

 

「…どうなることかと思いましたが!やはり裏切り者には運が無い!」

「ぐっ…!」

 

今度は逆に、カマキリオーグが仮面ライダーに馬乗りになって彼を殴る。仮面ライダーもどうにか彼を押しのけようとするが、足を上手く絡められ抜け出せない。

 

その光景をただただ眺めていたリーナは、ハッとしたように辺りを見回す。そしてすぐに、彼女は自分のCADを見つけ、痛む体で這いずりながら、自身のCADに必死に手を伸ばす。

 

「ラ……ライダー!そのまま!」

 

どうにかCADを掴んだリーナは、カマキリオーグに向けて全力のエア・ブリットを放つ。仮面ライダーを殴ることに夢中になっていたカマキリオーグはリーナの声に寸前まで気付かず、モロに彼女のエア・ブリットを食らって宙を舞う。

 

「ありがとう!」

 

仮面ライダーはリーナにそう言うとグッと地面を蹴って飛び上がった。

 

カマキリオーグと同じ高度まで回転しながら飛び上がった仮面ライダーは、左足を突き出し、背中に風を受けながらカマキリオーグへと一直線に突っ込んでいき…やがて左足がカマキリオーグを捉え、2人は地面へと勢いそのままに突き刺さった。

 

地面から激しく土煙が舞い上がり、辺りの木が何本か突風の勢いで倒れていく。

 

しばらくして土煙が晴れた後、爆心地に立っていたのは仮面ライダーの方だった。

 

「私としたことが……よもや、ターゲットの存在を忘れていたとは!」

 

どこか誇らしげにそう悔しがったカマキリオーグは、その言葉を最後に全身が融解し溶けて無くなってしまった。

 

カマキリオーグが消えた場所でしばらく俯いた後、仮面ライダーはリーナの方へと歩いてきた。

 

「……立てるか」

「なんとか、ね」

 

仮面ライダーが差し出した手を掴んで、リーナはゆっくりと立ち上がる。リーナの服装をはじめて確認した彼は、手に持っていたリーナに自身のコートをソッとかけた。

 

「臭うかもしれないが、傷を野ざらしにするよりマシだと思う」

「そうね、ちょっと臭うけどありがとう」

 

お姫様抱っこの形でリーナごと道路に飛び上がった仮面ライダーは、目を見開いたまま死んでしまっていたシルヴィアのもとへ近寄ると、彼女の目をソッと閉じて黙祷を捧げた。

 

「丁寧に、ありがとう」

 

見ず知らずのシルヴィアに対して、ここまで誠意を尽くす仮面ライダーに、リーナから心からの感謝の言葉を伝える。

 

「…彼女のことは、申し訳なく思ってる。僕がもっと早く駆けつけていれば、こんなことには」

「いいのよ。とても悲しいけれど…私もシルヴィも軍人である以上、こういうことは覚悟してるわ」

「その年で、軍人なのか?」

 

マスク越しだが、驚いているのがリーナにも分かった。あんなに人間離れした力を発揮していながら、意外にも人間臭いというか、子供っぽい行動の多い仮面ライダーがおかしくて、彼女は少しだけ笑ってしまった。

 

「フフっ…あなた、あんなにすごい力を持っているのに、案外子供っぽいって言うか…」

「あんまり言うのはやめてくれ。恥ずかしい。それより君、家とか基地は大丈夫なのか、戻らなくて」

 

仮面ライダーのその言葉に、リーナは冷たい現実に引き戻される。シルヴィアの首に掛けられているドックタグを外し、彼女は木々の間から覗く大湊基地を指差す。

 

「あそこに泊まっている船が、私たちの乗ってきた船。空母ジョン・A・マクドナルド、USNAの誇る最新鋭──」

 

瞬間、その最新鋭空母が、爆炎をあげた。連鎖的に、周囲の駆逐艦や補給艦、基地周辺までもが爆発し炎に包まれていく。港から相当な距離があるリーナたちのいる場所にまで、衝撃波と音が響いてくる。

 

「カマキリオーグが何か仕掛けてたのか…!?」

「嘘……」

 

港を包む炎を見つめながら、リーナは拷問の際の、「この国からは簡単に逃がさない 」というカマキリオーグの言葉を思い出していた。

 

「ねぇ、仮面ライダー」

「……何だ」

「ショッカーってのは、日本中に居るの?」

「あぁ。少なくない数のオーグメントが、日本中に潜んでる」

 

その事実が示していたのは、他の共同基地や空港のような、本国へアクセスできる公共の場所にはオーグメントが潜んでいたり、こうやって施設を破壊するような可能性が高い、ということだった。

 

「それに、ショッカーは執念深い組織だ。一度定めたターゲットは絶対に逃がさない。それは僕自身が、痛感している」

「そういえば…あなた、裏切り者って呼ばれてたわね。元々あなたもショッカーの人間だったの?」

「あぁ。仲間たちと一緒にショッカーに連れ去られ、改造されたが、どうにか脱出していまは彼らと戦っている」

「なんのために?」

「誰かを守りたいという、自分の意志を貫くために」

 

相変わらず仮面越しで、彼の表情は一切分からなかったが、仮面の瞳に映る炎が、リーナには彼の持つ闘志のメタファーのように思えて仕方なかった。

 

「…なら、あなたのその思いを見込んで一つ頼みたいことがあるのだけれど」

 

リーナが、仮面ライダーの方を向き直す。

 

「私をキョウトまで連れて行って欲しい」

「京都に?」

「えぇ。多分ワタシは、この国中にいるショッカーに狙われてしまっている。私の持っている戦略級魔法が狙いなのかまでは、分からないけど。あなたの話す通りのショッカーなら、普通のルートを使った本国への帰還は多分無理なんじゃないかと思うの」

「…空港や軍港くらいなら、ショッカーはこうやって破壊してしまうだろうな」

「無理に本国への脱出を選ぶよりは、一旦キョウトにあるクドウの家で匿ってもらった方が安全なはず。だけど、私は日本人じゃないし土地勘もなければショッカーと充分に戦う術を持っていない」

「だから僕に、護衛を頼みたいと」

「そういうこと。勿論、対価としてショーグンに頼んで貴方のことも匿ってもらうようにしてもらうわ」

 

リーナの持ちかけた「提案」に、仮面ライダーはしばし沈黙した後、リーナがしたように、彼女の方へと向き直した。

 

「分かった。でも、僕のことは心配しなくていい。対価なしに、君を京都まで送り届ける」

「いいの?あなたにとって、利点がないと思うのだけれど」

「僕は、ショッカーに苦しめられている人を助けたいと思っている。君の護衛を引き受ける理由は、それで充分だ」

「…そう。ありがとう。これで、契約成立ね」

 

リーナが、改めて自己紹介をする。

 

「私はアンジェリーナ・クドウ・シールズ。スターズ総隊長かつ戦略級魔法師で…あとは、ショッカーのお尋ね者?」

 

「僕は本郷猛(ほんごうたけし)。人類の平和と自由のために、ショッカーと戦っている」

 

そして仮面ライダーは、仮面を外してそう名乗った。

 

 

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