あるボーダー隊員の日常 作:スコルピオン
4年前
その日、突然黒い球体が沢山現れてそこから見たことのない怪物が襲ってきた…
「爺ちゃん!」
「マコト!逃げろ!コイツはワシが食い止める!」
爺ちゃんが相対しているのは今迄見た事の無い…怪物…なんとも言えない容姿…巨大な虫と言うのか?
口みたいなところに大きな目みたいなものがある。
足とは違い腕みたいな鎌?が光っている…その禍々しさが命を刈り取る光にその時は見えた…
爺ちゃん…
「この緊張感…昔を思い出すわい…ふっふっ…」
爺ちゃんは笑っていた…
「爺ちゃん!ヤバい!逃げようよ…絶対敵わないよ!」
僕には何故か見えていた…爺ちゃんが真っ二つになる姿が…
「早くマコトは逃げるんじゃ!」
僕の方を見ないで爺ちゃんは叫ぶ!
僕は動けなかった…僕は…
「化け物め!覚悟しろ!!」
爺ちゃんは刀を腰に携えて化け物に突っ込んで行く!
化け物は鎌を振るうが…
爺ちゃんは避ける
更にもう一つの鎌を振り下ろすがそれすらも避ける!
「馬鹿め!遅いわ!」
爺ちゃんは2つの鎌を避けて化け物の懐に潜り込む!
シュリン!
爺ちゃんは相手の眼に刀を抜き打ちで切り裂く…
カキン!!
「なんと?!我が愛刀が?!」
振り抜いた刀は目を切り裂くはずだったが…
刀は見事に折れてしまった…
ザクシュ!
鎌が爺ちゃんの身体を薙ぎ払って切り裂く…身体は上と下で分かれてこっちに飛ばされる。
「爺ちゃん!!!」
僕は爺ちゃんの上半身の元に走る。
「爺ちゃん爺ちゃん爺ちゃん」
爺ちゃんは…
「馬鹿…者.さっ…逃げ…ろと言っ…たじ…ゃろが…」
まだ意識はあるけど…もう爺ちゃんの目は…
「爺ちゃん…」
僕は爺ちゃんのそばを離れなかった。
しかし化け物はそんな僕達の事をお構いなしで襲いかかってくる。
僕は…
ザクシュ!
突然僕達の前に現れたその影は化け物を切り裂く…爺ちゃんがあれほど苦労した相手を一刀の元に…
「大丈夫か?少年?」
その男は不思議な刀を持って近付くが鞘に納めて声をかけてくれた。
「爺ちゃんが…」
男はそれを見ると近付き喉の辺りを触り…再び立ち上がって目を瞑りながら片手を顔の前に出して拝む。
ほんの数秒ではあったが男は死んだ爺ちゃんに哀悼の意を現していた。
「少年…ここは危ないからすぐに逃げるんだ」
男はそう言っていたが僕は放心状態で動けなかった。
本当に爺ちゃんが真っ二つになった…
気がつくと僕はその男に抱えられていた。
「あ?、!爺ちゃんが…」
僕は踠くが
「少年…今は逃げるんだ」
僕を抱えながら静かに答える。
「え?あ…あなたは忍田さん?」
「そうか覚えていたか少年…いやマコト君」
2年前に爺ちゃんのところで剣術で交流があった忍田さんだった。
「遅くなって、すまない…思ってた以上に敵の侵攻が早くてな」
「敵?…あの化け物はなんなんですか?」
「あの化け物は…トリオ…いや…ネイバーだ!」
「ネイバー?」
「異世界にある近界民だ」
聞き慣れない名前にただ不気味さだけが印象に残る言葉だった…