あるボーダー隊員の日常 作:スコルピオン
まあ結局、近くに玉狛支部があっても本部の人間が軽く立ち寄れる場所では無いから…
そもそも玉狛支部自体は、昔からある川の中に建ってる建物である事は知ってたが、昔からあそこ周囲は変わり者が住むと噂があって…
何でも…
川を走る人とか
自動車が真っ二つになって転がってるとか…
2階3階から出入りする奇人とか…
若者の喧嘩が絶えないとか…
親や小学校の先生から近付かないようにと警告されていた一帯なのである。(爺ちゃんは笑っていたが…)
で…当然、玉狛地区なんて怖かねえって不良などが粋がって…しかし最後は何故か更生して玉狛には近づくな~って話になっていて大人達からは長くあまり治安のよろしくない地区と言う認識だったんだが…
大規模侵攻以後、ボーダー玉狛支部が川の中の建物で設営されたと噂があった。
以降は普通の地区になっていった…近界民に比べればって話…
さて中学校では壊された建物を仮修繕したり授業が再開されて休んだ分、冬休みが削れたり期末テストなどゴタゴタが続いて気が付けば年末年始に突入する。
そして佐々木部家の年末年始は遠縁の親戚に行くのが決まりになっていて…
年が明けて冬休みも終わり、1月9日にようやくボーダー本部に顔を出せたのが今のこの状況である。
久しぶりの本部でのランク戦だったのだが…
「スコーピオン使いから対戦来てるな…勿論OKと!」
部屋に入るとすぐに対戦申し込みがあったので、久しぶりだったが何も考えずに了承した。
【個人ランク戦、転送開始します】
転送されると目の前に対戦者が現れる。
「え?…あれ?あの人は…」
目の前に現れた対戦者は白い髪の小柄な人だった…何処かで見た気がするが…
【個人ランク戦1本勝負始め!】
アナウンサーが流れると同時に!
首が斬られるビジョンが頭の中で浮かぶ…
やば!
咄嗟に首辺りに孤月を構えると!!
ガキン!
スコーピオンの刃が孤月で守っているところへヒットした!!
次は腕!
ガキン!
胸!
シュリン!!
孤月の刃で防ぐ!
足!
キャリン!!!
刃を払って防ぐ!
突きで顔!
ヒュン!!!!
頭を動かして躱わす!!
と次々ビジョンが浮かんではその通りに防ぐが…
何だ?久しぶりに先が見える相手…しかしどんどんそのビジョンの間隔が短くなっていく…
シュバ!シュバ!シュバ!
防戦一方になりつつ致命的な一撃は的確に防ぐが…どんどんスピードが速くなって浅く斬られていく
「へえ〜なかなかやるね〜」
小柄な対戦者が呟く。
つい久しぶりで忘れてたが孤月とスコーピオンが撃ち合えば受太刀できないのはスコーピオンの方な事を思い出す。
駄目だ!攻めないと!!
僕はフェイントを混ぜつつ相手に隙を作りつつカウンターで仕留めようとしたが…
首を斬られるビジョンが現れたが…
対戦者はスコーピオンを投げたのである!?
ガキン!!
咄嗟に投げたスコーピオンを弾くが…姿を消していた。
何処だ?
ゾッ!?
首筋に悪寒を感じる…
いや…斬られていたんだ…
頭上へジャンプして視覚外から腕から生やした刃が僕の首を切り裂いていた。
【戦闘体活動限界・勝者・空閑遊真】
空閑遊真…初めて聞く名前なのに何故か知っている名前の様な気がした。