純と玲音の共同生活   作:太陽に恋したライオン

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エゴの塊とリアルな夢

今日は1月1日

 

お正月の朝はやっぱりお雑煮という事で、玲音が関東風のお雑煮を作った。醤油ベースで鶏肉とほうれん草と四角いお餅入りだ。

 

2人とも美味しいと言ってくれた。

 

結局、お雑煮を食べた後、陸樹は帰ってしまった。

 

急に帰ると言い出した陸樹にJは驚いていた。

 

 

(陸樹には意地悪をしてしまったかもしれない…)

 

でも、俺はJの特別な存在なんだ、

Jに触れる事ができるのは自分だけだ、

という思いが玲音にはあった。

 

陸樹と純の間には特別な信頼関係があって、2人を見てると時々不安になってしまう。

 

しかも、陸樹は純の事しか見ていなくて、玲音の存在が目に入ってないんじゃないかと感じる事がある。

 

だから、つい自分の存在をアピールするようなことをしてしまった

 

(俺達の関係は難しい。陸樹は友達だけど、裏では恋敵だし、Jがその事に全然気が付いてないから余計に複雑だ。

 

Jが女の子だったらもっと単純なのにな。

他の男と仲良くしないでくれって、言える。

男同士な上、親友だとそうはいかない。

 

Jがもし、陸樹の気持ちを知ってしまったらどうなるんだろう?

 

Jが悲しんだり、苦しんだりするのは見たくない。

 

ワガママだってわかってるけど、今のまま、陸樹には親友でいて欲しい。

 

もし、陸樹がJに思いをぶつけたり、俺達の仲を邪魔するような事をしたら、俺も陸樹とは友達でいられない。友達を失うのは嫌だ。

 

自分勝手な思いだけど、

俺はJの恋人でありたいし、陸樹の友達でもいたい。

俺は優しくなんかない。エゴの塊だ…)

 

 

ようやく、2人きりとなった部屋

 

急に2人だけの空間になって、不思議と落ち着かないような、逆にホッとするような複雑な気持ちになっている。

 

「陸樹のやつ、どうしたんだろうな?やっぱり、邪魔しちゃ悪いとでも思ったのかな?」

 

相変わらず、Jは天然で可愛い。

 

「J、今日から、純って呼んでいい?」

「え?!な、何だよ、急に?」

「俺だけが名前で呼べるっていう特権が欲しい」

 

純はパッと頬を赤らめて、モゴモゴしながら

「何かすごく恥ずかしいけど、そんな言い方されたら断われないだろ…ズルいな、もう…」と言った。

 

「純、愛してるよ」

 

赤くなった純の頬に手を添えて、優しくキスをする。

 

「俺も玲音を心から愛してる」

 

純の言葉が俺の不安を払ってくれる。

 

映画は午後から見に行けばいい。今はようやく得られた2人だけの時間を静かに味わいたい…

 

 

 

陸樹は、純のマンションから自宅に戻って、ヤケ酒をあおっていた。

 

玲音が自分の挑発のせいで、あんな大胆な行動をするとは思っていなかった。

 

というより、玲音を挑発するつもりは無かった。

 

Jに対して釘を指しておこうと思っただけで、玲音の事は眼中に無かった。甘く見ていた。

 

恋人は玲音で自分は親友でしかないと頭では理解していても、玲音だけがJに触れられて、自分にはできないという事実に嫉妬の感情が抑えられない…

 

酔いつぶれるまで飲んだ。

 

 

夢を見ていた…

 

一昨日の浜辺での場面だ。

 

Jが心配そうに俺の顔を覗き込んでくる。ちょっと手を伸ばせば触れられる。

 

俺だって、Jに触れたい…

 

俺は誘惑に負けてJに手を伸ばした。

頬に触れ、引き寄せてキスをした。

 

Jの目が丸く見開いて、ドンっと突き飛ばされた。

 

怒りで赤くなって震えている。初めて見る顔だ。

 

「ふざけるな!!本気で心配してるってのに!」

 

カチンと来た。

「Jが俺の気持ちをわかろうとしないからだろ!」

「な、なんだって?」

「俺は、Jが好きなんだよ!!お前が玲音を好きになるよりずっと前から!」

「?!…うそ、だろ…だって、ずっと、相談に乗ってくれて、た…」

「Jが落ち込む顔が見たくなかった!でも、ずっと、俺は、Jが気がついてくれるのを待ってたんだ…」

 

Jの顔色が変わった。でも、勢いで出た言葉は止められなかった。

「俺はJの親友じゃなくて、恋人になりたいんだ!!」

 

「陸、樹…そんな…気がつかなくて…傷つけて…ごめん…」

 

Jの目に戸惑いと後悔と悲しみが溢れて

涙がボロボロとこぼれ落ちた…

 

「ご、めん…でも、、

俺は…陸樹の気持ちには、こたえ、られな、い…」

 

俺は、早くも後悔した。

Jの涙を止めたくて、手を伸ばす。

 

でも、Jがビクっとして、強く頭を振った。

 

拒絶された

俺が安易に触れたからだ

Jの信頼を失ってしまった…

 

ただ、涙を拭いたいだけなのに、

もう2度と触れる事は許されないんだ…

 

Jがしゃくりあげながら、もう、一緒にいられない、ごめん、と謝り続けるのを、ただ見ていなきゃならない

 

気が狂いそうなくらい激しい後悔と悲しみで胸が押し潰されそうになった

 

肩を抱く事も声をかける事も

友達として傍にいる事もできないなんて、、

 

涙が出てきた…

 

誰か、助けてくれ、Jの涙を止めてくれ、、

なんで、玲音は来ないんだ?

いつもJのピンチには都合よく現れるのに?

 

頼むから、今、来てくれよ、、

 

Jの涙を止められるなら、俺は消えていなくなってもいいから、どうか、、、

 

 

ピピピピ ピピピピ

 

電話の音で起こされた。

 

ゆ、め?

 

目が覚めたら泣いていた。

 

夢でよかった…

なんてリアルな夢なんだ…

目が覚めても、胸が苦して、あんな思いは2度としたくないと思った

 

いや、夢というより、選択を間違えたら待っていた世界だ

 

そして、理解した。あの時、玲音はJじゃなくて、俺を助けに来たんだって

 

Jが玲音には生き物のSOSを感知するセンサーがついてるって言ってたけど、本当だった

 

あの時、玲音が来なかったら、自分の気持ちをJにぶつけて、お互いに傷ついて終わったかもしれないと思ったけど、そんな生優しいものじゃなかった

 

あんな風にJを傷つけて悲しませて、失うくらいなら死んだ方がマシだ

 

Jの笑顔を横で見れるだけで幸せなんだってわかった…

 

出会った順番が違っていたら、俺がJの恋人になれたんだろうか?

 

いや…違うな

 

どんな順番で出会っても、俺はJを好きになったし、Jにとって俺は親友で、玲音は好きな人なんだ…

だから、Jが俺の気持ちに気が付く事は無い

その方がお互いに幸せなんだ…

 

俺がJの横にいるためには、この甘酸っぱい気持ちを抱えたまま、親友であり続けなきゃならない。

そして、それを玲音が許すこと。

 

玲音には頭が上がらないな、まったく、優しい奴でよかった…

 

 

電話は実家からだった。年が明けたのに連絡して無かったからだ。

電話が鳴ってくれて助かった

親に感謝しなきゃな…

 

END

 

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