寝ぼけ眼を擦って書いたので誤字っぽいけど誤字じゃない箇所があります。
ちょいホラー要素もあり。
けたたましい電子の音色にたたき起こされた。目覚まし時計に掌底を叩き込み、時間を確認する。
今日はライスと水族館にお出かけする予定がある。そう、水族館デートだ。水・族・館・デ・ー・ト。遅れるわけにはいかない。
幸いにも狙いすました時間に起きれたようだった。
「お姉さま!早く~!!」
ライスが私の腕を引く。ウマ娘の力で引かれているという訳ではないから、うまくセーブしているのだろう。
イワシやアジの群れを筆頭に大小様々な魚の住まう大水槽、それぞれ個別の環境を再現した小さめな水槽、異形の深海生物がまるで死んでいるかのように動きを止めている暗い水槽。そのどれもに彼女は目を輝かし、時には驚いていた。
その動きに、私は違和感を覚えた。それに、どこかから刺すような、貫くような、冷たい視線を感じるような気がする。
違和感と視線を放置しつつ、私は彼女との水族館デートを楽しむ。
そして、クラゲたちの水槽までやってきた。
ライスは、中央の一番大きな円筒状のミズクラゲ水槽の後ろに回り、ふよふよと浮き沈みを続けるクラゲを眺めている。
それを幸せな気持ちで眺めていると
水槽の向こうのライスと目が合った。
そして、ライスの両の口角がにぃと上がったことを私は見逃さなかった。
そういえば、この水族館には私たち以外のお客がいない。
停電したかのように辺りは急に暗闇に包まれ、私の足元には脛の半分くらいの位置まで水が張っていた。その水からは磯の香り。
「お姉さま」
うつむいたライスが水の抵抗をもろともせずに私に近づく。一歩、また一歩と。ゆっくりゆっくり。
そのあまりの異様さに、自然と足が後ろに動く。が、私の意思に反して脚は動かなかった。蛇に睨まれた蛙とはまさにこのこと。
慌てて下を見ると、水の中に誰かの手が自然発生し、私の足首を掴んでいる。水中にうっすらと見えるその手の数は15本。
「お姉さま、ずるいよ。ライスだけとお出かけに行こうだなんて……」
彼女は私の頬に手を当て、愛おしいように撫でながら私をのぞき込む。その目には明らかな狂気が宿っていた。
「
水の中から無数の声が聞こえる。まるで私を咎めるような声音だ。
“ライス……?何を……言ってるの……?”
「
足首にしがみつく手首が、わたしを水に沈めんと引き込んでくる。さらに、水位も段々と上がっていた。
“い、嫌……助けて……!!”
「ねぇ……なんで?お姉さま?」
『なんでこのライスとだけなの?』
<ライスももっとお姉さまと一緒にいたかったんだよ?>
(ねぇどおして?どおして?)
[天皇賞を勝てなかったから?]
【それとも宝塚記念?】
〈それとも〉
《それとも》
{それとも}
必死にもがくも抵抗むなしく、また増え続ける水により、ついに私はこの海水から逃れることができず、海の中に没した。
暗い暗い、凍るほど冷たい海の底。上へと延びる手の彫像。その手の彫像に絡め捕られるように、そして肺からは空気が溢れ、代わりに水が流れ込む。
ジリリリリリリリッリ!
何か不思議な夢を観た気がする。早く着替えなければ。
着替えないとライスに示しがつかない。
それに、みんなライスがメインなのだから。